日本が再び世界の先頭に立つため、福岡から発信 普遍的価値観とトレードオフを併せもて
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APAMAN(株)
日本が再び世界の頂点に立つために
日本はかつて世界最高峰の経済力を有していた。しかしバブルから30年以上経過した今日では衰退した国として論じられることが多い。失われた30年とは何であったのか?このような事態を改善することができなかったのか?このような疑問を抱えながら日本人として恥ずかしさや危機感を感じているのは私だけではない。
私は働きながらアメリカ西海岸のシリコンバレーにあるサンタクララ大学でEMBAを学んでいる。大学の教科書(ハーバード・ビジネス・パブリッシング)に、「日本はなぜ衰退したのか」という節があり、「トレードオフがなかった」「戦略がなかった」との評価が見られる。日本企業は多くの機能を求め商品を開発するが、他国の企業は必要な機能を絞り、顧客が購入しやすい価格の商品を開発すると説明されているのだ。
同書の指摘は事実である。私たちは、世界を席巻した日本経済がここまで衰退した理由を直視しなくてはならない。なぜ衰退したのかを国が明確に示したうえで、中長期の戦略を示すこと重要だ。なぜなら国の戦略は国しか決めることができないからである。また、我々企業も可能な限り国の戦略を後押ししなくてはならないと思う。今の日本には各々が違う方向に進んで成長できる余裕はなく、官民が一体となって世界での発展を目指す取り組みが重要だ。
世界に誇れる福岡
アメリカでも生活する私が現地で日本人や日系人と話す内容のほとんどは、「ある1点」を除き日本の将来に対する危機感である。一方、シンガポールは人口が日本の5%程度の小さな国であるにも関わらず、成長は確実だと胸を張って説明する。多くのインド人は世界の次のリーダーはインドだと宣言する。ベトナム、インドネシア、フィリピンは国の成長率や若者が多くいる点を誇っている。いくつかのアフリカ諸国も同様である。
では日本はどのようにすればいいのか?繰り返しとなるが、日本のあるべき姿は、国、地方自治体、企業、各種協会などの団体や個人が、国や自治体の方針のもとに、各自ができることに積極的に取り組んでいくことである。世界のなかの日本の現状を勘案すると企業が利益の一部を社会貢献として社会へ提供しなくてはならないと感じている。人がいて社会が成り立ち、社会があって企業の存在が成り立つことからしても企業が国や地域社会に貢献することは当然であるし、今の日本が最も欲していることだ。また、企業はマネジメント力を有していることからしても、投資効果が大きいと思う。
さて、上述の「ある1点」とは福岡市の発展のことである。「人口の伸び率、税収、住みたいまちランキング、スタートアップへの支援内容」などなど、将来の危機感が漂う日本において、福岡市だけが異彩を放つ成長を遂げている。先日サンフランシスコで福岡市のイベントが開催されており、アメリカ人から「福岡ってすごいね!」と褒められた。私は「日本も福岡のように成長していくよ」と回答した!日本人として、福岡出身者として少し誇らしかったことを覚えている。
我々の両親、祖父母の時代の人々が、戦後の復興からすばらしい日本をつくってくれた苦労と比べれば、日本が再び世界の先頭に立つことは、十分に可能であると思料する。
普遍的な価値とトレードオフ
ビジネスにおいて、「普遍的な価値観」と「トレードオフ」を併せもつ意識が重要と感じる。日本人は「おもてなし」に代表されるように、微に細に気付きがあり、アメリカと比べて、細かさを追究することが強みだと思っていた。しかし、最近それは間違っていることに気付いた。AIやChatGPTなどの開発は、微の追求である。iPhone、Google、Windowsなども同様であり、とくにシリコンバレーでは微細な事業も大きく成長している。トレードオフを意識し、重要なことを優先する戦略である。
大学の授業も同様だ。教授は遅刻を認める。しかし授業の初めの時間で重要な説明を行うことが多く、生徒がそうした情報を入手できないのは自己責任ということになる。また、複数の先生がテーブルの上に座り、授業することがある。日本の文化からすると驚くべき光景であるが、生徒が先生に求めるのは実務で活用できる質の高い指導であり、どこに立って、あるいは座って指導するかではない。大学は、期が終わった瞬間に教授の良否のアンケートを実施することからしても、生徒にとって最も重要なことをトレードオフという視点から判断しているようだ。
APAMANグループのIT戦略
APAMANグループの事業である不動産とITに触れたい。マーケティング戦略の授業のなかで、最も強調して指導されることは「顧客へのサービスの質」である。今日までAIやRPAまたは各種クラウドの普及が話題となることが多かったが、商品によって違いはあるにせよ、顧客の利便性が上がることに優先順位をつけ今後も開発や市販のクラウド利用を推進しなくてはならない。基幹システムなどとの連動を進めることで企業としての生産性が上がることは確実である。これら一連の動きを通してデータベースの運用や分析が進むことでほかの業界の利益を自らの業界へ取り込むことができるようになる。学術的にいうと「垂直統合」や「水平展開」の質が上がることになる。不動産管理業界が自ら保険会社や少額短期保険会社を有していることはその一例である。顧客との直接のコミュニケーションとIT化の推進が業界ごとの勝敗の決め手であろう。
アメリカの経営学の会計や分析の授業において日本との大きな違いは、キャッシュフローを重視した経営を行うよう指導してくれることである。不動産についても、投資した資金にインフレ率を加えて数年後に割引率を勘案し、どれだけの資金が手元に還るのかを重視している。
APAMANグループも2023年9月期の決算説明においてキャッシュフローを重視することを宣言し、チャレンジとして「実質無借金経営」(ネットデット)に向かうことを示した。
現在、1年間に残るキャッシュ(※EBITDA)の公表値は36億円(23年9月期予想値)であり、この点を今後も重視したい。
(本稿は大村氏の発言を基に構成したものです)※EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:大村 浩次
所在地:東京都千代田区丸の内1-8-1
設 立:1999年10月
資本金:80億200万円
URL:https://apamanshop-hd.co.jp
<プロフィール>
大村 浩次(おおむら・こうじ)
1999年に“ITを活用して不動産業界の質的向上に貢献したい”という思いからAPAMAN(株)を設立、代表取締役社長に就任。その後、ITノウハウを活用したコワーキングスペースの提供(fabbit(株))などのシェアリングエコノミーをはじめ多種多様な事業を展開し、アメリカなど海外でも事業を展開している。2021年3月、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修了、22年8月から米サンタクララ大学ビジネススクールのエグゼクティブMBAプログラムに在籍。法人名
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