北九州で自民後退~統一選こぼれ話9
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9日、福岡県議会選挙(北九州市八幡西区)において、自民党福岡県連幹事長で現職の松尾統章氏が7期目の当選をはたした。6期24年のキャリアをもち、先代からの地盤を維持・発展させてきた松尾氏は、1999年の初当選以来となる7回連続のトップ当選を達成した。県連幹事長として、北九州地区での強固な支持基盤が示されたかに思われた。
しかし、得票数を見るとそうとは言い切れない。今回、選挙区割りと定数が変更され、八幡西区の定数は4人から3人へと変更された。これを受け、同選挙区における自民党公認候補は松尾氏1名となったが、前回2019年の選挙における松尾氏の得票数は2万2,219票、もう1名の自民党候補との合計得票数が3万5,152票であったのに、今回、松尾氏の得票数は2万993票にとどまった。
北九州市内7選挙区における自民党の選挙情勢変化を分析するために、19年と23年の福岡県議選の結果を比較すると、投票率の大幅な低下の影響もあり、自民党公認候補の合計得票数は約30%減少した。投票率の低下が選挙情勢の変化を示すものではないとはいえ、党勢の低下は否定できず、福岡県議会での議席数は北九州市の選挙区全体で1つ減った。
これらの変動の背景には、先の北九州市長選挙での自民党県連の混乱が影響している可能性がある。市長選では、同じ保守系で武田良太元総務大臣が支援する津森洋介氏と麻生太郎氏が応援する武内和久氏の両名が立候補し、結果的に武内氏が当選した。市長選により党内の意見対立が表面化し、その影響が県議選にも波及したとみられる。松尾県議は市長選後、「処分するよりも、市長選の総括が必要」と語り、統一地方選挙への影響を回避しようとしていたが・・・。
今後の自民党福岡県連にとって、党勢回復のための戦略は不可欠だろう。戦後日本の社会繁栄を導いた自民党体制は、実績ある社会システムといえる。しかし、変化する社会環境のなかで、そのシステムの劣化が進み、多くの国民が恩恵を受けられないことが投票率の低下の根本原因としてある。政治を国民1人ひとりの「身近なもの」にするためには、現行システムへの革新的な提案を示し、より多くの有権者を取り込む必要がある。生み出した者たちが自ら改革を行う。それがなければ、大衆は生き抜くために、いずれ革命を求めることになる。
【児玉 崇】
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