【6月衆議院解散へ】福岡の衆院選情勢~福岡9区
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G7サミットも閉幕し、国会会期末が近づくなか、内閣支持率もあがり、永田町では解散風が吹いている。岸田首相は、24日の衆院予算委員会で、衆院解散・総選挙に踏み切る可能性について「今は重要な政策課題に結果を出すことに専念すべきときであり、今、解散については考えてはいない」と述べたが、永田町界隈は俄かに慌ただしくなりつつある。
衆議院に移りたい大家氏
福岡において、11選挙区のうち、9選挙区は自民党が握っている。問題は9区と10区である。「再び保守分裂の火種 福岡9・10区などの自民公認問題」でも取り上げたが、前回の衆院選で、自民党が敗北した選挙区である。9区は北九州市若松区、八幡東区、八幡西区、戸畑区が選挙区である。かねてより、衆議院への鞍替えを狙っているのが参議院議員の大家敏志氏だ。参議院議員は、全県区だから福岡県全体を広くカバーしなければならない。
しかし、大家氏は、参議院議員になる前、県議会議員時代、八幡東区より県議に選出されていた。自身も北九州市出身であり、いずれは衆議院へ、代議士になりゆくゆくは大臣へと願望があるはずだ。ただ、前回までは、元防衛庁長官を務め三原朝雄氏の次男の朝彦氏がいた。現職の支部長がいる以上、衆院に移れない。そこにチャンスが巡ってきた。北九州市長選挙では、元国交官僚の津森洋介氏を担いで全面支援した。しかし、親分の麻生太郎副総裁は、津森氏の応援に消極的。事実、麻生氏は津森氏の推薦のサインを行わず、12月の大家氏のセミナーで講師を務めるはずだった麻生氏は急遽キャンセル。参加者はドタキャンに驚いたという。どうやら親分の機嫌を損ねることがあったようだ。
麻生系の県議や市議の中にも元厚労官僚の武内和久氏を応援する者たちが現れた。結果、武内氏が市長の座を射止めた。
次こそはなんとしても失点を挽回しなければならない。解散が噂される中、4月26日、自民党福岡9区支部は会合を開き、空席となっている支部長の公募を行うことを決めた。公募で候補者を募り、党員投票で予備選挙を行うという。大家氏と同じく国政への転出を窺っているのが、前支部長の三原氏の甥で、現在、北九州市議会議員の三原朝利氏である。市長選で自民党市議団を離脱し、武内市長を応援した一人でもある。
市議団は、自民党県連に三原氏らの処分を求めたが、結局うやむやになっている。現在、自民党県議団会長の松尾統章氏は最初から処分に消極的であった。分裂を避ける苦肉の策だといわれる。
西川京子氏の教訓
大家氏と三原氏、公募に応じるとしてそのどちらが支部長となるか。三原氏に近い西川京子元厚労副大臣、前九州国際大学学長は、福岡10区の支部長を山本幸三氏に取られた苦い経験がある。西川氏は、夫が熊本県の葦北郡津奈木町の町長。野中広務氏の要請で、2000年比例九州より自民党公認で立候補し初当選した。
その後、郵政選挙において落下傘で、自見庄三郎元郵政大臣の対抗馬として福岡10区に自民党公認で出て当選。しかし、自民党県連と関係が良好といえなかった。12年の衆院選で山本氏が10区支部長となり、西川氏は無所属での立候補も検討したが、最終的には、麻生太郎氏や安倍晋三氏らに説得され、比例九州ブロック単独候補として立候補した。西川氏は親しい周囲に「福岡の自民党は、金のことばかり。中二階の県議が幅を利かせて、長老政治家と県議の談合で支部長を決めた」と恨み骨髄であったときく。
この西川氏の苦い経験を踏まえると、三原氏にとって政治家人生をかけた挑戦となるだろう。現在、9区の衆議院議員は、緒方林太郎氏。元外務省職員で、政策通。思想的に中道で、保守票を取り込める度量がある。ここを自民党が奪い取るのは容易なことではない。
【近藤 将勝】
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