2024年07月17日( 水 )

メディアが伝えぬウクライナの真実

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 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事(メルマガ版)を抜粋して紹介する。今回は「日本で流布されている情報は著しく偏ったものである」と指摘した2月26日付の記事を紹介する。

 ウクライナでの戦乱が本格化して1年の時間が経過した。ロシアはウクライナ東南部を制圧したが戦乱はいまなお継続している。

 国際社会が目指すべきは戦乱の一刻も早い終息である。問題の根幹にあるのはウクライナの国のかたち。1つの独立国の形態が採られているが実態としては1つの国のなかに2つの異なる国家が存在している。

 西北部はウクライナ語を使用するカソリックのウクライナ人が大宗を占める。東南部はロシア語を使用しロシア正教のロシア系住民が大宗を占める。ウクライナの国境線はかつてのソビエト連邦の時代に引かれた便宜的なもの。合理性を欠いている。

 この現実を踏まえて米国の元国務長官であるキッシンジャー氏が次のように指摘した。「この国で一方の勢力がほかの一方の勢力を支配しようとすれば必ず分裂か戦争になる。」

 2014年に親ロシアのウクライナ政権が転覆された。暴力革命による政権転覆であったと表現してよいだろう。樹立された非合法政府は政府樹立と同時にロシア系住民に対する人権侵害と弾圧の規定を確定した。これにロシア系住民勢力が抵抗した。樹立された非合法政府はウクライナ東部地域に対して武力による攻撃を展開した。この結果、ウクライナで内戦が勃発した。昨年2月24日以降のウクライナ戦乱はウクライナ内戦の延長線上に勃発したものである。

 2014年のウクライナ内戦を終息させるための協議が行われた。協議の結果、2015年にミンスク2が制定された。ウクライナ政府が東部2地域に対して高度の自治権を付与する。これを条件に内戦を終息させることで合意が成立した。

 合意はウクライナ政府と東部2地域との間で調印され、オブザーバーとしてドイツ、フランス、ロシアが関与した。ミンスク2は国連安保理で決議され、国際法の地位を獲得した。2019年4月の大統領選で大統領に選出されたゼレンスキーはミンスク2を履行し、東部和平を確定することを公約に掲げた。しかし、ロシア系住民に対する人権侵害を主張するウクライナ民族主義者勢力=ネオナチ勢力は東部2地域に対する自治権付与に強く反対した。ゼレンスキーがミンスク2履行に進むならゼレンスキーを処刑するとの脅迫まで展開した。この脅迫によってゼレンスキーが転向した。

 2020年には米国でバイデン氏が大統領選で勝利した。バイデン氏はウクライナとの癒着が強く疑われてきた張本人である。トランプ大統領はバイデン氏のウクライナ疑惑を明らかにすることを強く主張していた。実際、バイデン氏はオバマ政権の副大統領時代にバイデンの子息が関与するウクライナ・エネルギー企業であるブリスマ社の不正を捜査しようとしたウクライナ検事総長の解任をウクライナ政府に強要した。

※続きは2月26日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「メディアが伝えぬウクライナの真実」で。


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