日本は人権を尊重して、移民政策を転換すべきである~アザーニュース
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世界総裁 明川 文保 氏Net I・B-Newsでは、ニュースサイト「OTHER NEWS」に掲載されたDEVNET INTERNATIONALのニュースを紹介している。DEVNET(本部:日本)はECOSOC(国連経済社会理事会)認証カテゴリー1に位置付けられている(一社)。「OTHER NEWS」(本部:イタリア)は世界の有識者約1万4,000名に英語など10言語でニュースを配信している。今回は5月11日掲載の記事を紹介する。
衆議院は外国人収容を厳格化する入管難民法改正案を可決した。この法案は2021年に廃案に追い込まれた改正案とほぼ同じ内容である。名古屋出入国在留管理局施設でスリランカ人女性が死亡し、入管の人権軽視が批判を浴びたことへの反省がまったく感じられない。なぜならば、これは日本政府の理念なき移民政策の為の改正案だからである。
改正案は、難民認定申請の回数を原則2回までに制限し、一時的に社会で生活できる「監理措置」を新設する。だが、監理措置を適用するか否かの判断は司法ではなく、入管当局に委ねられる。また、改正案は収容への司法関与や収容期間制限にも触れていない。長期収容に抗議したナイジェリア人男性のハンスト死や、適切な医療を怠ったスリランカ人女性の死亡事故によって明らかになった入管の人権軽視の改革を求める声を無視しているのである。国連人権理事会の特別報告者らは今年の4月、改正案を国際人権基準に満たないと勧告した。しかしながら、日本政府はまったく聞く耳をもたないのだ。
不法入国や不法残留で摘発される外国人は年間約1万7,000人で、入管が問題視しているのは約3,000人の送還拒否者たちだ。しかし、その大半は日本で生まれ育った人たちか、または祖国で迫害を受けかねない難民申請者たちだ。そのような人たちを「長期収容」するから問題が起こるのであって、長期収容をやめて難民として認定し、社会に受け入れれば良いだけのことなのである。問題の原因は欧米各国に比べ極めて低い日本の難民認定数・率にあるのだ。2021年度の日本の難民認定数はたったの74名、難民認定率は0.7%である。G7のなかでは最低である。他国の認定数・認定率は、ドイツ3万8,918名・25.9%、フランス3万3,801名・62.1%、カナダ3万2,571名・17.5%、米国2万590名・32.2%、英国1万3,703名・63.4%など、日本とはケタ違いである。まずはこの異常な「鎖国」状態を解消することが先決ではないだろうか?
ところが、日本政府の姿勢は国外追放の強化に終始している。日本も加盟する難民条約は難民申請中の送還を禁じているが、日本政府は申請の繰り返しが長期収容の原因だとして、新法案に申請回数の制限を盛り込んだ。この制限は難民保護の国際規範に違反している。2022年夏にトルコ国籍クルド人として初めて難民認定された1人はそれまでに2回、入管当局に申請を拒まれていた。入管の処分を取り消す札幌高裁の判決により難民認定されたが、改正法案成立後なら送還されてしまうのである。
また、監理措置が新設されても、国連が国際人権規約違反と批判する無期限収容の仕組みは手つかずのままである。収容に司法審査を介在させるべきだとの提案も考慮されなかった。名古屋入管での死亡事件後、当時の法相は「収容施設として人を扱っているという意識がおろそかになっていた」と謝罪したが、改正案を見る限り、人権軽視の姿勢は変わらない。
日本政府が、このような法律改正を行おうとしている背景には、労働力不足解消の為にすすめている「外国人労働者」の受け入れ促進がある。外国人労働者の受け入れについては大幅緩和するが、厳しい移民政策はこれまでどおり維持するというメッセージなのである。しかしながら、厳しい移民政策を維持することが日本にとって本当に良いことなのであろうか?世界中には一億人の難民がいる(2022年国連統計)。2022年に日本が受け入れた難民の数は202名(そのうちの147名はアフガニスタン人)であり、不認定とした難民申請者は1万人以上である。人権を尊重して難民を受け入れるには移民政策の転換が不可欠である。
弥生人は大陸系の移民であった。その後の歴史においても、奈良の都づくりに文字・宗教・法律などを中国・韓国から導入、安土・桃山期の南蛮人、明治期の欧米人の受け入れ、戦前・戦中における朝鮮半島からの移住者など、日本は本来、移民や外国の知恵を大いに受け入れ、発展してきた国家である。日本は、単一民族国家だという幻想に基づいた中途半端な現状維持の移民政策を止めて、人権を尊重して難民を受け入れ、労働力不足の解消の為に移民を促進するというはっきりとした政策に転換すべきである。
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