減少し続ける日本の人口:西暦3000年には14人になる!?
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
今回は、4月28日付の記事を紹介する。4月26日、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は2070年までの日本の将来推計人口を公表しました。それによれば、我が国の人口は2020年の1億2,615万人と比べ、3割ほど減少し、8,700万人になるとのこと。そのうち、外国人が1割を占めるようになる模様です。
出生数は2070年には50万人にまで下がると見られます。要は、江戸時代の人口に逆戻りするというわけです。
しかし、より長期的な視点に立てば、日本の消滅という事態も否定できません。なぜなら、現在のような出生率が続き、死亡率も変化しなければ、西暦3000年には、日本の人口はわずか14人になるからです。もちろん、計算上の推計ではありますが。。。
にわかには信じ難いでしょうが、丹念にデータを追っていけば、そうした日本の未来が見えてきます。とはいえ、今から977年後の話です。心配しても始まりませんが、気になる人もいるでしょう。
日本人がたった14人しか地球上に存在しなくなるのは、いかにも寂しいではありませんか。そこで期待が高まっているのが、胎児の冷凍保存とAIロボットを使った人工生殖技術です。
先ずは、胎児の冷凍保存ですが、1992年に冷凍保存された胎児の双子が30年経った最近、無事にこの世に再生しました。CNNの報道に依れば、アメリカのオレゴン州のポートランドで確認されたビッグニュースです。
最初に生まれたときには、さまざまな事情で育てられないと判断したため、マイナス200度で冷凍保存措置が施されたとのこと。全米胎児寄付センターの責任者曰く、「マイナス200度で保存すれば、1週間でも10年でも、さらにいえば今回のように30年でも安全に生命を維持することができ、必要なときに再生させることができる」。
要は、今は養育することができなくても、将来のために冷凍保存しておけば、環境が整ったときに、自分たちの子どもを手にすることができるというわけです。
また、「MIT技術レビュー」によれば、スペインのベンチャー企業がプレイステーション5のコントローラーを使うことで、人間の精子と卵子の結合を成功させ、無事に2人の赤ん坊を出産させたとのこと。
通常の場合、人工的に精子と卵子を結合させるにはディッシュ上で微細なメスを操作する高いレベルの専門家の技術とコストがかかります。しかし、「オバーチュアー」というスペインの企業は「YouTube」の元CEOから資金提供を受け、3,700万ドルのコストをかけ、ロボットアームでの精子と卵子の結合に成功し、赤ん坊を誕生させたのです。
これは人類史上初の快挙と言われています。こうした海外の成功事例は日本にとっても参考になるでしょう。いうまでもなく、現時点では経済的、あるいは肉体的な制約の下で、妊娠や出産が叶わない場合でも、将来に備えて精子や卵子を保存しておくことで新たな可能性が生まれてきます。しかも、万が一、生まれてきた胎児であっても、冷凍保存することで将来により良い環境で育てるという選択肢もあり得るわけです。
日本でもお隣の中国でも少子化が急ピッチで進んでいます。中国の場合には、世界最大の人口大国の座を本年、インドに奪われました。何しろ、インドでは女性が平均的に出産する子どもの数は6人です。長年、「一人っ子政策」を継続してきた中国では適いません。
そこで中国ではロボットと人間の合体による新たな人口増加策を研究するようになったようです。1人の女性が生涯に産む子どもの数を示すのが「合計特殊出生率」ですが、現在、日本の場合は1.33で、今年末には1.23になると見られます。
人口が減らないようにするためには、2.07以上が必要です。戦後のベビーブームの時代には4.54でした。日本の少子化に歯止めがかからない状況は変わらず、いずれは日本の総人口は14人ということもあり得るでしょう。
であれば、将来の日本民族の絶滅を回避するには現役世代が精子と卵子を冷凍保存し、必要に応じて赤ん坊を誕生させるという選択肢を選ばざるを得ないのかも知れません。日本人の未来が問われています。
次号「第340回」もどうぞお楽しみに!
著者:浜田和幸
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