2024年11月09日( 土 )

ゴルフ場経営の原点に回帰 会員・ビジター双方にとっての価値向上を図る

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福岡雷山ゴルフ倶楽部(株)

96年の開場以来、地元財界人らから愛され続けてきたゴルフコース

福岡雷山ゴルフ倶楽部(株) 瀬川政幸 代表
福岡雷山ゴルフ倶楽部(株)
瀬川 政幸 代表

    福岡県糸島市、雷山の麓に広がる「福岡雷山ゴルフ倶楽部」は1996年の開場。なだらかで広々とした自然の丘陵地を生かしたコース設計で、大胆に飛ばすべきホール、ショットの正確さが求められるホールなど、リズムとアクセントを強調したスケール感にあふれた18ホールで構成されている。クラブハウスは自然に調和した山荘を思わせる建築物。レストランでは、開放的な空間のなかで地元の食材による料理を楽しむことができる。コースでのプレーはもちろんのこと、充実した施設とサービスも魅力となり、地元財界人などからなる会員(メンバー)だけでなく、ゴルフを愛する多くの人々に愛されてきた。

 さて今、ゴルフ場経営は過渡期の真っ只中にあり、さまざまな課題が存在する。その1つが会員権預託金の問題。預託金とはゴルフ場利用者が会員になることを希望する場合にゴルフ場に預けるお金のこと。ゴルフ場がそれを原資にゴルフ場の開発を行うが、預託金は基本的に無利子で据え置かれ、10年から20年程度の据え置き期間後、会員が退会の意思を表明した場合に償還されるのが一般的だ。

 会員が償還を要求し、その要求に応えることが経営上の問題となっているゴルフ場運営会社があるなか、福岡雷山ゴルフ倶楽部(株)は預託金を永久債(満期がない債券)に転換する手続きをスタートし、問題解決への筋道を付けている。そして、これまで償還していた資金をコースクオリティの向上、クラブハウス内外の施設や設備の修繕や更新などといった、ゴルフ場としての価値、サービスの維持・向上に役立て、今後の持続的なゴルフ場運営につなげようとしているわけだ。瀬川政幸代表は「最も大切だと考えているのがコースの質です。適切な投資を行い、より美しいコースづくりを実現することで他のゴルフ場と差別化を図っています」と話す。

クラブハウスの外観
クラブハウスの外観

人材確保やDX推進にも取り組み、
サービス品質の確保・向上を図る

18番ホールの様子
18番ホールの様子

    ゴルフ場のサービスにおいて重要な課題となっているのがスタッフの確保だ。なかでも、キャディはプレーの質や楽しみをも左右する、ゴルフ場におけるサービスの要ともいえる重要な存在だが、若手を中心に新規採用が難しい状況となっている。そこで、同ゴルフ倶楽部では産休育休後も職場復帰しやすい制度づくりに注力するなど、この難題に取り組んでいる。このほか「コース整備やレストランでのサービスの質を維持していくために、レストランに片付けロボットを導入するなど、DX化に関する取り組みも始めています」(瀬川代表)という。

 コロナ禍によってゴルフブームが再燃したことも、ゴルフ場経営に変革を促している。密にならず感染リスクが低いことから、若年層、ビギナーなどを含めたプレイヤー人口が増加。それは歓迎すべきことだが、既存会員の予約困難、マナーの低下などの問題が生じている。一方で新型コロナウイルス感染症が感染症法の5類に変更となったことから、近い将来には新規プレイヤーの関心が旅行などほかのレジャーに移り、プレイヤー人口が減少することも懸念される。つまり、ゴルフ場経営において、既存会員にとっての価値低下と、新規プレイヤーのゴルフ離れという、2つの懸念を解消するための取り組みが求められているのである。

プレーすることにステータスを感じてもらえるようなゴルフ場に

 瀬川代表は「コースやサービスの質を高めることで会員さまにとっての価値向上を図るとともに、ビジターのお客さまにも『会員になってみたい』と思っていただけるような、いわばゴルフ場経営の原点回帰ともいえる取り組みをより強めています」と話す。

 たとえば、最近は土日祝のプレー予約が受付開始から短時間でいっぱいになることが珍しくない状況となっており、そこで予約開始日(通常2カ月前)が会員・ビジターともに同じとなっている予約システムを、会員からの予約はビジターより1カ月先行して3カ月前の同日より受付を開始するよう変更するとしている。会員の利便性を高めつつ、ビジター客の利用もできるだけ可能とするよう一定の配慮を行い、適正な収益を得ながら過渡期を乗り越える──、そんな挑戦を行おうとしているわけだ。

プロツアーも開催 福岡雷山ゴルフ倶楽部(株)
プロツアーも開催

    ところで、今年6月14~16日の3日間、同ゴルフ倶楽部を舞台に「ABEMAツアー『ジャパンクリエイトチャレンジin福岡雷山』」が開催された。これは日本ゴルフツアー機構による、上位ツアーへのステップアップを目指すプロ選手が参加するものだ。同ゴルフ倶楽部が主催しており、コロナ禍で中止したこともあったが、今年で10回目の開催となった。瀬川代表は継続して開催している理由について、「メディアへの露出による知名度アップも重要ですが、プロツアーが行われる当倶楽部で会員さまがプレーすることにステータスを感じていただけるようにすることを狙いにしています」と説明している。

 ツアーを開催することで、スタッフがコースメンテナンスを行う際の質の向上も見込め、それが会員・ビジターへのメリットになるという。このような積極的な取り組みも、福岡雷山ゴルフ倶楽部が今後もプレイヤーに愛され続け、そして福岡を代表するゴルフ場の1つとしてあり続けるうえでの糧となっているに違いない。


<COMPANY INFORMATION> 
代 表:瀬川 政幸
所在地:福岡県糸島市川原807
設 立:1993年12月(開場:1996年8月)
資本金:1,000万円
TEL:092-323-8181
URL:http://www.raizan-gc.co.jp

<RECRUIT> 
募集職種:キャディ、コース管理、レストランホール、フロント
応募資格:高校、専門学校卒業以上
採用実績:2023年度/3人  
採用予定:5人
問合せ先:092-323-8181
採用担当:宮脇、生嶋、鯉川


<プロフィール> 
瀬川 政幸
(せがわ・まさゆき)
1969年生まれ。福岡県出身。プロゴルファーを志し研修生としてゴルフ業界へ。その後、縁あってゴルフ場運営の世界に転身し、36歳の若さで福岡雷山ゴルフ倶楽部の社長に就任。「さまざまな方々とのご縁と運に導かれ今がある」と話す。現在の平均スコアは「80ちょっとくらい」とのこと。

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