2024年11月30日( 土 )

金融政策論俗説を一掃

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「アベノミクスの適正な検証が必要だ」と訴えた1月31日付の記事を紹介する。

 金融政策に関する事実に基づく適正な論議が必要。

 日銀が2012年7月から12月の政策決定会合議事録を公表した。第2次安倍内閣が発足したのが2012年12月。第2次安倍内閣発足を契機に「アベノミクス」なる政策が提唱された。その第一に掲げられたのが金融緩和だった。第二は財政出動、第三は成長戦略。安倍内閣は金融緩和政策を推進することによってインフレ率を2%にまで引き上げることを公約に掲げた。この政策の是非を適正に検証する必要がある。

 私は2013年6月に『アベノリスク』(講談社)を上梓した。https://amzn.to/3DvK6Ha 副題は「日本を融解させる7つの大罪」。アマゾン紹介に次のように記した。

 第一のラッパが吹き鳴らされると、日銀の資産を大幅に劣化させてまで誘導される激しいインフレが、政府と企業だけを救い、国民は大いに苦しめられた。

 第二のラッパが吹き鳴らされると、大増税が始まり、アベノミクスへの期待効果によって生まれたわずかな株高などは簡単に吹き飛ばされた。

 第三のラッパが吹き鳴らされると、TPP加盟によって美しい国土は荒れ地と化し、米国市場原理主義の猛威が日本社会を荒廃させた。

 第四のラッパが吹き鳴らされると、活断層の上の原発がいつのまにか続々と再稼働し始め、人々は原発事故の悪夢に怯える日々を過ごした。

 第五のラッパが吹き鳴らされると、血税を食い荒らすシロアリ官僚がますます増殖し、再び増額された巨大公共事業・役人利権予算に群がった。

 第六のラッパが吹き鳴らされると、権力の横暴を防ぎ止める役割を担っていたはずの憲法が、国家権力によって次々と都合よく改悪され、国民主権や基本的人権がないがしろにされた。

 第七のラッパが吹き鳴らされると、憲法改悪によって戦争への道が切り拓かれ、集団的自衛権の名のもとに日本が報復攻撃の対象とされ・・・・・・・

 これは黙示録ではありません。近未来の日本の姿です。アベノミクスの次にやってくるのは、アベノリスクの時代なのです。

 『アベノリスク』が現実化してきたことはその後の歴史が証明している。

 私は同書でインフレ誘導政策について論じている。要点は2つ。第一はインフレ誘導政策が間違った政策であること。第二はインフレ誘導政策が失敗する可能性が高いこと。歴史を客観的に検証し、当時の論争、現在の政策評価を整理する必要がある。

 第一にインフレ誘導政策が成功しなかったという事実を確認する必要がある。日銀が量的金融緩和政策を拡大すればインフレ誘導は可能であると主張した者が多かった。黒田日銀はこの主張に乗って大規模金融緩和政策を実行した。

 しかし、インフレ誘導は実現しなかった。

※続きは1月31日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「アベノミクスの適正な検証が必要だ」で。


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