2024年11月22日( 金 )

「見えない部分」で人々の快適な暮らしを実現 福岡を代表する設備工事業者

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(株)曙設備工業所

ゼネコンや設計事務所の設備設計を代行
業務の省力化などに貢献

(株)曙設備工業所 蒲生 和紀 代表取締役社長
(株)曙設備工業所
蒲生 和紀 代表取締役社長

    (株)曙設備工業所は、分譲マンションを中心に公共施設や教育・商業施設、さらには医療関連施設など、幅広い建物の給排水衛生設備、空気調和設備、消防設備の設計・施工を一手に手がける設備工事事業者だ。担当する事業はいずれも建物において「見えない部分」であるが、高い施工品質を実現することで、多くの人々の安全・快適な暮らしに貢献しているのである。また、独自性が高い受注体制によって、福岡市とその周辺エリアのゼネコンなどから高い信頼を寄せられており、その結果、長年にわたり安定した経営を持続している。

 この受注体制の独自性とは、ゼネコン各社や設計事務所に対して、設備設計とセットで施工の企画提案を実施するというもの。設備の設計業務を同社が全面的に引き受けることによって、ゼネコンや設計事務所は業務を省力化、効率化でき、スムーズな業務を行えるようになる。このような事業スキームを導入している設備工事事業者は、少なくとも福岡市やその周辺にはなく、そうした点から同社独自のものといえよう。

 同社の設計業務はこれまでの実績から信用と信頼を得ているため、設計事務所から取引先のマンション・デベロッパーを紹介され、マンションを施工する地場ゼネコンなどからの受注も取るようになっている。「そのため、新しいマンションがどこで建設されるかという情報は、現場から上がってくることも多いです。現場の力が圧倒的に強いことに当社の強みがあるのです」と、蒲生和紀代表取締役社長は話す。

社員らのモチベーションアップへ
手当制度などを大幅に見直し

(株)曙設備工業所 本社社屋
本社社屋

 同社がマンション建設の設備工事における代名詞的存在になったきっかけは、2008年9月に起こったリーマン・ショック。世界的不況の影響でマンションが販売不振に陥っても、同社は変わることなくマンション建設物件の受注を継続した。同社の協力専門会社と職人ら「仲間」のために、当時の野田弘之社長(現会長)が先頭に立ち、受注活動に力を注いだ。同社が不良債権を抱えて苦戦した時期でも、「仲間」のために、奮闘し続けたことは、自社の利益より利他を最優先させた同社と野田会長の「義理」を重んじる人柄ゆえである。

 野田会長は「どんな時代・状況でも、ゼネコン・設計会社・デベロッパー・専門工事会社と職人の皆さん、そして我が社の社員は仲間です。私はいかなる時でも仲間を大切にすることを最優先にしており、この考えは将来も変わりません。我々の役割は、安定した受注を続けることであり、それにより、仲間が適正に稼げる仕事ができる機会を創出することです。安定した受注を継続させるには、企画から設計・施工監理に至るまで我々が高品質のものを提案・実践していくことです」と話す。

 そうした野田会長の姿勢を入社以来、見続けてきた蒲生社長が22年10月、野田会長から経営のバトンを引き継いだ。蒲生社長は「創業以来40年余りを経た事業を継承することになり、身の引き締まる思いで社業の発展に尽くしているところですが、何より大切にしているのは社員のモチベーションを維持すること。そのために私なりの改革に取り組んでいます」と話す。その1つが手当制度の大幅な見直しだ。1、2級管工事施工管理技士および給水装置工事主任技術者の資格取得を奨励するなど、これまでにも手厚い制度を設けていたが、「資格保有者をより多くしたい」との考えから、社員に対してはさらなる資格取得を後押しするとともに、取得した資格数を給与に反映する仕組みに改めたという。

地道に努力する人材を全力で支援する企業風土

 協力会社の職人についても、発注主のゼネコンなどと交渉し、彼らの賃金アップにつなげる努力を欠かさない。「現場のモチベーションが下がると事故の発生につながりやすくなりますし、生産性が下がり利益の低下につながります。たとえば、当社の主要業務である給排水工事に不備があり漏水事故が起これば、デベロッパーやゼネコンだけでなく住民にも迷惑がかかり、そして当社の信用問題につながってしまいます。そうした事態が起こらないようにするとともに、社員や協力会社の職人に自分たちが頑張れば営業、受注につながる、稼ぐことができると前向きに感じてもらえるようなムードづくりをしていきたいです」と蒲生社長は語る。

(株)曙設備工業所    ところで、同社の採用は毎期、さらには通年で積極的に行われている。人材の活性化が非常に重要と考えているからだ。新卒採用では地道に高校・専門学校・大学へ足を運びながら、仕事のやりがいや同社の方向性を伝え、興味をもつ学生にはインターンシップを活用して実際に仕事に取り組んでもらい、お互いを理解したうえで採用となるという。

 同社では「30代の社員が少ない」という事情もあり、中途採用についても積極的だ。業界未経験者も積極的に採用しており、未経験で入社しながらも幹部候補と目されている社員もいるという。蒲生社長は「伸びる社員は自ら貪欲に現場で学ぼうとする人です。地道に努力する人は必ず成長します。そして、当社にはそうした社員を全力で支援する風土があります。高みを求める社員に最高の機会を提供し続けます」と人材への熱い意欲を示す。

 今後について、同社は数年先までマンション工事の受注残があることから、事業は当面の間安定して進捗するものと思われる。最後に蒲生社長は、「福岡でもいずれはマンション供給が目減りしていくものとみられます。そうなった場合に耐えられるような、より中身のしっかりした企業に成長させるため、現状に甘んじることなく、これからもより高い設計・提案力、技術力、施工力を追求していきたいと思います」と力強く語った。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:蒲生 和紀
所在地:福岡市早良区田村4-15-10
設 立:1982年2月
資本金:6,000万円
TEL:092-801-7247
URL:https://kk-akebonosetsubi.com

<RECRUIT>
募集職種:現場施工管理(正)
応募資格:学歴、資格、男女 不問
採用実績:2023年度/1人
採用予定:2人
問合せ先:ake@tempo.ocn.ne.jp
採用担当:波多江
URL :https://kk-akebonosetsubi.com/job/


<プロフィール>
蒲生 和紀
(がもう・かずのり)
1975年7月生まれ。長崎大学水産専攻科卒業後、99年4月に(株)曙設備工業所に入社。現場管理などの経験を積み、取締役営業部長に就任。2022年10月、同社代表取締役に就任した。趣味はスポーツ観戦。

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