ワグネル騒動はプーチンの勝利で決着 面子丸つぶれのバイデン(前)
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国際未来科学研究所
代表 浜田 和幸ウクライナ戦争は思わぬ方向に進んでいます。何かといえば、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創業社長プリゴジン氏(62歳)がプーチン政権に反旗を翻したからです。表向きはショイグ国防大臣やゲラシモフ参謀総長の首のすげ替えを要求するという体裁を取っていましたが、プーチン大統領が任命した大臣らの首を要求することは、プーチン大統領の権威を否定することになります。
プリゴジン氏といえば、「プーチンの料理人」と呼ばれ、プーチン大統領の庇護と後ろ盾を武器にレストランビジネスで大成功を収め、その後も、モスクワの学校給食やインターネット・サービスでも財を成した立志伝中の人物。プーチン大統領との出会いは1990年代に遡ります。インターネットや携帯電話を使わないプーチン大統領との間で食事やカジノを通じての生身の交流を重ね、信頼を勝ち取ったわけです。
ホットドックの専門店から出発し、サンクトペテルブルクに開店した水上レストランが評判となり、プーチン大統領は常連客となったといいます。海外からの要人を大いに歓待したわけです。その資産は隠し財産を含め膨大で、ロシアの大富豪オルガルヒのなかでも突出しており、「フォーブス」によれば、「最低でも10億ドルを下らない」と目されているほど。
軍歴はなく、暴力沙汰や金融犯罪にも手を染め、若いころは10年近くの刑務所暮らしも経験しています。その後、ロシアの正規軍が敬遠するような「汚れ仕事」を専門で請け負う「戦争会社」をウクライナ生まれの軍人でネオナチとして知られるユーチン氏とともに立ち上げました。当時のプリゴジン社長の口癖は「北朝鮮の軍事国家体制を学ぶべきだ」というもの。
プーチン大統領の強力な後ろ盾もあり、軍の幹部をリクルートしては現場の指揮を任せ、中東やアフリカを舞台に活動してきました。シリアでも中央アフリカでも地下資源の利権漁りに秀でており、巨万の富を築いたと言われています。その仲介役としてアラブ首長国連邦(UAE)に設置した貿易会社を最大限に活用した模様です。戦争会社の名前は「ワグネル」ですが、ドイツの有名な音楽家ワーグナーから取ったとのこと。
現在進行中のウクライナ戦争でも、最大4万人ほどの囚人を「戦果を上げれば、無罪放免させる」との条件で勧誘し、最前線で働かせています。彼らの傍若無人な戦闘によって、ウクライナ東部の要衝はロシアの手中に落ちたといっても過言ではありません。
しかし、プリゴジン氏は「武器が足らない。燃料も食糧も不足している。もっと金もくれ」と、要求をエスカレートさせ、ロシアの国防部と対立するようになっていました。年間、10億ドルもの戦闘員用の給与を政府から受け取っていながら、まだまだ足らないと要求をエスカレートさせていたのです。
(つづく)
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。近著に『イーロン・マスク 次の標的「IoBビジネス」とは何か』、『世界のトップを操る"ディープレディ"たち!』。関連キーワード
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