時代に挑戦し自らを磨き成長することが、水産業界全体の発展につながっていく
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(株)アキラホールディングス
儒学者・高場乱の情熱のDNAを受け継ぐ
CEO安部泰宏氏幕末から明治の激動の時代、高名な眼科医として福岡藩に苗字帯刀を許された高場乱(たかば・おさむ)という女性儒学者がいた。頭髪を剃り上げ髷を結って男装していたというからかなり個性的な人物だったようだが、彼女は医師の仕事の傍らに興志塾という私塾を開校し、若者の教育に情熱を注ぐ。興志塾に学んだ塾生には、大アジア主義の一大構想を唱えた頭山満、第32代内閣総理大臣・廣田弘毅、ジャーナリストや政治家として活躍した中野正剛など、後の日本を動かした傑物が顔をそろえる。吉田松蔭の松下村塾に勝るとも劣らない歴史的存在だったといっていいだろう。
さて、その高場乱の子孫の1人が(株)アキラホールディングスの代表取締役CEOである安部泰宏氏だ。彼女の情熱のDNAが泰宏氏に受け継がれていることは、百年の同社の歴史のなかにあってひときわ大きく躍進させたことと決して無関係ではないだろう。
2023年3月には高場乱の生誕190周年を記念し、銅像が市内崇福寺玄洋社墓地に建立されている。その記念式典には泰宏氏も参列したというが、そこで改めて自らに与えられた使命を感じ取ったに違いない。
客を喜ばせる薄利多売の商売が、
やがて「顧客第一主義」へと進展さて、同社の創業期を振り返ってみよう。アキラホールディングスの主軸である(株)アキラ水産は、魚介類の仲買や加工、販売を行う海産物のエキスパートとして名を馳せるが、泰宏氏の祖父・栄次郎氏と叔父・明氏、そして泰宏氏の父・篤助氏が、現在の柳橋連合市場で「明市場」として開業したのが始まりだ。
彼らの商売はその大胆さから多くの人々の耳目を集める。仕入れた魚をほぼ原価で売るのがそのやり方だ。客でごった返す連合市場の一角にさらに客が群がり瞬く間に魚が消えていく。市場の活気を最高度に盛り上げるこの薄利多売の商売は、やがて同社の「顧客第一主義」へと進展していく。
その後、鮮魚・青果・乾物にとどまらず呉服まで取り扱う「明百貨店」へと商売を拡大。戦中、戦後を経ても「顧客第一主義」の理念は受け継がれ、泰宏氏がトップに立つと、さらに時代のニーズに合わせた業容拡大が加速する。1960年代、高度成長期の真っ只中には「スーパーマーケットの時代がやってくる」といち早く提言。即座に量販店向けの品ぞろえを実践し、狙い通りに業績を拡大させていったという。
常に顧客の目線を意識し、すかさず行動に移していく
今日、漁獲高の減少や若者の魚離れなど、水産業を取り巻く環境は大きく変化している。しかし、泰宏氏はその状況を仕方なしとは考えない。「魚が美味いのに売れない理由は調理の手間にある。面倒なことを我々がやってしまえば、きっと喜んで食べてもらえる」というのだ。そこで向き合ったのが魚の1次・2次加工。2000年代になると取引先小売店の加工作業の軽減を図るべく、魚をさばいておろすパッキングの3次加工まで手がけるようになる。
そして08年には加工品の開発にも着手。明太子の「あきらめんたい」や「アキラの鯛茶」が商品化され、これらは今も人気のロングセラー商品として同社の代名詞になっている。
16年には古賀工場を新設。さらに市場内の自社加工場をリニューアルし、焼く・煮る・揚げる・蒸すまでを一貫して行うことを可能にした。より安心な鮮魚の加工や秀逸のオリジナル商品製造に力を注ぐことで、どうすれば魚を食べてもらえるかを常に探求する。顧客の目線を意識し、すかさず行動に移すことこそ泰宏氏の真骨頂であり、同社が掲げる顧客第一主義の具現化にほかならない。グループ各社が有機的に結びつくことで、
それぞれの個性を際立たせていくそしていよいよ20年にアキラホールディングスが誕生する。福岡市中央卸売市場で仲買を営むアキラ水産が主体となって設立。持株会社体制で企業価値を高めるとともに、規制緩和により起こり得る新勢力に対抗することがその狙いだ。業界が激変するなか、アキラグループはその流れを自分たちへの追い風にしようという。
アキラホールディングスを中核に6社が連なることで各社はより大きな力を発揮していくことになる。福岡鮮魚市場で取扱量トップの総合仲卸「アキラ水産」、マグロを取り扱う仲卸の「コウトク水産」、貝類や高級食材仲卸の「安部水産」、冷凍・塩干物を販売する「四季海鱻」と「一心」、そして加工・通販を手がける「アキラ・トータルプランニング」。それぞれが有機的に結びつき個性を際立たせる。
食品安全システム認証FSSCを取得
見えてくるのは組織としてのポテンシャルこのようにアキラホールディングスの強みは、総合仲卸事業にとどまらず、冷凍・塩干物事業、加工・通販事業、直販事業と業務が多岐にわたっていることにある。漁獲量によって不安定になりがちな水産業界にあっても安定経営を可能にしているのは、この万全の組織力にあるが、そのポテンシャルを我々の目にわかるよう視覚化しているのが各種の認証だろう。
たとえば市場外への新たな流通ルートの開拓に取り組む一方、品質管理マネジメントシステムのISO9001の認証を取得。また、グループ各社では卸売市場のHACCP対応の考え方を取り入れた衛生管理にも取り組んでいる。さらに、アキラ・トータルプランニングでは、非認証水産物の混入防止を確保するCoC認証を取得するなど徹底している。そして23年はさらに難易度の高い食品安全システム認証FSSCも取得したというからその歩みは止まらない。
泰宏氏が率いるアキラホールディングスは、現状に甘んじることなく社内改革を図り、仲卸の枠を超えて加工や小売にも積極的に参入。多様化する社会動向や顧客ニーズに的確かつ柔軟に対応できる経営基盤の強化を進めてきた。男装の麗人高場乱の颯爽とした姿に想いを馳せてみるなら、時代に挑戦し続けることこそが同社の気概だ。そして自らを磨き成長していくことこそが水産業界全体の発展になる。この思いをあらゆるエネルギーに変換してしまうのがアキラホールディングスだ。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:安部 泰宏
所在地:福岡市中央区長浜3-11-3-701
設 立:2020年1月
資本金:4,850万円
TEL:092-711-6601
URL:https://www.akirasuisan.co.jp<RECRUIT>
募集職種:営業、工場加工
応募資格:新卒(高・大学部学科不問)・中途、
経験不問
採用実績:2023年度/4人
採用予定:20人
問合せ先:092-711-6601
採用担当:牧、吉満
<プロフィール>
安部 泰宏(あべ・やすひろ)
1939年3月生まれ、福岡市出身。福岡大学附属大濠高校卒。趣味はゴルフ。福岡城西ロータリークラブ元会長。福岡市鮮魚仲卸協同組合現会長。2005年4月藍綬褒章、11年6月旭日双光章を受章。法人名
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