2024年12月22日( 日 )

某党、選挙事務所の現実を覗いてみた!

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 統一地方選挙の真っ最中、当社も選挙を盛り上げるため、日々、記者たちが現場を駆け回っている。しかし記者の苦労なぞより、市民のため、未来のため、選挙活動にいそしむ多くの関係者の努力にはまったく頭が下がる思いだ。

 政治も選挙も1人ではできない。人の集団として取り組むため、それぞれの組織、政党でカラーが異なり、またドラマがある。その1つ、中央に対して驚くほど従順な地方組織で知られる某党には、地方党員として献身的に福祉や貧困者の支援に取り組み、まじめな活動をする方もおられる。

 そんな活動を聞けば、根っからの人情派と自認する当社報道部は捨て置かない。現場を歩けと日々叱咤を受ける出不精、かつ筆不精の記者であっても、判官贔屓の心情もあり応援をかねて取材先の1つにいれるのである。

 ところが、そんな記者の素朴な心情を木っ端みじんにする現実に直面した。某党、選挙事務所のなかで、あいさつとして差し出した名刺に対する事務局長のコメントは以下である。

 「データ・マックス? そんなマスコミは聞いたこともないわ。そんな名も通らないメディアに、何で話をせないかん。ちゃんと名の通った新聞社の記者なら、ちゃんと責任をもって立派な記事も書くだろうから、話もしてやるが。何を書くかもわからんようなメディアに話なんてするはずないだろう。そんなどこの記者かもわからんようなやつがずうずうしく取材なんか来られても、コメントなんてしたくない」

 はからずも、こんな態度を取らせてしまった名もないメディアで恐縮である。上記文章では端折ったが、実際の会話ではあまりにも、「名もないメディア」(恐縮です)と「名の通った新聞社」の対句を好むので、記者もせめて「名の通った大手新聞社は信頼できるのなら、なぜ御党の中央委員長は某大手新聞社の社説に目の色変えて噛みついたんですか」と応じたかったが、名もないメディア風情が何を言っても無駄らしい馬耳東風のオーラに阻まれて、取材拒否を確認する以上先に進むことはできなかった。

選挙事務所 イメージ    さて上記の面談は、決して1対1の対面で出た発言ではない。事務所のなかで他のスタッフもいるなかで堂々と行われた。もちろん上記のコメントは某党のスタンスではあるまい(と、私は信じたい)。彼は明らかに自分の立場、自分の気分で事務所のスタンスを左右できることを誇示していたのである。

 同じ事務所の他のスタッフは真面目で謙虚そうな人もおり、話が聞けそうであったが、しかし誰もフォローできる雰囲気ではなかった。もちろん、名のあるメディアの取材であればこのような発言はなかったかもしれない。当人のプライドも満足したかもしれない(返すがえすも名もないメディアで恐縮だ。)

 だが、驚くことではない。これも政治と選挙の現実の1つである。選挙ではパワハラやセクハラも起こり得るが、権力に直結したイベントであるゆえに、組織に巣食う人間がおり、ストレートにその人となりがあらわになる場面に遭遇するのである。そういう人たちにとって、権力は自己満足であり、何のために選挙をするのか、何のためにメッセージを発するのかは分からないのである。

 名もない記者はただ現場をまわり、こんな場面に出くわしても記事を書くだけだが、そんな事務所で一生懸命、選挙活動にいそしむ人たちは気の毒だ。色んな選挙事務所に出入りしている人なら、おかしな権力構造にも気づくだろうが、特定の政治信条のもとに1つの事務所に縛られているスタッフは歪んだ世界に気づかない。

 某党は党勢の衰退が著しいと聞くが、その結果がこれなのか、それともこういう状態だから党勢が衰退するのか。それは某党の関係者に聞きたいところだが、この記事は某党の関係者ばかりに対する問いかけのためにあるのではない。

 政治に携わるすべての人たちに伝えたい。

 政治や選挙、そして自分の立場について、あなた方が日々どのような姿勢で取り組んでいるか、すべて態度に出ていますよ。

【寺村朋輝】

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