計画通りだった?キャナル・イーストビル閉館と解体
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12年足らずで解体へ
キャナルシティ博多イーストビルが解体される。解体工事の着工は5月25日を予定しているが、その後の利用などについてイーストビルを所有運営する福岡地所(株)(福岡市博多区)は、「お答えできる内容はございません」という。
イーストビルは、2011年9月に開業した地上4階・地下1階建、延床面積1万7,543m2の商業施設。「H&M」「ユニクロ」「ZARA」などの衣料品店や「Francfranc」などの雑貨店を核テナントとしている。
コロナ禍による劇的な環境変化が閉館の大きな要因だろうが、建物の竣工からわずか12年足らずで解体となったことには驚かされる。しかし、「イーストビルは計画当初から将来的な建替えを念頭に置いていたようだ」(市内の開発業者)という情報もある。
確かに、「キャナルシティ博多」を構成する「サウスビル」「ノースビル」「ビジネスセンタービル」などは、多くが福岡地所をメインスポンサーとする福岡リート投資法人(東証リート)へ売却されているが、「イーストビル」は福岡地所が保有を続けてきた。
また、サウスビルなどがRC造であるのに対し、イーストビルはS造(一部RC造)と、比較的解体が容易な構造で建築されていること、イーストビルの敷地は当初、ディズニーを誘致する計画だったことを踏まえれば、「建替えが前提だった」と考えられなくもない。では、福岡地所はこの場所に何をつくっていくのだろうか。
筆頭は賃貸マンション
21年9月に竣工した「天神ビジネスセンター」はじめ、福岡地所は天神ビッグバンによる再開発を複数進行中だ。その多くがオフィスビルなのだが、再開発が進行するなかでも天神エリアのオフィス空室率は4~5%と高止まりを続けており、再開発ビルが竣工を迎えていくなかで、目論見通りに床が埋まっていくかは不透明といっていいだろう。
福岡地所では近年、物流施設の開発も進めてはいるが、より安定した運用が見込める賃貸マンションの開発が課題だったはずだ。マンション用地が高騰するなか、地下鉄七隈線の延伸によって、イーストビル目の前に新駅・櫛田神社前駅が誕生。駅近立地を手に入れることができた。
やはりイーストビル跡地で福岡地所が描いているプランは、賃貸マンション開発だろう。再開発プランを描くなかで隣接地の買収も進むかもしれない。
福岡地所は福岡を代表するデベロッパーである。キャナルシティ博多が、博多~中洲・天神をシームレスにしたといっても過言ではなく、その功績は多大なものだ。だからこそ、単なる賃貸マンションではなく、地下鉄新駅とキャナルシティ博多という無二の資産を生かした複合施設が誕生することに期待したい。
【永上 隼人】
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