【独自】旧統一教会関係者が福岡県八女市議会に抗議文
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23日、第20回統一地方選挙は北海道や大分など9道府県知事選の告示で始まった。福岡県を含む全国で1カ月にわたって首長および議員選挙が行われる。福岡県においては31日から統一選の前半戦として福岡県議会、福岡市議会議員選挙がスタートするが、後半戦は、久留米市や八女市など一般市町村で行われる。4月16日告示、23日投開票である。
統一地方選挙を前に、旧統一教会と政治の関係が再びクローズアップされている。その一例として、旧統一教会関係者から議長以下八女市議会議員全員に抗議文が送られていたことが判明した。
文書は、今月14日、福岡県八女市議会に提出された。提出者は、旧統一教会久留米家庭教会の信徒代表。抗議文は、A4用紙4枚にまとめられ、資料も添付されていた。16日に閉会した3月定例会最終本会議後の全員協議会において、20人(定数22)の全議員に文書が配布された。
データ・マックスは、抗議文と同封されていた「地方議会が世界平和統一家庭連合・友好団体に対する憲法違反の排除決議をしたことにより、地方自治体が提訴された実例」というフルカラーの添付資料を入手した。
抗議文では、昨年12月議会で可決された「旧統一教会による被害防止・救済を求める意見書採択を求める請願」「旧統一教会による被害の防止・救済を求める意見書」、議会より発議された「旧統一教会の活動に関する適正な対応および政治の信頼回復を求める意見書」について、憲法が保障する信教の自由や思想良心の自由などに反していると主張、また、メディアの連日の報道や国の対応によって旧統一教会の信仰を持つ人々が社会的な差別を受けているとも主張している。「八女市内での現在の被害実態を根拠とすることもなく、いわゆる左翼的団体からの情報を一方的に引用し、それをもって、あたかも反社会的な団体であると決めつけ、それに権威を与えるような議会の取り上げ方に強く抗議します」というものだ。
21年12月26日に、八女市が管理・運営する市民会館「おりなす八女」において、旧統一教会が主催するクリスマスイベントが800人規模で開催されるなど、八女市においても旧統一教会の活動が行われていた。抗議文を提出した久留米家庭教会は、昨年、教会の職員が教会の礼拝集会における選挙活動の報告をYouTubeにアップロードしていたことが発覚し、複数の放送局が大々的に報じていた。動画は、教団の渉外部長が、福岡・佐賀・大分の自民党議員の選挙結果を報告する様子を映したもので、涙ながらに語る一幕もあった。この動画は現在、削除されているが、2時間以上あり、そのなかで、前出の八女市でのイベント開催の案内が行われていた。
昨年、安倍元首相銃撃事件以降、教団のこれまでの活動として、正体を明かさず行われる勧誘活動や、社会通念上妥当といえない高額献金、韓国を侵略した日本はお金を貢ぐのは当然であるとする侮蔑的な教義、さらに小川さゆりさん(仮名)など宗教2世の問題が明るみとなり、国会において被害者救済法が成立した経緯がある。八女市議会が可決した2件の意見書は、そのことを踏まえたものだ。
先月20日、北九州市議会が旧統一教会と一切関係をもたないと宣言した決議については、同市在住の70代男性信者が、信教の自由と思想信条の自由を侵害されたなどとして、決議の取り消しと市に慰謝料など350万円の支払いを求め、福岡地裁に提訴している。八女市議会に対する抗議文と地方自治体が提訴された事例の資料にも、北九州市の提訴について言及されており、市議会議員選挙を控える八女市議会に対する圧力ともとれる内容だ。同様の文書は、三田村統之八女市長あてにも送られている。
八女市議会事務局は「採択された意見書は、霊感商法などの被害救済を目的としたものだ。信教の自由を侵害したとする抗議の内容は間違っており、遺憾に思っている」とコメント。また、自民党員でもある八女市議会議員(保守系)は「日本をエバ国、サタンの国などと呼び、収奪の対象とする教義をもつ団体が、選挙前に圧力と受け取られる抗議をしてきたが、市議会は断固そのような圧力に屈することはありません」と語った。
【近藤 将勝】
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