2024年12月22日( 日 )

楽天モバイルの断末魔~沈み行く泥船(前)

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 楽天モバイルの底が抜けた。大赤字決算の次は高額不正。楽天グループの携帯電話会社・楽天モバイルは断末魔の様相を呈している。
 船に巣喰っているネズミは、その船が沈没前に船から逃げ出すと言われている。楽天モバイルの幹部はまるでネズミのように泥船から逃げ出した。しかも、行き掛けの駄賃とばかりにカネを引き出している。楽天グループ総帥・三木谷浩史会長兼社長が楽天モバイルに見切りをつけるのは秒読みに入ったようだ。

楽天モバイルの元部長ら3人が逮捕

楽天グループ イメージ    楽天モバイル(東京都世田谷区)の携帯電話基地局整備事業をめぐる設備運搬の業務委託に絡んで、巨額の水増し請求を行ったとして、警視庁は3月3日、楽天モバイルの元幹部ら3人を詐欺容疑で逮捕したと報道各社が一斉に報じた。

 逮捕されたのは楽天モバイルの元物流管理部長、佐藤友紀容疑者(46)、物流会社「日本ロジステック」(東京都千代田区)の元常務、三橋一成容疑者(53)と、物流会社「TRAIL」(東京都港区)社長の浜中治容疑者(49)。

 3人は、楽天モバイルが日本ロジステックに業務委託した携帯電話基地局の整備に関する費用をおよそ9億2,000万円水増しするなど、約25億円を楽天モバイルに不正に請求し、だまし取った疑いが持たれている。警視庁は3人が受け取った不正な支払いは、2021年12月までの2年余りで約300億円に上るとみている。

くすねたカネでタワーマンション7戸を購入

 彼らは不正請求したカネを、しっかり懐に入れた。

 朝日新聞(3月7日付朝刊)によると、楽天モバイル元部長の佐藤友紀容疑者は、大手の銀行や自動車メーカー、外資系企業を経て2018年に楽天グループに入社。19年4月頃から楽天モバイルの基地局整備事業に携わるようになった。

 入社後は月百数十万万円の基本給を受け取っていたが、不正を始めたとされる19年10月ごろ以降、自身や妻が代表を務める法人などに約50億円がわたっており、これらの資金でタワーマンションや高級車を購入した。

 これらは楽天モバイルが不正な水増し請求を受けて支払った100億円近くの金がもとになっていた。不正請求300億円のうち、残りの200億円は取引の対価だったが、取引自体が不正と判断されたという。

 〈朝日新聞が確認したところ、佐藤容疑者は自身や妻の法人名義で少なくとも7戸のマンションを所有。このうち6戸は最上階の部屋だった。このほか、高級車など14台も購入していた〉

TRAILの元社長、「横領倉庫」に高級車ばかりそろえた

 盗人猛々しいのは、楽天モバイルの元部長だけではない。

 FRIDAYデジタル(3月3日付)は、水増し請求に中心的に動いた、物流会社社長TRAILの浜中治容疑者が、そのカネを高級車に投じた派手な生活ぶりを詳しく報じている。神奈川県相模原市内にあった、巨大倉庫のなかの様子について、写真を掲載してこう伝えた。

 〈手前右のあずき色の車は「初代フェアレディZ」、左の銀色の車は入手困難とされる「ランボルギーニウラカンGT3(推定7,000万円)」、その隣の黒い車がトヨタの最高級車「センチュリー(推定2,000万円)」、さらに奥の白い車が「ロールスロイス」で、最上級車種のファントム(推定7,000万円)だ。(中略)倉庫内には150台ほどの高級車が並び、事情を知る関係者の間では「横領倉庫」といわれるようになった〉

 浜中容疑者は楽天モバイルの不正請求で得たカネでレーシングチームを結成しており、レース関係者の話をこう報じた。

 〈2020年からレーサーの個人スポンサーをしていたトレイル(TRAIL)は、2022年1月にTMARというチームを結成してドリフトレース(車両の進行方向に対して意図的に横滑りで走る状態をキープしながら走行する競技)の世界に出てきました。とにかくやることが派手〉

 悪行は長続きしなかった。日本ロジステックは22年8月30日、負債151億円で民事再生法を申請。TRAILは23年1月13日、負債54億円で自己破産を申し立て倒産した。

(つづく)

【森村 和男】

(後)

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