【BIS論壇No.411】躍進する第3の大国インド
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NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
今回は3月29日の記事を紹介する。3月28日、日本国際フォーラムでShauya Dovalインド財団理事による、インドの現状と将来に関する講演がありZOOMで参加した。インドの将来に対する自信満々の話しぶりに感銘を受けた。同氏によると、インドは2050年には人口が20億人に達し、世界人口の5分の1、20%を占める。
インドは貧困撲滅に成功しつつあり、世界最大の民主主義国家として世界に君臨する。独立以来100年を迎える次の25年を控え、インドは独立、自由をさらに発展させる。インドは今後、年間5~7%の経済成長を続け、2050年までには30兆ドルのGDP大国、ソフトパワー大国となる。日本もインドとの関係をさらに強化すべきだと力説した。
インドのモデイ首相は ”Make in India” 戦略を打ち出している。ソフトやITCなどサービス分野でのインドの躍進はすばらしいものがある。だが製造業では中国と比しても大きく出遅れている。日本の製造力、とくに中小企業の製造技術をインドに移転し、インドの製造業拡大に日本が大いに協力できる余地があるのではないだろうか。
さらに22世紀に発展が予想されるアフリカとインドの関係は、アフリカで活躍している1,000万人ともいわれる印僑との提携を目指し、日本企業がインド経由でアフリカに進出する可能性もある。日本の失われた30年の挽回にインドとの協力の方策をこの機会に日本としては真剣に考究することが望まれる。
安倍政権は「自由で開かれたインド太平洋構想(Free and Open Indo-Pacific=FOIP)」を打ち出し、世界第3の経済大国となるインドとの関係強化を打ち出した。その後、インドを巻き込み、QUAD(米、豪、日、印)結成や、バイデン政権が2022年5月に打ち出した「
インド太平洋経済枠組み(Indo-Pacific Economic Framework=14カ国で構成)」も、21世紀にインド太平洋地域で発展するインドを中国との対抗上取り込もうとの米国の戦略である。インドは2022年、中國を抜いて14億2,000万人の世界最大の人口大国、さらに旧宗主国の英国を抜き、世界第5位のGDP大国になった。2025年にはドイツを、2027年には日本を抜き、世界第3位の経済大国になるとみられる。このように経済、軍事でも米中に次ぐ大国として存在感を増しつつある。
米国、中国に次ぐ第3の大国と目されるインドを取り込む「インド太平洋構想」は、「中国の一帯一路」の対抗軸とみなされている。しかし、アジアにおける未来の大国、中国とインドの間に立ち、日本としては両構想を融合し、アングロサクソンの競争志向ではなく、アジアの『和』の精神で、両構想をアジアの繁栄、ひいては世界の繁栄に導くべきではないか。
21世紀のアジアの時代に、日本は巨視的な視点に立ったアジア戦略構築に尽力すべきだ。
<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)
鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)関連キーワード
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