2024年11月22日( 金 )

【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史(番外編)】朔学長は大学私物化を即刻やめよ!(再掲載)

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 朔学長、先日のセミナーは画期的な内容でしたね。いかがお感じになられたでしょうか。今回の学長選はご辞退されるのが身のためですぞ。貴方の役割は終わりました。これは忠告ですぞ。忠告ついでに、貴方の学長としてのこれまでの「業績」をまとめた記事「【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史(番外編)】朔学長は大学私物化を即刻やめよ!」(※)をここにお届けする。

【青木 義彦】

※本稿は『I・B』(2781号、2022年11月3日)に掲載した記事を再掲載したものです(文中の記述は当時のもの)。 

 9学部31学科、在学者数約2万人を擁する、西日本最大級規模の私立総合大学、福岡大学。「思想堅実」「穏健中正」「質実剛健」「積極進取」に基づく全人教育を掲げて88年におよぶ歴史を刻み、これまで約27万人にのぼる卒業生を世に送り出してきた。政財界やスポーツ界、芸能界など、各分野で活躍する著名人も数多く輩出している。何より、社長の出身大学上位校として全国にその名を知られる。その福岡大がいま、2019年12月に学長に就任した朔啓二郎・医学部教授とその取り巻きらに蹂躙されているとしたら、読者諸賢はどう思われるだろうか。朔教授の「独裁者」体質は医学部内部ではかねてより有名だったが、いまや全学で炸裂中。本記事ではNetIB-NEWSでも既報の、とりわけ問題視されている3つの「横暴」のうちの2つを、新たな情報も加えてお届けする。朔学長が強大な学長権限をいかに、福岡大学を、ひいては日本の高等教育を高めることではないことに用いているか、心ある数多くの福大関係者が抱く危機感を、皆さんにも共有していただきたい。

不透明かつ不合理な建設計画の強行

 まず、「文系学部棟」建設計画の白紙撤回である。

 前執行部時代の2016年に80億円の予算で計画・承認された、人文・法・経済3学部共同の専用棟を新たに建てるという構想だった。基本構想や建設スケジュールの決定、さらには基本設計を行う業者の選定まで完了していた。

 同3学部はキャンパス内に専用棟をもたないため、所属学生は日々、各自の履修スケジュールに合わせてあちこちの講義棟へ足を運ぶ。これでは専攻学科の学修に専心できず、学生間、学生-教員間の交流を通じて視野や学識を広げる機会も十分に得られない。「文系学部棟」はそうした現状を改善するとともに、地域連携、進路支援、国際交流などを担う部署もここに移し、地下鉄駅もある正門付近に建てることによって、大学の「顔」ともいうべき位置を占めるはずであった。

 老朽化にともない解体が決定された「1号館」の機能―― 数百人を収容できる6つの大教室を有し、全学共通科目の講義が行われてきた―の、新たな担い手としての意義もあった。その「文系学部棟」建設計画を「中止」すると、現場がコロナ対応に追われるさなかの20年7月16日、朔執行部は大学協議会の場でいきなり通告したのである。

 翌21年5月には、医学部・病院地区=烏帽子地区に「多目的棟」なる建物の建設を進めるという話が、藪から棒に持ち出された。

 福岡大学は目下、約200億円の予算で「病院新本館」の建設工事が進んでいる。そこに隣接させるかたちで、現在病院本館内にある「医学部臨床講堂」を移設するという計画が19年5月に承認されていたが、これを全学共用の教室も備えた「多目的棟」に変更し、予算30億円で規模を拡大するというのだ。

 22年2月には臨時常勤理事会に基本構想案を提出。しかもそこには、教職員への事前の意見聴取もないまま、大手ゼネコンS建設との「設計・施行一括方式による随意契約とする」旨が記されていた。

 「随意契約」とは、公共事業などにおいて、競争入札によらず任意で決定した業者と契約を締結すること。契約締結までのプロセスが迅速化される、小規模事業者も参入できるといった利点はあるが、公平性や透明性が担保されないために、これを行うための要件が法令で厳しく定められている。毎年巨額の補助金を投入されている福岡大学が30億円もの建設事業を随意契約で行うことは認められるのか、学内からこれを問題視する声が次々上がった。

「多目的棟」建設ありきの理不尽

 なにより、医学部以外に所属する大多数の学生が不利益を被ると、猛反発が巻き起こった。

 朔執行部は「文系学部棟」が担うはずだった大教室での共通科目講義機能を「多目的棟」に移すという。だが、これを建設する烏帽子地区は、医学部・スポーツ科学部以外の7学部がある七隈地区から4車線の道路を隔てた向かいにある。つまり、大多数の学生・教員は授業のたびに、広大なキャンパスのあちこちにある講義棟から正門へ集結し、その正面にある広い車道を横切って、はるばる医学部キャンパスまで足を運べというわけだ。

 福岡大学では授業と授業との間は10分しかないため、遅刻の頻発を招くことは必至である。実際、ある教授がシミュレーションを行った結果、「多目的棟」への10分間での移動は不可能であることが判明している。道路横断中の交通事故の危険もある。朔執行部はこうした指摘に対し、移動用のシャトルバスを導入する、授業の間隔を10分から15分にする等の“解決策”を示したが、それが教員たちの不信をますます掻き立てている。関係者の1人は怒りを込めて次のように話す。

 「多目的棟に行けるようにするためだけに時間割全体を変更するなど、理不尽きわまりないことです。朔学長は、文系学部棟の建設費80億円が、多目的棟にすることで30億円に節減できるとうたっていますが、シャトルバスを走らせるの何だので、費用が膨れ上がることは目に見えています。

 そもそも、文系学部棟の設計業者に対してウン千万円もの違約金が発生したそうです。医学部とS建設しか受益者となり得ないこの建設計画を進めるために、朔学長は学生たちから預かった大切な大学資金をドブに捨てたんです」。

投資するのは医学部だけでよし?!

 かくも不合理な建設計画を、朔執行部は、基本構想が22年2月に理事会および評議員会で承認されていることを盾に取って、あくまで押し通していくとみられる(ただし、S建設との随意契約については最近、撤回の意向が表明されたようだ)。そこには、文系学部へ投資する必要はない、発展するのは医学部だけでよいとでもいうような、朔学長の価値観が透けて見える。七隈地区の諸学部が長年病院部門の慢性的赤字を補てんし、大学の維持運営を支えてきたにもかかわらず【グラフ】。

 朔執行部はまた、「業務の集中管理と効率化を推進し、専任事務職員を400名まで削減する」として、教員と密接に連携しながら教務関係事務を担当していた「学部事務室」を縮小。文系4学部事務室を「教務二課」に、理系4学部事務室を「教務三課」に、各々統合してしまった。これにより、全学規模で事務職員の業務過多や学生サービスの低下が懸念されているが、医学部(および夜間部に当たる商学部第二部)のみは従来の体制が温存されている。ここでも“医学部だけが栄えればよい”のポリシーは露骨に表れているだろう。

 そのうえ、今度は積水ハウスと提携し、福岡市中央区の「こども病院」跡地に新たな附属病院建設を画策しているという。それに必要な莫大な資金を得るために、高宮グラウンドを売り飛ばすのではないかとの憶測も流れ始めた。

 「経営難に陥った西新病院の移転のため、さらに巨額の資金が必要とは、一体どういう経営感覚なのでしょうか。大学の資産は医学部と病院のものではありません。大学を私物化するのはもうやめてくれと言いたいですね」(福大関係者)。

 実際、朔学長は学内の重要ポストについて、情実としか思えない人事を次々強行し、教職員の間に不信感が高まっている。たとえば3大学附属病院の院長ポストは、すべて自身の後輩にあたる福岡大学医学部OBに、しかも、そのうち2つは自分の専門分野と同じ循環器内科の人間――医学部内では「朔派」と呼ばれる、かれの権力固めに貢献した面々―に与えられた。厚労省のガイドラインや合理的理由から踏襲されてきた慣行も無視するかたちでの、前代未聞の大抜擢であり、医療安全ははたして大丈夫なのかと不安の声が挙がっている。そして、目下学内で波紋を広げているのは、「情報基盤センター長」人事である。

「情報基盤センター長」人事の怪

 今年度初め、学報上で不可解な人事が公告された。「情報基盤センター長」に、医学部所属の准教授が就任するという内容だった。

 「情報基盤センター」は、学内の教育研究、医療および事務に関する情報処理・ネットワークシステムの構築や環境整備を担当する部署である。その管理運営方針の調査・策定に携わるセンター長は、高度な専門的知識と経験を必要とするため、工学系の教授が「兼務」というかたちで就任する習わしとなってきた。

 ところが、このたび朔学長に「推薦」され情報基盤センター長に就任したのは、代謝学および循環器内科学を専門とする医学部生化学講座の女性准教授。それも医学部から同センターへの「所属替」という。

 教員は専門とする研究分野に対応した学部の教員に審査され採用されるのであるから、途中で所属学部を変えることはよほどの事由がないと認められない。この人事についても正当性を疑問視する声が学内から次々上がった。朔執行部は「同ポストは学長の裁量に任されている」「この分野のトップクラスの人材である」などと強弁しつつ、押し切っていったようだ。

 振り返れば、同センターには昨年末から不審な動きがあった。

 朔執行部は21年11月、「情報基盤センター規程」を改正。各学部から選出された委員でつくる「情報基盤センター委員会」を廃止したうえ、センター長の選任も「本学の教授から推薦」から「幅広く本学職員から推薦」に変更している。折しも当時のセンター長(工学部教授)が任期満了を迎える時期だったが、朔学長は、集積回路の研究分野で実績を有し、16年度から3期連続でこの任に当たってきたこの教授を再任しなかった。のみならず、後任人事は行わず空席のままとしたのである。

 情報担当副学長(工学部教授)が一時的に同ポストを兼任することになったが、この副学長の「推薦」で、くだんの医学部女性准教授が「センター長補佐」に就任した。そこで「業務を『補佐』するというよりは、せっせと自分の研究をしていたらしい」(関係者)。そうこうするうちに、同副学長が突然「健康上の理由」で退職。同時にこの准教授がセンター長に「推薦」されたというのだ。「“身内”のこの准教授をこのポストに就けるための、周到な根回しだったかと、今さらながら思い至ります」(関係者)。

専門外の領域で「教授」に昇格

 新設へ向けて目下準備が進められている、「社会データサイエンス学部(仮称)」の学部長にするための布石ではないかとも囁かれている。

 実際、21年9月に「新学部設立準備委員会」が組織され、基本構想を議論・策定するための「教育構想部会」が立ち上がったが、学長指名のそのメンバーに、かの准教授が入っていた。情報基盤センター長に就任すると、全学の共通教育科目として新設されたばかりの「データサイエンス・AI入門」を担当。さらに、朔執行部は今度はこの准教授を教授に昇格させることを画策し、8月初旬に開かれた「資格審査委員会」でこの人事を通している。

 「資格審査委員会」は、各学部の教授会で研究・教育業績を審査され適格と認められた人員の新任・昇格を承認する機関である。だが、情報基盤センターに教授会はないため、当該女性准教授の資格・資質はあくまで朔学長が保証するというかたちで同委員会に上げられ、まんまと承認を勝ち取ったようだ。承認の報に接したある関係者は、憤りも露わにこう語る。

 「彼女に関する一連の人事は、どう考えても筋の通らないものです。そもそも、あんな杜撰でインチキだらけの研究業績(編集注:「『研究業績2636本』の実態」 NetIB-NEWS、22年7月2日を参照)を公表するような人物(=朔学長)の保証など、信用できるわけがないじゃないですか。資格をじっくり精査する場ではないとはいえ、委員の不甲斐なさには心底ガッカリです。今回の人事を通すなら、まずは2,000本とか称するあの“研究業績”を全点、現物で出してみろと言いたいですよ」。

「ご褒美」人事とその弊害

 これほどの反感を買うのも厭わず、朔学長がこの人事に固執したのはなぜか。何人ものインタビュイーや情報提供者が、これも「ご褒美」人事であると断言する。というのも、彼女は朔教授やその弟子たちのゴーストライターを、とくに英語論文のそれ(彼女はもともと中国からの留学生で、英語のできる人材とのこと)を務めてきたというのだ。

 また、朔学長は、医学部長時代に意のままにならなかった元看護学科長が定年退職後に福岡大学に博士号(論文博士)を申請したさい、医学研究科博士課程小委員会に働きかけて主査と副査を循環器内科専門の2教員で固め、米国で20年もの研究キャリアを有するこの看護学のエキスパートの博士論文を不合格にさせるということがあった。その2教員のうちの1人が、朔学長の「お墨付き」でこのたび情報基盤センター長教授となった、くだんの准教授なのである。

 教授になりたいという趣旨のことをしばしば口にしていたとの証言もある(医学部教授の道はすでに断たれていたので、今回の横紙破りの人事が、彼女が教授になる唯一の方策だった)。ある時期から、データ解析に通じた医学部スタッフのもとを足繁く訪れて、教えを乞うていたとの噂もある。朔学長が(口封じも兼ねて)長年の“功臣”に報いたとしても不思議はない。

 だが、こうした人事権の私物化にもまして問題視されているのは、学内情報システムを担う部署のトップに、朔学長との癒着が甚だしい人物が就くことの危険性である。

 たとえば、学内メールの履歴をチェックさせ、学長に批判的な教職員をマークするというようなことも可能になろう。執行部に都合の悪い情報を隠蔽したり書き換えさせたりということもできる。実際、我々もNetIB-NEWSで報じてきたように、朔学長は研究業績の不審点を指摘されるたびに大学HPをコソコソ書き換えてきた。関係者の1人は次のように話しつつ、福岡大学のゆく末に深い懸念を示す。

 「罰則をチラつかせながらコンプライアンス遵守を要求する側が、コンプライアンスの何たるかをまったく理解していないという状況です。こんなことで大学の規律が保たれるとは思えません。むしろ、教職員のあいだに忖度や萎縮が蔓延し、本学の健全な運営と発展が阻害されるのではないかと危惧します」。

 朔執行部は「教職員に学長のビジョンを的確に伝え、その意欲と能力を最大限に引き出していくとともに、学長のリーダーシップを発揮するための体制整備を進めることが必要である」と言いつつ、この1年間で教務部長や学生部長、図書館長など7つのポストの選任方法を「合同会議での選挙による選出」から「学長による推薦」へと変えている。3病院長や情報基盤センター長のように、その部門が求める資格・資質を満たさない人物が、朔学長にとって好都合だという理由だけで、これらの重要ポストを委ねられる可能性は高いだろう。

 朔学長の任期は来年11月末まで。10月に行われる学長選で再選を勝ち取るべく、そうそうと布石を打っている気配がある。福岡大学の未来をこのような人物に託して良いものかどうか、福大OBをはじめとする読者諸賢の健全なるご判断を心より期待したい。

【特別取材班】

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