中国経済新聞が見る、ソフトバンクのアリババ株売却
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度重なるアリババ株売却によるソフトバンクの資金調達
ソフトバンクグループ(以下、ソフトバンク)が中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング(以下、アリババ)の株式をほぼすべて売却することが分かった。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が4月12日、米証券取引委員会への提出書類を基に報じた。FTの分析では、先渡し売買契約でソフトバンクのアリババ株保有比率は最終的に約15%から3.8%に低下する。
同紙によると、ソフトバンクは今年、前払先渡し契約を通じて約72億ドル (約9,500億円)相当のアリババ株を売却した。ソフトバンクとアリババの関係は、長年にわたる投資パートナーシップによって築かれてきた。この関係は、両社に多大な利益をもたらしており、それぞれのビジネス戦略にも影響を与えている。
ソフトバンクとアリババの関係は、2000年に始まった。当時、アリババはまだ小規模なインターネット企業であったが、ソフトバンクはその将来性を見抜き、約2,000万ドルを投資した。この投資は、アリババの急成長を支援する一方で、ソフトバンクにも大きな利益をもたらした。ソフトバンクは、アリババの大株主として、長年にわたって同社株を保有してきた。一時期、ソフトバンクはアリババの株式の約34%を保有し、アリババの株価上昇によって大きな利益を享受していた。しかし、近年は株式の一部売却を行っていた。
FTによれば、今回、ソフトバンクのアリババ株売却は、デリバティブ(金融派生商品)の一種である先渡し売買契約によるものだという。同契約は調達資金の返済期限を迎えた際に、現金で返済するか、差し出した株式を返済に充てるか選ぶことができる。ソフトバンクは22年にも同様の取引で多額の資金調達をしたほか、株式で返済することでアリババ株の保有割合を下げていた。ソフトバンクのアリババ株の保有割合は22年12月末時点で13.5%であったが、今回の取引で残るアリババ株の大部分を契約に差し出したことになる。
資金調達が必要なソフトバンクの事情
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孫正義氏と馬雲(ジャック・マー)氏が、なぜ別れたのかソフトバンクが赤字を計上する原因は、主にIT企業による投資の失敗や、他の子会社の業績低迷などだ。とくに世界の人工知能(AI)関連の未公開企業に投資する「ビジョン・ファンド」事業の苦戦を受け、財務調達を強いられている。
ソフトバンクは今回のアリババ株の売却によって、資金調達や利益確定、リスク回避、ポートフォリオの多様化を行い、企業価値の最適化、赤字の原因への対処などに取り組むことになる。これらは相互に関連しており、状況に応じて異なる重要度があると考えられる。
ソフトバンクはFTに対して、アリババ株売却は事業環境をめぐる不透明感の高まりに対処する守勢へのシフトを反映したものと説明。そのうえで、5月の四半期決算発表で詳細を明らかにすると述べた。
ソフトバンクとアリババは、ロイターの取材に対してコメントしていない。13日の取引でソフトバンクの株価はほど変わらず推移した。一方、香港市場のアリババは一時5.2%急落し、その後下げ幅を縮めた。
ソフトバンクは昨年半ばにアリババ株を売却して、保有比率を23.7%から14.6%に引き下げた際には、340億ドルの利益を計上した。
アリババの株価は、中国当局によるテクノロジーセクターの監視強化を背景に、20年終盤に付けた最高値の3分の1以下に下落している。
ピクテ・アセット・マネジメントのアジア特殊事情担当責任者、ジョン・ウィザール氏は、ソフトバンクが「利益の出る保有株を収益化しなければならない状況にあることが明確に示されている」と指摘。傘下の英半導体設計会社アームの新規株式公開(IPO)も実現に近づいているため、アリババ株の売却ペースを緩めると一部の人は考えていたのかもしれないとも述べた。
アリババ株売却の理由は、アメリカ市場における上場不安説?
しかし、別の見方もある。ひょっとするとソフトバンクのアリババ株売却は、売れるうちに売ろうということだったのかもしれない。損失の穴埋めのために現金化したというよりも、アメリカの市場で中国企業が上場しているうちにカネに換えるということだ。たとえば、19年にアメリカのナスダックに上場したラッキンコーヒーという中国発祥のチェーン店があるが、同社は20年に粉飾決算問題が明らかとなり、ナスダックから退場させられた。現在は下位市場に当たるピンクシートで取引されている。要するに、アリババのみならず中国企業のアメリカ株式市場から撤退リスクが高まっているため売り払ったのではないかということだ。最後の最後になったら、みんなが出口に押し寄せて値段もつかなくなると心配して、孫正義社長もアリババ株をすべて売却したいと考えたのだろうか。
3月28日、アリババは、同社が持株会社に移行し、会社をクラウド、中国国内の電子商取引、グローバルな電子商取引、デジタルマッピングおよびフード宅配、物流、娯楽・メディアの6事業に分割し、各事業で独立した経営体制を構築するという計画を発表した。この6事業グループにはそれぞれCEOと取締役会を置き、業績について一切の責任を負う。
アリババと表裏一体だったアリペイなど金融事業を運営するアントグループは、すでに総業者の馬雲(ジャック・マー)氏が議決権株式を手放し、アントに対するアリババの影響力は薄れている。
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