2024年11月21日( 木 )

「人が主役」 社員が生き生きと働ける「唯一無二の存在」を目指して

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山本設備工業(株)

徹底的な意識改革を

山本設備工業(株) 山本慎一社長
山本設備工業(株)
​​​​​​山本 慎一 社長

    山本設備工業(株)は地場有数の総合設備工事業者。給排水衛生設備、空気調和設備工事、水処理設備工事などの設計、施工、アフターサービス全般を手がけている。同社は2021年に設立60周年を迎えた老舗だが、近年は従業員の離職に悩まされ、山本慎一社長は危機感を抱いていた。社員の意識調査を行い、山本社長以下、幹部の意識変革に取り組んだ結果、21年以降退職者をゼロに抑え込むことに成功。社員が定着する企業へと生まれ変わりつつある。

 多くの企業にとって従業員の離職は大きな懸念事項の1つであるが、同社でも20年に同時期に複数の退職者が発生した。山本社長は「このままでは会社の将来が危うい」と危機感を抱き、外部機関に委託してES診断(従業員満足度調査)を行った結果、幹部社員の意識改革を行うことが急務だと感じた。それまで、幹部社員の間では、「自身も会社の一社員、自分の仕事さえしっかりしておけば良い」という考えがまん延しており、「要するに部下をほったらかしだった」(山本社長)という。

 幹部社員の徹底的な意識改革を図るべく、ワークショップを開いて前述の「幹部の信条」を作成した。そこで決まったのは「部下に関心と思いやりを持つ」「相手に伝わる伝え方をする」「任せるとは押し付けや放置することではない」「相談されやすい環境をつくる」「職位が上がるほど謙虚であれ」「自己研鑽を怠らない」の6つ。

 「経営理念体系」も作成した。経営理念と経営方針に加え、社員の「価値観・行動指針」も作成した。事前に社員に「仕事をやるうえであなたが大事にしていること」についてのアンケートを取り、回答を集計、ジャンル分けをして6項目の「価値観・行動指針」を作成した。内容は①「お客様の立場で考え自ら行動」、②「向上心を常に持ち日々成長」、③「1人ひとりが会社の代表」、④「周囲の配慮と準備を怠らず日々改善」、⑤「全てを自分事に」、⑥「地域社会に貢献する山本設備工業は私がつくる」というもの。

人材第一の経営を

山本設備工業(株) 本社社屋
山本設備工業(株) 本社社屋

    山本社長自身、20年の大量離職発生までは、「業績を上げる、決算書の内容をよくすることが会社をよくすることだ」と信じていたという。しかし、「自分が変わらないと会社は変わらない。業績中心の経営をやっていても会社は良くならない」(山本社長)と考えて今後は人材を第一に考える経営方針を選択すると決断した。

 同社の新たな経営方針は「人が集まり、共に成長し、いきいきと働いて地域の設備工事を支える唯一無二の存在になる」というもの。人材第一の経営を心がける同社が、「唯一無二の存在」になるのは、遠い将来のことではないだろう。

【新貝 竜也】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:山本 慎一
所在地:福岡市南区清水3-5-27
設 立:1961年3月
資本金:5,000万円
TEL:092-554-5930
URL:https://www.y-s-k.co.jp

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