玄海バイオガス発電所に大きな期待 カンサイホールディングス
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2050年、カーボンニュートラルの目標達成を掲げる政府は、二酸化炭素(CO2)を始めとする温室効果ガスの削減を推進するために、GX推進や日本版カーボンクレジット(J-クレジット)の市場取引の開始といった、目標達成に向けた取り組みをさらに進める政策に乗り出している。
なかでも温室効果ガス排出量の8割以上を占めるエネルギー分野への取り組みとして、政府は再生エネルギーへの転換を推進する政策を進めている。再生エネルギーは温室効果ガスを排出せず、また化石燃料ではなく自然エネルギーを利用して国内で生産できることから、近年の国際情勢の急速な変化におけるエネルギー安全保障上の観点からも、その重要性がますます認識されつつある。
再生エネルギーの代表的なものに太陽光発電、風力発電などとならんでバイオマス発電がある。バイオマスとは動植物などから生まれた生物資源の総称で、バイオマス発電ではこれを直接燃焼するか、ガス化させるなどして発電に利用する。
玄海バイオガス発電所
(株)カンサイホールディングス(福岡市博多区、忍田勉代表)は、佐賀県玄海町に建設していた玄海バイオガス発電所を7月23日に竣工した。
玄海町には畜産業者が多く、それらの業者から排出された家畜糞尿を原料に使用し、それを温めて発生する発酵ガスでタービンを回して発電するというスキームによるものだ。
1日に最大190tの糞尿を処理することが可能で、1年間で一般家庭の約4,500世帯分の年間消費に匹敵する電気を発電することができる。総事業費は約22億1,000万円。バイオマス発電所として九州最大規模となる。
家畜の糞尿は放置しておくと発酵が進み、メタンなどを含んだバイオガスが発生する。これも温室効果ガスにあたる。日本における家畜排泄物起源の温室効果ガス発生は、メタンは年間250万tCO2eq※、亜酸化窒素は年間470万tCO2eqで、合わせて国内の温室効果ガス総発生量の0.54%を占めるとされている。(18 年度算定値、環境省GIO)
※CO2eqは「CO2 equivalent」の略で、地球温暖化係数(GWP)を用いて CO2 相当量に換算した値のこと。 ^
玄海バイオガス発電所で糞尿を発電に利用した場合、そのまま放置する時と比べて温室効果ガスの年間発生量を約3,700t削減できると見込まれている。
このようにバイオマス発電は、厄介な産業廃棄物であった糞尿や木材などを、資源として再利用する可能性を開く。農山村地域に新たな資源を生み出すことになり、農畜産業と発電を一体としたエネルギー循環型社会を創出し、地域の持続的発展を可能にするモデルとして期待されている。
【寺村朋輝】
法人名
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