【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史(34)】「『命ファースト』終了」でガンガン稼ぐ!?──令和5年度予算と中長期計画(6)
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新学期がスタートした。福岡大学でも4月1日、入学式が執り行われ、4,820人の新1年生がキャンパスライフを送り始めたところだ。これに先立ち、執行部は令和5年度の予算編成を行っていたが、3月30日の理事会および評議員会にて承認されたもよう。令和4年度の決算見込と向こう10年間の中長期計画も示された。そこに浮き彫りになる「学長のビジョン」とは…。
根底にあるのはルサンチマン、そして偏差値至上主義
このように、朔執行部は今後、メディカル部門への「選択と集中」を加速させていく方針を明確にしている。では、その資金はどうするのかといえば、施設・設備関連特定資産をガンガン取り崩して充てるつもりのようだ。これにより、運用資産でもある682億円もの積立金は、令和9年度には半分以下になる。
特定資産の減少を埋め合わせるかのように、朔執行部は令和9年度から「現金預金」の右肩上がりの増大をうたっているが、もちろんそれは、先にも述べた、病院部門の右肩上がりの増収を前提としている。そのころには新しくなった福岡大学病院と筑紫病院、そして積水マンションとともにオープンする新病院の、3つのきれいな病院で、商売繁盛というわけだろうか。ある病院経営者は取材に答えてこのようにいう。
「病気を抱える人は、なにも建物の新しさ、きれいさに惹かれて病院を選ぶばかりじゃありませんからねえ…。最初は患者さんも増えるかもしれませんが、やっぱり医師やスタッフのクオリティを上げたり専門の幅を広げたりのほうが本質だと思いますよ。ハコを増やせば当然費用が嵩みます。そうすると、早晩コストカットに血道を上げることになり、医療サービスの低下を引き起こすことになりかねません。とくに、今回決まった子ども病院跡地の病院は病床数117床ということですが、これは経営が最も難しいといわれる規模。大丈夫なんですかね」
いずれにせよ、朔学長は、母校を“医学部とその附属病院がメインで残りはおまけ”のような構造にしたいのかもしれない。だが、繰り返すように、福岡大は長い歴史と幅広い専門分野を擁する西日本最大規模の総合大学である。「そんなに附属病院の経営に入れ上げたいなら、いっそのこと病院部門を大学から切り離し、朔記念病院でもなんにでもして勝手にやればいい」。吐き捨てるようにそう話す関係者もいる。
長年、不採算部門として学内で冷たい視線を浴び続けたことのルサンチマンがあるのではという人もいる。また、ある現役教授の次の指摘も興味深い。
「うちの医学部は全国の医学部のなかでは偏差値の高い方ではないけれど、福岡大のなかでは最も偏差値が高いもんですから、朔学長はこれが福岡大のメインになるのは当然と考えているふしがあります。つまり、医学部以外の諸学部のことを、“下級”学部として見下しているわけですね。愚かな話です。こんな、受験産業が模試の成績でつくり上げたものを物差しにして、大学内部でいらぬ序列を設け、自分がその頂点に君臨している気分でいるなんて」
「ルサンチマン」と「偏差値」を原動力とした、福岡大学医学部および附属病院の繁栄=金儲けという「学長のビジョン」。この見立てが正しいとすれば、文字どおりの「『命ファースト』終了」という状況が、学校法人福岡大学を待ち受けているのかもしれない。
(了)
【特別取材班】
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