2024年12月23日( 月 )

不動産バブル崩壊で崖っぷちの中国経済(後)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

その背景には

中国 街並み イメージ    中国は1998年以降、住宅政策が変更され個人による購入の自由度が高まった。その後住宅市場は徐々に成長し、中国の不動産開発会社も成長を謳歌するようになる。中国の不動産市場は借入金で土地を買い、そのうえに住宅を建設し、それを担保にまたお金を借りることを繰り返すことによって、事業を拡大させてきた。

 それに、中国での不動産開発は「プレセール(事前販売制)」と言って、住宅が完成する前に代金の一部が支払われるようになっている。このように借入金によって成り立っていたビジネスモデルに政府の規制が21年導入され、中国不動産市場は大打撃を受けた。

 具体的には、中国政府は21年8月に不動産市場を安定化させる目的で、「3つのレッドライン」という財務改善策を打ち出した。1)負債比率(Liability to Asset)を70%以下とする、(2)ネットの負債資本比率(Net DER)は1倍以下、(3)現預金短期有利子負債比率(Cash Coverage of ST Debt)を1倍以上とするという内容だ。

 恒大は中国政府のこの規制によって資金難に陥り、今回の破産申請につながった。恒大は21年12月に227億ドル規模の外国債務が返済できず、債務不履行となった。中国不動産市場が現在のような危機に直面したのは、20年から打ち出す不動産規制と3年間のコロナ禍が決定的な原因となった。

経済への影響は

 中国の不動産市場は40年間中国の成長を牽引してきたエンジンであるだけでなく、中国GDPの30%を占めている大事なセクターなので、中国の経済は不動産市場の不況に大きな影響を受けるしかない。中国だけでなく世界経済に与える影響も、甚大なものとなるだろう。

 とくに韓国のように中国と地理的に近く、総輸出の4分1を中国に依存する国にとっては、輸出の減少を懸念せざるを得ない。輸出の大きな減少はすでに数字として表れている。それにウォンは中国の人民元と連動して動くことが多いので、ドルウォンの為替レートもウォン安になりやすい。

 米中覇権戦争が激化しているなか、中国の不動産バブルの崩壊は、世界にとってもう1つの悪材料であることにはまちがいない。中国国内的には、不動産開発会社に資金を融資した金融機関へ危機が転移することが危惧されている。

 しかし、今回の不動産バブル崩壊は、中国当局の規制によって始まったものなので、システム危機に広がる恐れは低く、リーマン・ショックのような世界的なリスクに発展する可能性は低いと指摘する専門家もいる。中国政府は不動産バブルの崩壊をどのようにかじ取りをしていくのか、世界の注目は中国の不動産市場に集まっている。

 日本のように失われた20年を中国も経験するのか、それとも日本の教訓を生かし、短期に回復するのか、その推移に関心が高い。

(了)

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