2024年12月22日( 日 )

新電力撤退訴訟、勝訴した大牟田市「清算人に賠償金支払いを求める」

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大牟田市役所 イメージ    大牟田市の関好孝市長は15日、定例会見を行い、大牟田市が新電力の(株)ウエスト電力を訴えていた裁判の判決で、同市が勝訴した件について言及した。

 関市長は、現在、特別清算の申し立て中であるウエスト電力に対する賠償金については、「清算人が選任された場合、清算人に対して賠償金の支払いを求める」とした。

 本件裁判では、ウエスト電力が契約途中で事業から撤退したため新たな電気料金の負担が生じたとして、大牟田市がウエスト電力に対し4,300万円余りの賠償を求めていた。福岡地方裁判所久留米支部の立川毅裁判長は12日、判決で「同社が市と協議せず、一方的に契約の解除を通告したのは、解除として有効ではない」とし、また、「ウクライナ戦争などの事実は統制することが困難としても、電力仕入れ価格の変動の可能性があることは契約時に考慮でき、そのリスクは会社側が負担すべきである」として、市側の訴えを認め、ウエスト電力に対して賠償を命じる判決を言い渡した。

 ウエスト電力は、2014年9月に設立された新電力会社で、一般企業や地方自治体などへ電力を供給していた。しかし、ウクライナ戦争などによるエネルギー供給不足と円安にともなう市場電力価格の高騰によって、仕入価格が販売価格を上回る逆ザヤ状況が発生し、急激に収益が圧迫される状況が続いていた。その結果、同社は22年3月に電力小売事業からの撤退を表明し、同年6月末日をもって電力の供給終了していた。これに対して大牟田市や宮崎県日向市などの複数の地方自治体が、突然の契約打ち切りを違法として、損害賠償請求訴訟を起こしていた。

 ウエスト電力は、(株)ウエストホールディングス(東証スタンダード、広島市)の連結子会社。4月28日、親会社のウエストホールディングスは、ウエスト電力の特別清算を東京地裁へ申請することを発表していた。

 15日の市長定例会見において市の担当者は、ウエスト電力による電力供給が停止して以降、大牟田市の電力供給は九州電力との随意契約に切り替える状況となっており、「当年度いっぱいは随意契約であるものの、来年度は一般入札に切り替えるかどうかは不明」とコメントした。また、ウエスト電力との訴訟費用についても、勝訴した場合でも費用負担は市側になるとしたうえで、「市側が予算化した弁護士費用は200万円で、この範囲内で支払っていくことになるが、弁護士事務所と相談が必要」と語った。

【寺村朋輝】

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