任天堂創業家VS東洋建設の争いが泥沼化 6月の定時株主総会で両者は激突(後)
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海洋土木大手の東洋建設と、同社に対する”友好的TOB(株式公開買い付け)”を提案している任天堂創業家の資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス」との対立が泥沼化し、”全面戦争”に突入した。
YFOと東洋建設のトップ会談で交渉は決裂
インフロニアのTOB不成立を受け、YFOは5月19日に東洋建設経営陣の同意を前提として、6月下旬にもTOBに乗り出す方針を正式に発表した。
この買収提案以降、両社は250日もの間、回数にして20回、時間にして40時間以上もの協議を重ねてきた。22年10月以降は両社のトップ、東洋建設の武澤恭司社長、YFOの山内万丈代表による協議に移行した。
東洋経済ONLINEは、「任天堂創業家VS東洋建設『空白の250日の全貌』」シリーズ2023年2月7日付の記事で、22年12月5日に東京・神保町の東洋建設の本社11階の応接室で行われた5回目のトップ会談をこう報じた。
〈この日はそれまでのお互いの話をじっくり聞く紳士的なやりとりから一変。東洋建設が事前に提示した「全株式取得ご提案に賛同することはできない」と記述した非公式の書類に対し、万丈氏が気色ばんだ。「われわれの提案を受け入れないとは、どういう見解なのですか」「(東洋建設は)ガバナンスが効いていない」。結局、万丈氏は早々に席を立ち、30分ほどの短時間で会議は終了した〉
YFOは6月の株主総会で新たな取締役選任案を提示
年が明けた23年。YFOによる臨時株主総会の提案を東洋建設が拒否し、両社は”全面戦争”に突入した。YFOはどんな手を打つのか。
ロイター通信は23年3月3日、YFOのゴールドマン・サックス証券出身の村上最高投資責任者(CIO)のインタビューを掲載した。
〈東洋建設については、5月24日まで株式の追加取得を行わないという約束があるが、それ以降の対応は「現時点では決めていないが、(追加所得を)全く排除するわけではない」と話し、ゴール達成に資するかどうかが判断基準になる〉
〈YFOは東洋建設の成長を目指すことができるガバナンス態勢を構築するとし、6月の株主総会で武沢恭司社長ら3人の再任に反対する方針を表明する一方、新たな取締役選任案を提示するとしている〉
YFOは敵対的TOBを実施して、東洋建設の経営権を取得。洋上風力関連銘柄として人気が高い東洋建設を、洋上風力発電事業に進出したい企業に転売するハラのようだ。
6月の定時株主総会に最大のヤマ場を迎える。
(了)
【森村 和男】
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