2024年11月05日( 火 )

こどもが成長し活躍できるまちへ 福岡の明るい未来を支える(後)

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(一社)福岡青年会議所
理事長 前川 裕貴 氏

 (一社)福岡青年会議所(以下、JCI福岡)は2023年、創立70周年を迎える。「ひとづくり」「まちづくり」を通じて、明るい豊かな社会を実現すべく、活動を継続してきた。人口増加、天神ビッグバンによる土地開発などによって、めまぐるしく変化と発展を繰り返す福岡で、今後JCI福岡はどのような役割を担い、存在感を発揮していくのか。第71代理事長に就任した前川裕貴氏に話を聞いた。

(聞き手:(株)データ・マックス 執行役員 鹿島 譲二)

グローバル、アート、スポーツの3本柱で

2022年の活動の様子

 ──22年の活動を振り返っていかがでしたか。

 前川 前年同様、コロナ禍で委員会の行事を開催することが困難な年でした。予定変更が相次ぎ、思うようなスタートダッシュができなかったのですが、最終的には計画していた行事を終えることができて安堵しています。

 そんななかで、1番力を注いだことはこども未来都市宣言の提言書をまとめたことです。まちづくりに関しては行政もかなり力を入れているので、県や市の取り組みと重複しないように意識しました。

 ──この宣言の主な内容はどのようなものでしょうか。

 前川 提言書では、グローバルシティ、アートシティ、アーバンスポーツシティ、という3つの柱を立てています。

 グローバルシティは、アジアの玄関口である福岡において「グローバル」が当たり前の街にすることを念頭に、ウィズコロナ時代にはリアルな国際交流の促進を目指しています。短期的計画では、交換留学やホームステイ、中長期的計画では、海外修学旅行や英語弁論大会の定期的な開催、アジア太平洋博覧会開催などを視野に入れています。

 アートシティは、豊かな感性を育むまちづくりがテーマです。「他人の評価を気にしない」「好きなものをつくる」という子どもたちの自由な想像力・創造力をかたちにする機会を提供します。アートで身につけた自己肯定感や感性は、大人になってもさまざまな場面で活かせるでしょう。

 アーバンスポーツシティは、公園や広場を舞台に体を動かすことができる都市づくりを目指しています。社会が便利で快適になる一方で、子どもたちの体力や運動能力の低下が大きな問題となっています。ボール遊びを禁止する公園も増え、ゲームを通じてコミュニケーションを取るかたちが放課後の定番になりつつあります。若者が気軽にスポーツを楽しめる機会と環境づくりに努めます。

 23年は北九州で「ブレイキン」の世界大会が開催されます。24年パリ五輪の追加種目に正式採用された、今注目のアーバンスポーツです。五輪への出場権を獲得するための重要な大会で、世界のトップ選手が集うので、認知度も一気に上がるのではないでしょうか。提言書が県・市・顧問先などから市民の手にも渡るように、メンバーが動いています。

福岡のまちづくりに尽力

 ──23年は、創立70周年の節目の年ですね。抱負を聞かせてください。

 前川 JCI福岡は、2月4日に創立70周年を迎えます。こども未来都市宣言の継続的な事業化を図りながら、次の10年に向けて方向性を示していけたらと考えています。

 とくに、子どもたちが未来に希望をもってのびのびと育っていけるまちづくりをしたいです。韓国の釜山市、中国の香港、ベトナムのハノイ市の各地の関係組織と友好提携を締結していますので、交換留学など国際交流を深めていくことも、委員会で提案されています。

 1989年にJCI福岡が開始した、アジア太平洋子ども会議・イン福岡から35年が過ぎました。毎年7月にアジア太平洋の40を超える国や地域から200名以上を福岡に招待して行われ、子どもの国際事業としては、歴代・規模ともに日本を代表する事業となっています。こども未来都市宣言もこの延長上に乗っています。今後は未来の福岡を担う、キッズ、ヤングへの働きかけを強化する予定です。

 キッズの世代は、旅行くらいしか県外へ出る機会はなく、他の地域と比べることが難しいので、福岡の良さをまだ実感できません。郷土愛を高めるインプット事業を展開していきたいです。

 ヤング世代になると、徐々に福岡の街を客観視できるようになっていきます。郷土愛が深まるようなアウトプット事業を展開すべく詳細を詰めているところです。

 人口減と高齢化が進む日本で、福岡は若者が多く、活気がある街です。スタートアップも多いですし、ビジネスチャンスも広がっています。これからはコロナ前に元通りではなく、ウィズコロナとなります。ウェブでしか活動ができない悔しい時期が続きましたので、その分も含めて実践型のスタイルに戻していきたいですね。

 ──24年開催の全国大会に向けてどのような準備を進めていますか。

 前川 全国大会には、次世代の経営者が一堂に集まります。JCI福岡では21年から少しずつ準備を進めています。会場はほぼ決定しました。メンバーの卒業式はここで執り行われます。セミナーやイベントなど、街の魅力を発信できるよう独自の企画を立てています。22年の提言書を実現していき、その発表も兼ねた舞台にしたいです。

 九州は全体的に今、勢いがあります。全国大会の開催地は、21年は大分県、24年は福岡県、25年は佐賀県です。立候補制で、近年立候補は九州の各県のみです。24、25年と連続で九州開催ですので、盛り上がりが続くようなスタートになればと考えています。

 ──JCI福岡の活動を通して、得られるものとは。

 前川 JC活動を通じて得られるものは、多くの学びと仲間、実践による経験です。24年に会員数300名でスタートすることを目指しています。基本は社会貢献の場であり、ビジネスが主ではありません。もちろん、ビジネスが駄目というわけではありませんが、まずは活動を通じて人間関係を構築していくことが大切です。仲間となり信頼が生まれるからこそ、仕事上でも良い関係ができます。仕事のため、利益のために動くことは、誰でもできます。しかし、人のため、街のために、必死に動く経験はなかなかできないと思います。それは会社経営にも活かされていきます。

(一社)福岡青年会議所 理事長 前川裕貴氏
(一社)福岡青年会議所
理事長 前川 裕貴 氏

    私自身、社員から「私たちのこと、お客さまだと思っている?」といわれるようになりました。お客さまのように大切にしている、と見えたようです。他者を思いやり、敬い、尊重する、という意識がついたのは、間違いなくJCI福岡の活動に尽くしたからでしょう。共に歩むメンバーを誇りに思います。このすばらしいメンバーとともに、今後も福岡のためにまちづくりを進めていきたいですね。
 

(了)

【文・構成:清家 麻衣子】


<ASSOCIATION INFORMATION>
理事長:前川 裕貴
所在地:福岡市博多区築港本町13-6
創 立:1953年2月
TEL:092-263-6333
URL:https://www.fukuoka-jc.or.jp


<プロフィール>
前川 裕貴
(まえかわ ひろき)
1984年、大阪府出身。2014年9月にJCI福岡入会。20年理事長チーム事務局長、21年副理事長を経て、23年1月に理事長に就任。(株)ウィズグループ代表取締役。趣味はゴルフとブレイクダンス。

(前)

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