すべての人が自分らしく輝き、働ける社会へ　夢をかたちにするサポーターになる

エントリーサービスプロモーション（株）

自分らしく輝いて
働ける場所を提供する

    福岡市中央区に本社を構えるエントリーサービスプロモーション（株）は、1975年設立の総合人材派遣会社である。パーティー代理業からスタートした同社は九州で初めてイベントコンパニオンやパーティコンパニオンの派遣を行い、現在は人材事業部、SP事業部、パーティー部、MC部、ドーム事業部、国際事業部から構成され、社員、専属スタッフは合わせて、登録1万8,000名を超える。長年にわたり、就業を希望する人と向き合い、就労場所を提供してきた。

　同社代表取締役社長・新井洋子氏はアフターコロナの現状について、「コロナがようやく落ち着き、イベントを中心に依頼が急増しています。当社では、イベントの企画運営や業務請負・一般事務や受付、コールセンタースタッフ・司会者・コンパニオンなど多岐にわたって人材を提供しています。この柔軟性こそが社員の雇用を守り、コロナを乗り越えられた大きな勝因です。コロナ禍は当初の予想よりも長期となりました。私は会社の代表として、雇用と会社の信用を守る責任をはたすために、毎日必死でした」と話した。最近ではアフターコロナのパーティー会場で、スタッフとお客さまが久々の再会をはたし、全身で喜びを共有する姿に、胸がいっぱいになったという。

　同社の登録スタッフはパーティー部やドーム事業部では主に学生が、人材事業部では20代から30代・40代が中心となっており、年齢層はそれぞれ異なる。登録者は福岡在住者が中心だが、コロナ禍以降、企業・求職者双方でリモート希望者が増加していることから全国規模に拡大した。近年ではテレビやSNSにおける宣伝広告の影響もあり、キャリアアップを求めた転職希望者も多いという。

　「職業柄、『人を紹介してほしい』『どんな人を採用したらいいだろうか？』とよく聞かれます。明るく前向きで、やる気がある人がおすすめだと答えていますが、企業側のサポート体制も大切です。当社では登録者と年齢が近い社員をコーディネーターとして配置しています。社長や幹部役員よりも身近で気軽に相談できるというメリットがあります。登録者の皆さまに安心して働いてもらうべく、フォロー体制は万全にしています」と、採用と育成のコツを語る。

　「エントリーサービスで働いて良かった」といわれることが何よりも嬉しく、自身の奮闘の原動力だという新井社長。事実、同社で勤務経験のある女性が、自分の子どもにも登録を勧め、親子2代で働いてくれるケースも多い。同社のスタッフにかける想いとサポートはたしかなものである証拠だ。

就労を希望する外国人と企業をつなぐ

　同社は2019年に、外国人留学生や高度専門人材の派遣を行う「国際事業部」を新設した。日本の就労人口の減少は、あらゆる業界で深刻な人手不足を引き起こしている。そのため、外国籍労働者を雇用希望する企業が増加しており、そのニーズに応えるために外国語（ベトナム語・フランス語・英語・中国語）対応可能な社員を雇用した。日本文化とは異なる場所で育った求職者には業務内容はもちろんのこと、注意事項なども併せて伝える。これはミスマッチが起こらないようにするもので、とくに雇用されてから最初の期間は現場にも同行し、研修を行っているため、就労先とのトラブルもなくスムーズな雇用を可能にしている。

　取扱職種はホテルでのサービス業から食品製造、飲食店のホールスタッフ、医療機関での配膳や食器洗浄、通訳、翻訳など幅広い。コロナ禍でキャッシュレスが進み、飲食業界ではオーダーから会計まですべてIT化する店舗も増えた。言語をはじめとしてさまざまな障壁に直面してきた外国人労働者にとって、これらの変化は追い風となるだろう。

　「私は『女性が働く場所をつくりたい』という想いから会社を立ち上げました。設立当時は『女性は良い人と結婚し、子どもを育てることが幸せ』と言われていた時代。逆境といえる状況のなかでも当社を利用して仕事を見つけ、働いてきた女性たちは本当によく頑張ってくれたと思います。創業当時女性の採用枠を募集したとき大勢の女性から応募があり、『働きたい』と切望する女性はたくさんいるのだと実感しました。そして今、仕事を求める外国籍の方がひたむきに仕事をされる姿を見ていると、女性たちが必死に仕事に取り組んできたあの当時と重なる部分が多くあります。女性たちが先入観や固定概念と戦ってきたのと同じように今、外国人の皆さんも熱心に日本語を学び、コミュニケーションも問題ありません。今後も頑張ってほしいです」と新井社長。

　現在、日本経済大学と連携して、ウクライナの避難学生も受け入れている。相手のために何かできないかと常に考える新井社長の人柄と信念は、国と時を超えて誰かを支える一手となるだろう。

人を育て、人を活かす

　設立以来「人を育て、人を活かす」という理念のもと、1人ひとりと向き合い、必要な教育を提供しながら、成長をサポートしてきた新井社長は、「夢をかたちに、という言葉も同時に伝えています。私自身、学生時代に描いた夢がかたちになっており、この楽しさも若い人たちに伝えていきたいです」と語る。

　近年、日本には夢がない若者が増えている。少子高齢化や経済の縮小などの社会情勢が未来に影を落とすことや、ネットやコンビニで何でも簡単に手に入る恵まれた生活環境も影響しているだろう。しかし、そんな若い世代を憂うのではなく、企業や経営者も努力して、夢や希望をもてるような社会に変えることが重要だとしている。就労に対する価値観は多様化し、報酬だけではなく、やりがいや良好な人間関係なども選択のポイントとなる。同社はスタッフが楽しく働ける環境づくりや、喜びを共有したり、悩みを相談しやすいケアサポート体制の強化をしたりするなど、時代に合わせた組織体制を整えている。

　「現状に満足したら終わりです。自分が本当にやりたいことを具体化し、実現すること。それを一生懸命続けていれば、心配せずとも結果は後からついてくるものです」と新井社長は続ける。苦しい場面でも境遇を恨まず、前向きに人のために走り続けてきたその顔は明るい。

　SNSの情報発信にも力を入れている。同社Instagramでは、社内の雰囲気、現場の作業風景などが画像・動画で発信されており、見ているだけでも面白い。各種SNSからの応募もあるといい、効果は抜群だ。「いい人生だな…と振り返ることが増えました。コロナで、人が好きという自分と創業の原点に戻り、一層仕事を楽しんでいます」と語る目は、まっすぐ前を向いている。女性の就労場所を開拓し、働く人の成長と幸せを願いながら事業拡大を続けてきた同社の未来に、ますます目が離せない。

＜COMPANY INFORMATION＞ 
代　表：新井　洋子
所在地：福岡市中央区天神3-6-26
設　立：1975年6月
資本金：1億円
ＴＥＬ：092-712-4505
ＵＲＬ：https://www.entryservice.co.jp

＜プロフィール＞ 
新井　洋子（あらい・ひろこ）
1951年1月、宮崎県延岡市出身。福岡大学人文学部卒。75年6月にエントリーサービスプロモーション（株）を設立。現在は同社のほか、（株）ビックベン、（株）サンエーサービス、エントリースタッフ（株）、日本国際人材開発協同組合を束ねるエントリーグループの代表。福岡間税会会長、福岡商工会議所常議員、福岡経済同友会幹事、福岡キワニスクラブ副会長なども務める。