2024年11月22日( 金 )

1月1日付けで新社長に就任 市民クラブとして地域に元気・喜びを与えたい(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

(株)ギラヴァンツ北九州
代表取締役社長 石田 真一 氏

 ギラヴァンツ北九州の2022シーズンはJ3・13位。23シーズンの監督には、元日本代表で、大分トリニータや清水エスパルスの監督などを歴任した田坂和昭氏が就任し、反転攻勢でJ2への復帰が期待されるシーズンとなる。1月1日付で新社長に就任した石田真一氏に今後の抱負などを聞いた(インタビューは2022年12月22日)。

育成型クラブへの転換を図る

 ──プロサッカークラブにおいては、トップチームの運営と同じぐらいアカデミーの充実が大事になってくると思います。アカデミーの運営方針はいかがですか。

(株)ギラヴァンツ北九州 ​​​​​​​代表取締役社長 石田 真一 氏
(株)ギラヴァンツ北九州
代表取締役社長 石田 真一 氏

    石田 クラブの目指すべき姿の1つとして、21年末にギラヴァンツ北九州は「育成型クラブへの転換」を掲げました。各カテゴリーのアカデミーを強化することで、トップチームで活躍できる選手を1人でも多く輩出することが狙いです。

 先日、U-18所属の坪郷来紀選手の23シーズンからのトップチーム昇格が決定しました、坪郷選手はU-15からギラヴァンツに所属している地元・北九州市出身の選手です。北九州市の子どもたちが地元で活躍する機会を提供するのも我々の役割の1つです。アカデミーからのトップチーム昇格という成果を出せたことは大きな前進だと思います。

 ──「育成型クラブへの転換」という意味合いでいうと、トップチームと各カテゴリーが指向するスタイルも共通しているのでしょうか。

 石田 クラブの掲げるサッカーは、トップチームと各カテゴリーで共通の部分が多く、トレーニングでもアカデミー所属の選手がトップチームの練習に参加したり、トップチームが年初に行う島原キャンプに招いたりしています。ジュニアサッカースクールからアカデミー、トップチームまでが1つのかたちにつながるクラブになるのを目標にしています。

 最近はサッカーに限らず、プロ野球でも下部組織の充実を図る動きが目立ってきています。地元の方々も地元出身の子どもたちがトップチームに上がって活躍すれば、興味をもっていただき「スタジアムに行ってみよう」となるかもしれません。

 ──ギラヴァンツ北九州に12シーズン在籍して20シーズンをもって引退したクラブのレジェンド・池元友樹選手も北九州市出身です。地元出身選手が増えれば、ますます盛り上がるでしょうね。

 石田 池元さんはストライカーとして大変活躍された選手ですし、人間的にもとてもすばらしい方です。まさに子どもたちのお手本になる方なので、そういった選手をアカデミー、もしくは地元から1人でも多く輩出できるようにしなければならないと考えています。

「超地域密着型クラブ」へ

 ──地域への貢献活動の取り組みについて教えてください。

 石田 地域密着を掲げるJリーグに所属するクラブにとって、地域貢献は欠かせない重要なテーマの1つです。冒頭で申し上げたようにギラヴァンツ北九州は市民クラブです。市民の皆さまに愛されるクラブになるためには、興行面だけでなく、地域貢献活動にも注力しなければなりません。クラブの目指す姿として「育成型クラブへの転換」とともに掲げているのは「超地域密着型クラブへの深化」です。具体的な取り組みとしては「GOP(ギラヴァンツオープンマインドプログラム)」といって、引きこもりや不登校の方々を支援する事業を行っています。GOPの活動が評価され、19年には「北九州SDGs未来都市アワード」の企業部門で「SDGs賞」を受賞いたしました。

 GOPの活動内容は、引きこもりや不登校の方々にスタジアムで試合を観戦していただく、体を動かしてサッカーをしてもらう、試合の運営をボランティアとして支えていただく、などです。「観て楽しんで」「体を温めて心を開き」「ともに運営に参加する」という3つのステップで社会とのつながりを深めるきっかけになれば、との思いで活動を続けています。

 また、Jリーグがサントリーウエルネス(株)と協働で行っている、普段は「支えられる」ケースの多い高齢者施設の方々が、地元サッカークラブの応援を通じてクラブや地域を「支える」存在になるプロジェクト「Be supporters!(ビーサポーターズ)」に昨年9月、ギラヴァンツ北九州も参加しました。具体的な取り組みとしては、施設に入居している高齢者に、横断幕に選手やクラブに向けた「先輩からのエール」ともいうべきメッセージを書いていただき、その横断幕をホームゲームで掲げました。

 子どもたちを対象とした取り組みでは、選手による小学校訪問授業「スクール ギラヴァンツ」を実施しました。授業では、選手が子どもたちに自身が夢を叶えるためにやったことを語ったり、一緒にサッカーをしたりします。

スクールギラヴァンツの様子
スクールギラヴァンツの様子

    ──選手たちも地元の方々と触れ合うことで刺激を受けられますし、得られるものが多いのではないでしょうか。

 石田 とくに若手選手にしてみたら、社会とのつながり、地域とのつながりを肌で感じることができるプログラムに参加することは、1人の人間として成長できるという意味でも大事な取り組みではないかと思っています。

 ──最後に読者、サポーターにメッセージをお願いします。

 石田 ギラヴァンツ北九州は、市民の皆さま、北九州市を中心とするたくさんの企業の皆さま、行政の方々に支えてもらっています。そうした方々にサッカーで笑顔を届けられたらと思っています。また先ほど申し上げたような社会貢献活動を通じて北九州に貢献していきたいとも考えています。そして、最終的にはギラヴァンツ北九州という存在を通じて、北九州市を中心とした地域の方々に元気を与えられるクラブになっていきたいと思っていますので、引き続きご支援お願いいたします。

(了)

【新貝 竜也】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:石田 真一
所在地:北九州市小倉北区浅野3-1-26
設 立:2008年10月
資本金:3,070万円
売上高:(22/1)10億9,400万円
URL:https://www.giravanz.jp/


<プロフィール>
石田 真一
(いしだ・しんいち)
1969年8月生まれ。92年に一橋大学商学部を卒業後、三菱商事(株)に入社。ドイツ三菱商事(株)(駐在:マネージャー)、三菱商事戦略企画室事業戦略統括などを経て、2021年2月に(株)ギラヴァンツ北九州入社。23年1月ギラヴァンツ北九州代表取締役社長に就任。

関連記事