2024年11月29日( 金 )

インフレ誘導策の根本的誤り

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「キシダノミクスで格差拡大加速」と題する3月28日付の記事を紹介する。 

 インフレが進行し、政府は企業に賃上げを求める。一部の大企業は大幅な賃金引き上げ決定を公表している。この結果生じている現実は何か。格差の一段拡大である。

 自動車総連のメーカー部会に属する11メーカー労組のうち、トヨタ、日産、ホンダなど7つの組合は賃上げ要求に対する満額回答を獲得した。大手電機メーカーも労組の要求どおりの月額700円の賃上げ満額回答を示した。一部の大企業は高水準の賃上げを決定している。

 しかし、中小企業の状況はまったく異なる。城南信用金庫が1月10~13日に東京都や神奈川県の顧客企業738社に対象に行った調査では、「賃上げを予定している」と回答した企業は全体の26.8%。「賃上げを予定していない」と回答した企業が全体の72.8%だった。

 賃上げを予定している26.8%の企業でも賃上げ率は1~2%未満が35.4%で、大半が3%未満。インフレ進行で企業は原材料費や水道、エネルギー価格の高騰に直面している。本来は、中小企業でもコスト上昇分を商品やサービス価格に転嫁しなければ利益を確保できないが、上記城南信金調査では「価格転嫁ができていない」と回答した企業が80%を超えた。

 日本に存在する360万社の企業のうち大企業は1万1,000社強。企業の99.7%が中小企業で大企業は0.3%に過ぎない。労働者の数でも大企業は全体の約3割。7割が中小企業で働く労働者だ。また、大企業で働いていても非正規従業員は企業内組合の賃上げ交渉の恩恵を受けることができない。

 日本の労働者の賃金状況は悲惨な道筋を歩んできた。労働者1人あたりの実質賃金指数は2021年5月に前年同月比3.1%増加を示した。2020年5月のコロナ禍にともなう生産活動減退の反動もあり、記録的に高い伸びを示した。

 ところが、本年1月の実質賃金は前年同月比4.1%減少を記録した。2014年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられた。物価が上昇すればインフレ率を差し引いた実質賃金伸び率は低下する。このとき以来の激しい賃金減少が観測された。

 2021年5月から実質賃金伸び率はつるべ落としに下落し続けたのである。この状況下で一部の大企業の賃金だけが増加する。中小企業は賃上げしたくてもできない状況に置かれ続けている。

※続きは3月28日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「シダノミクスで格差拡大加速」で。


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植草一秀の『知られざる真実』

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