長崎市が「出島」復元で工事費を積算ミス~受注業者は倒産
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大幅に少ない一般管理費
14日の長崎市議会環境経済委員会で、建設局建築物建築課が、出島復元整備事業において工事費の積算を誤ったまま、発注していたことが報告された。積算を誤っていたのは、史跡「出島復元和蘭商館跡」第3期建築物復元主体工事の(1)と(2)。建築課職員が、一般管理費を計算する際に間違った係数を用いたため、正しい金額よりも少ない設計金額で入札が行われてしまった。このうち、2014年8月に(2)の工事を落札した山下建設(株)は今年7月27日に倒産した。
「素人が見てもおかしいと思う」。環境経済委員会の委員からは、積算ミスを見逃していたチェックの甘さを非難する意見が相次いだ。問題のミスは、本来の数値(1)9.58%、(2)9.64%よりも大幅に少ない(1)0.3832%、(2)0.3856%を係数として積算したというもの。これにより、工事費における一般管理費は、(1)91万1,462円(正:2,071万9,462円)、(2)81万3,756円(正:1,850万8,756円)となっていた。他の市発注の工事に携わる建築課の職員が、誰一人として正しい数値との大きなズレに違和感をもたなかった。委員からは、「目くら判を押しているだけ」という厳しい声もあがった。
隠ぺい?間違ったまま再入札へ
さらに信じられないことに、長崎市は、この積算ミスに気づいておきながら、そのまま再入札を行っていた。「引き継ぐ工事との認識でそのまま発注した」という市側だが、説明になっておらず、隠ぺいが疑われる。建築課の説明によると、今年6月30日、職員がミスに気づいて建築課長に報告したが、その際は課長止まり。7月27日に山下建設が倒産し、8月6日に、同社が行った(2)の工事の出来高確認でも、8月12日に起案した残りの工事分の再入札でも間違った積算のままであったという。そして、9月4日の再入札で落札した事業者から、工事費が少ないとの指摘を受けたこともあり、翌9月5日、建築課長から建築部長へ、初めて積算ミスについての報告が行われたという。
(2)の残された分の工事については、新たに落札した事業者と契約を締結せず、正しい金額に是正する(1)の工事の契約更改と合わせて、11月市議会で関連予算を補正する予定。委員からは、市役所のミスで3カ月の空白が生まれ、工期が遅れることを懸念する声があがった。また、今回のミスに関与した職員一同は、「出島の復元事業に大きな影響を与え、市民、関係者の信頼を損なった」として委員会の場で陳謝したが、処罰については現段階では未定。総務部長が委員側から召集され、厳正な対応(処罰)を求められる一幕もあった。
山下建設倒産の約1カ月前に市職員がミスに気付いた際、発注金額を是正するといった措置が行われていれば、このタイミングでの倒産はなかったかもしれない。同社は、出島復元整備事業のほか、グラバー園旧三菱第2ドックハウス耐震補強ほか工事、長崎ロープウェイ淵神社待合所新築ほか主体工事を市から受注。この2つの工事も倒産によって契約解除となっており、市の計画に狂いが生じている。このように多大な悪影響をおよぼす凡ミスを防ぐためには、全職員に対して責任の重さを明らかにしておく必要があるはずだ。
【山下 康太】
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