九電「公取委と見解の相違がある」なら、即刻会見を
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昨年12月に公正取引委員会(以下、公取委)が九電など電力各社に対して、カルテルを結んでいたとして処分案を通知していた件で、公取委は30日、当該5社に対して当該の排除措置命令および課徴金納付命令を行った。
上記命令を受けたのは、中部電力(株)、中部電力ミライズ(株)、中国電力(株)、九州電力(株)および九電みらいエナジー(株)の5社。関西電力(株)は談合を主導していたものの、違反について自ら当局に申し出て捜査に協力したことから、課徴金減免(リーニエンシー)制度によって課徴金を免れている。
命令を受けて中部、中国、関西の3電力は社長や副社長が記者会見を開いた。九州電力は対照的に会見を開いていない。
九州電力は現時点で会見を開く予定なし
31日、当社は九州電力に対して、今回の命令に対する見解と会見の予定について質問したところ、次のような回答であった。
「本件の事実認定に関して、公正取引委員会と当社との間で見解の相違がある。各命令の内容を詳細に確認したうえで、今後の対応を慎重に検討していく段階にあるため、詳細を説明することは困難な状況です。現時点では何も決まっておらず、当社の対応が決まった場合に、会見を開くかどうかについても現時点では決まっていません。」
まだ、対応を確認中とのことであるが、先述のように処分案は昨年12月の段階ですでに出ており、他の3社は下記の通り昨日時点でそれぞれの姿勢を明らかにした。同じ処分を受けた他社に遅れて自社の対応を決める場合、どうしても他社の決定を念頭に置いた日和見的な姿勢が経営判断に入り込むものだ。少なくともステークホルダーや世論はそのように見なすし、また、曖昧な姿勢が長引くほど、内外の利害関係者による保身を目的にした圧力が経営に対してかかり始め、判断に影響をおよぼそうと暗躍し始めるものだ。
現在、原子力をめぐる世界の情勢はウクライナ戦争前とは大きく変わり、日本政府も原発再稼働へ舵を切り、追い風となっている。しかし、これを好機到来などと慢心しないことだ。九州電力が抱える問題は、原発さえ動けば問題ないといえるほど小さくは決してない。九州電力は一刻も早く公取委の勧告に対する自社の判断を明確にし、社会的責任の一端を担う企業として、倫理的な見識をもった会見を行うべきである。
3月30日に会見を開いた3社の姿勢
中国電力 課徴金:707億1,586万円
滝本夏彦社長と清水希茂会長が引責辞任することを発表した。同社は2023年3月期の決算をめぐり、課徴金を特別損失に計上することで最終赤字が1,740億円になるとの見通しを1月31日に発表している。中部電力 課徴金:275億5,590万円
水谷仁副社長は会見で、関西エリアにおける不当な競争を図った事実はなく、司法の公正な判断を求めたいとして、分取り消しを求めて東京地裁に提訴する方針を示した。関西電力 課徴金:なし
森望社長は会見で、20年の秋ごろの社内調査で違反と見られる行為を認識し、その時点で公正取引委員会に報告したとしている。当時関西電力は、経営幹部ら20人が、福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていたとされる問題で捜査を受けており、その過程で露呈したと取りざたされている。また、カルテルの詳細については「他社のことなので」として回答を避けた。【寺村朋輝】
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