不動産バブル崩壊で崖っぷちの中国経済(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏不動産開発大手のデフォルト懸念
中国では不動産バブルが崩壊し、経済への悪影響に懸念が高まっている。中国の不動産産業は1980年代にスタートした改革・開放政策以降約40年間、中国の成長を牽引してきたエンジンであった。経済成長とともに土地や住宅の需要は増加し、中国では土地や住宅の価格が右肩上がりに上昇してきた。
ところが、新型コロナウイルス感染拡大以降、住宅の需要は減少し、不動産価格は下落に転じ、不動産開発会社の業績にも今までとは違って、危機的な状況に様変わりしている。2021年末の恒大グループの債務不履行に端を発した中国の不動産危機は、碧桂園(Country Garden)など、他の大手不動産開発会社にもその波紋が広がっている。
中国の不動産業界は、2020年12月に金融機関による不動産関連融資の総量規制が導入されたことで大きく揺れた。それによって深刻なダメージを受けたのは不動産開発大手の恒大だったが、他の不動産開発会社も相次いで債務不履行に陥り、建設プロジェクトが全国各地で途中で止まるような事態となった。
恒大の財政難はその後なりを潜めていたが、最近格付け会社ムーディーズが、「流動性と借り換えリスクの高まり」を理由に、中国最大の不動産開発会社である碧桂園の格付けを引き下げ、危機感が募っている。ブルームバーグ通信によると、ムーディーズは同社の格付けを‘Caa1’から ‘Ca’に3レベルも引き下げた。格付け'Ca'はデフォルトを意味する最下位であるC格付けの1つ上だ。
ムーディーズは碧桂園がデフォルトに一歩一歩近づいていると判断しているようだ。碧桂園は中国広東省佛山市に本社を置く、昨年の住宅販売額首位の業界最大手で、「恒大グループ」が経営危機に陥った際も、同社の財務状況は比較的健全だと見られていた。
同社は1992年に創業され、北京や上海といった大都市だけでなく、「三級都市」「四級都市」と呼ばれる地方の中小都市での開発にも力を入れてきた。ところが、同社は8月30日に公表した2023年1~6月期の決算で、純損益が489億元(約9,800億円)の赤字であることを発表した。同社の昨年下半期の損失額は67億元だったので、損失額が7.3倍も急増したことがわかる。
赤字が膨らむことによって、同社は財政難に陥り、8月7日債権2種類の利子を支払えず、期限を30日間猶予してもらったが、9月2日が満期の債権も、40日間の支払い猶予を要請した。碧桂園が進行中の開発プロジェクトは、もう1つの開発大手である恒大に比べ、4倍になるというので、碧桂園がデフォルトすると、その影響はもっと大きくなるだろう。
一方、恒大グループは8月17日、米ニューヨークの裁判所に連邦破産法第15条の適用を申請した。これは、外国企業が債務再編に取り組む間、米国内の資産を保護するもの。かつて中国の不動産開発で売り上げトップだった恒大は、積極的な事業拡大で、負債が3,000億ドル以上に膨らんだ。
恒大は2020年を基準に中国建設会社のなかで、資産規模は1位だったし、2021年を基準にフォーチュン・グローバル500大企業のなかで、122位となっていた。本社は深圳で、社員数は約20万名である。恒大は一時中国の280以上の都市で、1300以上のプロジェクトを推進した時期もあった。中国の金融当局によると、恒大の債務総額は3,000億ドル超で中国GDPの2%を占めるという。
(つづく)
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