孔鉉佑・前中国駐日本大使に聞く「中日関係は競争から協調に変えるべき」(後)
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2月24日に王秀君夫人とともに主催したお別れのパーティーでは、各界から1,500人以上が集まって孔大使や夫人と語り合った。
この場で福田康夫元首相は、気持ちを込めた挨拶として「国際情勢や日中関係が極めて複雑であるなか、日中間の交流や協力事業にひたすら取り組んできた孔大使に心から敬意を送る」と述べた。
孔氏は38年間の外交生活のうち、日本関係の職務期間が31年間におよび、両国関係の改善や発展の歩みに身を投じ、試練の時も重大な両首脳の決断の時も見つめてきた。孔氏は、「両国関係の基本軸は経済協力であって、双方は50年間にわたり相互利益をベースにトータルな協力関係を築き上げた」という。
現在、中国に進出している日系企業は3万社以上で、年間5,000億ドル以上という中国での売上高をもって日本経済の成長を後押しし、中国の現代化を支えている。日本ではこのところ、中国との経済協力でやや変化がみられるが、孔氏これに対しても次のように述べた。
「これは大方の見解ではなく、日本の政界やビジネス界のトップは今でも中国を極めて重要視し、中国の社会や経済の発展は日本の経済的繁栄や成長に極めて大切だと見ている。よって日本政府は中国との協力を完全にあきらめることはないだろうし、よくいわれる 『脱中国』が日本政府の政策的中心線だ、との見方も正しいとも思わない。よって、今ある問題は重視すべきだが、一部のマイナスな動きに対して自らの立場や原則を堅持し、経済界における前向きな中国との協力姿勢を維持すべきだ」
これからの中日関係について孔氏は、重視すべきなのは信頼関係を築くことであるとしたうえで、「尊重し、信頼し合い、平等な活計をベースに学び合えば、ともに進歩できる。日本には、世代にわたり友好を願うという良識に満ちた健全な願いが常に存在しており、こうした力が存在する以上は両国関係の未来に希望がもてるはずだ。僅かな火でも必ず広大な勢いになる」と述べた。これはおそらく、日本国民に対する孔氏の願いなのだろう。
駐日大使に就任した19年当初は、孔氏もさまざまな企画や青写真を胸に描いていたであろう。あるいは中日関係の新たな時代を切り拓いて互恵協力という新たな枠組みを形成すべく、習主席の日本への公式訪問も実現させたかっただろう。しかし、コロナ禍の3年間がそのような志を未完結なものにしてしまった。
事を成し遂げるには、時の運、地の利、人の和が必要だ。孔氏は、「中日両国は50年間もの試練を経験し、先代の政治家がこの間に大変な努力をした」という。どの世代にもそれぞれ使命があって、努力していけば中日両国は必ずや学び合うことができる隣家となり、ともに成長するパートナーになれる。中日両国が本当に友好になれば、世界もますますよくなるのだから。
(了)
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