半導体に次ぐ韓国成長エンジンか、バイオ医薬(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏半導体が牽引している韓国経済
韓国は輸出主導型の経済構造である。そのような状況のなか、半導体の輸出は韓国全体輸出のうち20%程を占め、韓国経済を下支えてしている。
ところが、コロナ禍中の2021年に世界的に半導体不足が起き、自動車産業が主要産業となっている米国、日本、ドイツなどでは、大きな打撃を受けただけでなく、半導体はほかの産業にも甚大な影響を与える戦略物資であることを痛感した。
とくに、今後産業の競争力のキーとなると言われている人工知能や自律走行、それから最先端武器の開発においては、半導体は競争力を左右するコア部品となるので、世界は半導体の供給網の確保が急務となっている。一方、中国は世界最大の半導体需要国であるものの、現実はその需要の15%前後しか国内で賄うことができず、半導体産業の育成は喫緊の課題であった。
米中が覇権争いをしているなか、中国がもし半導体において米国を追い抜くようなことが発生すれば、それは大変なことになると思って、米国は中国の半導体産業がこれ以上は成長できないようにおさえつけようとすると同時に、安保上の理由を掲げ、台湾、韓国など最先端の半導体の生産能力がアジア地域に偏っていることを懸念し、半導体製造を米国内に集約させようとしている。
そうしたなか、米国だけでなく、日本やヨーロッパなども同じ路線を追求し、半導体供給網の確保に躍起となり、半導体は数年後には供給過剰になるのではないかと懸念さえされている。将来半導体産業はもしかすると、価格が暴落し、儲からない産業になる可能性も十分あるとも言われている。
それで、韓国では半導体の次の成長産業としてバイオ産業が注目され、韓国政府は15年前から産業の育成に力を入れてきた。バイオ産業は10年近く先行投資をしなければならず、その間は売上がまったく上がらないという産業特性をもっている。政府主導で育成でもしない限り、なかなか育たない産業でもある。
ところが、コロナ禍が発生する前から韓国政府はバイオ産業にリソースを集中させていたが、コロナをきっかけに健康に対する関心も一気に高まり、結果的には政府の育成政策が功を奏し、その成果は最近になって徐々に表れつつある。
バイオ産業の躍進
韓国には現在約1,500社のバイオベンチャー企業がある。韓国でIPOをする企業のなかで、バイオ企業が占める割合は2019年が24%で、2020年は28%で、4社のなかで1社はバイオ企業となっている。以前バイオ産業は韓国の株式市場のシェアは1%ほどであった。
ところが、その間バイオ産業は刮目すべき成長をし、市場シェアの4分1を占めるほど成長したのだ。ところで、医薬品の場合、特許に期限がある。だいたい20年ほどである。その期間中、他社はまねができず、権利が保護される。
しかし、特許もいつかは期限が切れる。合成医薬品の場合、特許が切れると、ジェネリック医薬品が市販されるようになる。それと同じようにバイオ医薬品にも、後発のバイオシミラーがある。バイオシミラーの世界的な企業は韓国にある。
(つづく)
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