元総合商社駐在員・中川十郎氏の履歴書・ニューヨーク編(4)
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日本ビジネスインテリジェンス協会
理事長 中川 十郎 氏ビジネスインテリジェンス協会事始め
1992年2月12日に虎ノ門全日空ホテルで執り行われた発会式には、国内外の情報専門家300人が参加、盛会裡に終えることができた。
「ビジネス競合情報に関する国際シンポジウム」と題し、基調講演では「米国競争情報専門家協会」(SCIP)会長ジョン・プレスコット博士(ピッツバーグ大学教授)が「SCIPアメリカの現状と競合情報」に関して講演。続いて、ビジネスインテリジェンス(BI)の世界的権威で、筆者の情報研究の生涯の恩師でもあるスウェーデン・ルンド大学のステバン・デジエール博士が「ヨーロッパにおける競合情報とその管理」、オーストラリアの情報権威者であるシドニー工科大学のクリス・ホール博士が「戦略経営システムについて」、そして、ロシアからはセルゲイ・ブラギンスキー氏が「旧ソ連邦経済の市場経済移行の問題点」と題した発表を行い、聴衆に感銘を与えた。
パネルディスカッションは筆者が司会を行った。「競合情報の現状と将来」と題し、ゼイン・マコーウィッツ米SCIP副会長、情報研究家のロバート・A マルグリエス氏、ジョン・プレスコット博士、フランス経済情報協会からフィリップ・バウマード博士、そして、米国で情報研究を続けておられる情報専門家の藤原肇博士が参加。白熱した討論が行われた。この発会式は日本ビジネス競合情報専門家協会が主催したが、後援として、米国商工会議所、米国競争情報専門家協会、東京相互銀行営業情報連絡会に協力いただいた。
会議の模様は日本のN経済新聞が中心となり報道された。会議に先立ち、同紙に広報と財政援助を依頼するため、同紙論説主幹・常務のTと面談した。「競争情報専門家協会」という名前が気に入らない、「競争情報とは競争相手の会社をスパイし、情報を盗むことを連想させる。そのような経済スパイを研究するような協会には、財政支援はもとより、記事で広報するという形での協力もできない」と一喝された。急遽、実行委員会で相談した結果、「日本競争情報専門家協会」を「日本ビジネス競合情報専門家協会」(Society of Competitive Intelligence Professionals of Japan)に名称変更し、広報していただけることになった。
翌1993年には、さらに先端経済・経営情報を中心に研究する「日本ビジネスインテリジェンス協会(Business Intelligence Society of Japan)」(BIS)に名称変更し、現在に至っている。ただし、米国の「競争情報専門家協会」はこの名称変更には賛成でなく、BISとは別の日本競争情報専門家協会(現:日本コンペティティブ・インテリジェンス学会)の会長にM元警視総監を指名。その後、同学会会長は元日大教授の菅澤善男氏、現在の高橋文行日本経済大学教授に引き継がれ、活動を継続している。筆者は過去の経緯より同学会の顧問を拝命している。
<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)
鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)。関連キーワード
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