2024年12月23日( 月 )

企業から高評価、就職に強い工業大学 23年度は過去最高、実就職率98.1%

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学校法人福岡工業大学

1人ひとりに向き合い、丁寧にサポートする
信頼関係は日々の「声かけ」から始まる

 博多駅から快速で約15分。福岡市東区にキャンパスを構える福岡工業大学は、広大な敷地に先端的な設備が投入されており、工学部、情報工学部、社会環境部の3つの学部では、実験や実習を重視した独自のカリキュラムを展開している。

 2023年4月に学長に就任した村山理一氏は、企業で研究員として勤務を経験した後、同大学で二十数年にわたり、教育の第一線に立ち、学生への指導に力を注いできた。「福岡に福工大があってよかったと言っていただけるように、教職員一丸となって歩んでいきます」と、就任の抱負を語る。

学校法人福岡工業大学 学長 村山理一 氏
学校法人福岡工業大学
学長 村山 理一 氏

    同大学の強みは高い実就職率、そしてきめ細やかなサポート体制である。「実就職率」が8年連続95%超えを達成し、23年度は98・1%に達した。なお「実就職率」は、卒業生から大学院進学者を引いた数値を分母としており、就職希望者を分母とする「就職率」に比べてより実態を表す指標である。

 同大学は就職サポート実績を正確に把握するため、実就職率を基準としているのだ。「丁寧な教育」という共通認識の元、1人ひとりの性格や個性に合わせたサポートをしている。具体的には、やる気に溢れ自己を高める意識の高い学生には、チャレンジの場を提供し積極的に挑戦することを促す。大学生活に馴染めていない学生がいれば、欠席時に電話やメールで連絡を取り、理由を聞くなど、心身の状況まで把握し、それらを関係教職員で共有する。この地道な声かけが実を結び、休学率・退学率は年々減っているという。

 就職活動は、まずは学科ごとに専門の教職員が付く。全学生に個人面談を重ねて、3年生の6月からインターンシップなどがスタートし本格的に動き出す。「我々教育者には、就職した後に、本人も企業も困らないように、指導する責任があります。優しいだけでも厳しいだけでもいけませんので、やはり難しい場面もあります」と、村山学長。

 キャンパス内のアリーナでは、合同企業説明会が1日60社、計8日間開催され、学生たちは皆意欲的に就職活動を行う。同大学から企業への働きかけも活発であり、教職員との交流も盛んに行われているという。企業をキャンパスに招き、採用担当者にプレゼンを行い、実際に学内の雰囲気も見てもらう狙いがある。全国から1,200社近いエントリーがあり、好評を得ている。 今後は一般に優良企業と評価されている企業からの評価をさらに高め、関係するランキングの向上も意識する方針だ。

地域貢献への取り組み、
地域の一員として課題に向き合う

キャンパス内の芝生    同大学では、学生たちは地域の一員として、多種多様な課題に向き合いながら地域の活性化に貢献している。地域発展に貢献している大学として、人事担当者からも高い評価を得ている。自治体・企業、教育機関などと連携協定を結び、地域社会の課題に対して学生の視点から解決に向けた研究を進めている。とくに、隣接する古賀市、新宮町、篠栗町とは関わりが強く、「市政に若者のアイデアを取り入れたい」「健康な高齢者を増やしたい」「産業活性化に協力してほしい」などのニーズに対して、研究成果を自治体で発表、その多くが実際に活用されている。

 キャンパス内の社会連携センターでは、文化・教養および健康増進に関する講座などを開催し、生涯学習の機会を地域へ提供している。そのほかにも、防犯活動や清掃活動、留学生との交流会、生態系回復活動、地域行事への参加など、地域活性化のために、学生が主体となって動いている。

 地域貢献を通じて、さまざまな職業、年齢、立場の人々と交流を重ねながら、広い視野、多角的な視点に触れることは、学生にとって大きな学びである。同時に、人に教えることの難しさ、共に楽しむことのすばらしさを実感できる機会でもある。彼らの人間的成長につながることはもちろん、就職活動にも有利に働くのだという。実際、関係者から「卒業後はぜひうちにきて欲しい」と声を掛けられるケースも多くあるという。

グローバル教育の拠点化を進める
国際社会で活躍するリーダーを育成

学長と学生    同大学は、グローバル教育の拠点化を目指して、海外協定校の開拓、留学生の受け入れ拡大、英語教育の改善、留学生受け入れ施設の拡充などを積極的に進めている。海外協定校はアメリカ、タイ、中国、韓国、台湾、オーストラリア、アルバニア、イタリアと8カ国・地域、18校にまで広がっており、今後もさらに増える計画だ。短期留学や交換留学により国や言語を越えた協働学習を経験することで、学生の成長は大きく後押しされるという。また毎年約40名の留学生を増やすために留学生別科を設けて、修了後は正規の学部生もしくは大学院生として受け入れる制度を整えている。

 海外でのインターンシップ制度も充実しており、現地の日系企業で1週間ほど働くことができる。学生の語学力はもちろん、言語外のコミュニケーション能力向上や多様性への理解を深めることが狙いだ。

 さらに、22年4月からグローバルチャレンジプログラムをスタートさせた。これは国際適応力を培い、世界を舞台に活躍する力を育むことを目指す、4年制の一貫プログラムである。1年目は応募者の英語力などを基に選抜し、決定者は2年目以降、学内特別プログラムと、オンライン留学や短期留学で学習体験を積み重ねる。必要な費用は大学側が負担するという、海外を視野に入れている学生にとっては心強いシステムだ。グローバルコミュニケーション力を身につけた若者がここから輩出され、国際社会でリーダーシップを発揮していくことだろう。

 そして驚くべきは、教職員の熱量とその間でのビジョン共有だ。教職員はミーティングを重ね、担当外や所属する学科以外のことに関しても情報や問題意識の共有を図っている。「教員はナビ、職員はトップランナーです。まずは教職員が心を合わせて目標に向かって進むことが大切です」と語る学長と主要部署の管理者の瞳は皆輝いている。学生のキャンパスライフが充実し、大学の評価が高まっている理由は、教職員らの熱意にあるのだ。


<COMPANY INFORMATION> 
学 長:村山 理一
所在地:福岡市東区和白東3-30-1
創 立:1954年4月
設 立:1966年4月
TEL:092-606-3131
URL:https://www.fit.ac.jp


<プロフィール> 
村山 理一
(むらやま・りいち)
1956年6月生まれ、大阪府出身。大阪大学大学院理学研究科物理学専攻前期課程修了。博士(工学)。81年住友金属工業(株)に入社、研究員として従事。2000年福岡工業大学に助教授として入職、13年工学部長、21年法人評議員、22年同法人学長補佐などを経て、23年4月学長に就任。

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