2024年11月22日( 金 )

M&Aや新規事業で不動産を軸に多角化 不変の開発理念は「インカムとキャピタルの両立」

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モダンパラッツォの基本理念
インカムとキャピタルの両立

    投資マンション・モダンパラッツォを供給する(株)モダンプロジェは、2012年3月の設立から11年で、その企画・プロデュース実績は160棟に上る。モダンパラッツォでは、すべての物件で「敷金・礼金ゼロ」であるほか、退去時の清掃費が定額といった、初期費用や不測の費用がかからない仕組みを採用。このような「初期費用が安く」「わかりやすい契約」が、入居者から好評を得ている。モダンパラッツォの基本理念は「インカムとキャピタルの両立」だ。安定した賃料収入だけでなく、売却という選択肢も選べるのは都市の中心部に物件を供給している強みだろう。

 近年の地価高騰もあり、新築時よりも高い価格で売却できた物件の事例も少なくない。それを可能にしたのは、用地選定と物件のプランニングだろう。都心部の居住ニーズが高いエリア、福岡市なら博多区や中央区、長崎市なら平坦地などにモダンパラッツォが集中するのは、リスク低減のためだ。マンション経営において、収益低下の要因は家賃下落だけではない。建物の品質確保のためには、数年から数十年に一度、必ず修繕の機会が訪れる。さらに、市況悪化により物件の値下がりというリスクもある。そのときに、賃料の値下げや売却という選択肢を検討できるのだ。

 同社では、こういったリスクに対応するため、賃貸マンションだけでなく、テナントビル、オフィスビル、ホテル、それらの複合型と立地に合わせて開発手法を変化。さらに、ウィークリー・マンスリー、時間貸し、学生特化型など立地やニーズに合ったサービスの提供も行ってきた。

次の10年へ「食」事業に着手
六本松ではこども食堂も

MODERN BUREAU博多駅前
MODERN BUREAU博多駅前

    20年4月からは、賃貸マンション・ビジネスワン六本松(福岡市・六本松)でもウィークリーマンション事業を開始した。同マンションには、洗濯機・乾燥機付きのコインランドリー、フィットネスルーム、サウナなどの付帯設備も備えており、1週間以上の長期出張ニーズを捉え、社宅事業とともに法人利用を大きく伸ばしてきた。さらに、1階には食堂「六本松食堂」があり、昼食から夕食まで、入居者はもちろん外部からの利用も可能だ。海鮮系のメニューも豊富な隠れた名店として、人気を博しているようだ。

 別府会長は、「不動産に携わる仕事をしているので、地域や社会への貢献は続けていきたい」として、ラジオ番組やケーブルテレビの企画でスタートアップ支援やこども食堂へのスポンサー活動など、CSR活動にも積極的に取り組んできた。コロナ禍で中断していたが、22年11月からは、六本松食堂でこども食堂の定期開催を再開。「1人で夕食を食べている子どもは少なくない。食堂を当社で運営する機会をいただきましたので、少しでも彼らの居場所づくりにつながれば」と別府会長は定期開催への動機を話してくれた。さらに、「次の10年を見据え、衣食住のうち住だけにとどまらず、食にも力を入れていく」と続けた。

多角化でワンストップ化を加速
今秋にはグループ再編計画も

モダンプロジェのお部屋さがし 薬院店
モダンプロジェのお部屋さがし 薬院店

    同社はこれまで、学生特化型の不動産仲介会社、ビルメンテナンス会社、内装工事会社などを子会社化するなどして、事業の幅を広げてきた。M&A戦略について別府会長は、「これまではグループ会社の社長とは協調を重視してきた。当社も設立から10年を超え、組織化が進んできたことから、グループ会社間のシナジーを考える時期。若手の抜擢や育成も兼ねて、より機動力ある組織づくりに力を入れていく」と話す。23年秋の持株会社制への移行を計画しており、それにともないモダンプロジェの分社化も進めていく方針だ。

 また、かつての子会社で主に長崎・熊本で不動産仲介を手がける(株)ヘヤミセ(佐野雅俊社長)との連携も改めて強化し、長崎県内では店舗の新規出店も検討しているという。

 「『モダンプロジェのお部屋さがし』を福岡市や長崎県諫早市で展開してきたが、やはり実店舗があることのメリットは大きい。新規出店は賃貸仲介業務の強化を目的としているわけではなく、不動産投資について気軽に相談できる環境整備の一貫」(別府会長)と話す。

 「モダンプロジェのお部屋さがし」では、とくに法人向けサービスに力を入れており、同社が提供する「敷金・礼金ゼロ」のマンションやオフィスは、コスト削減や急な転勤にも対応できるとして好評を得ているようだ。

企画開発を軸に多角化
「内製化していく方針はない」

 モダンプロジェグループの事業の根幹は、「不動産の企画開発」であることに変わりない。不動産仲介店舗・モダンプロジェのお部屋さがしで手がける法人向けサービスも、同社が企画するマンションやオフィスビルがあったうえでのものだ。M&Aで子会社化したビルメンテナンス会社は現状、公共施設や病院などの清掃をメインに手がけているが、将来的には同社が企画するマンションやオフィスビルでの提供も進めていく方針だ。

 M&Aや新規事業による多角化を進める同社だが、別府会長は次のように強調する。「賃貸仲介のほか内装工事や清掃など、多角化を図ってきたが、すべてを内製化するつもりは毛頭ない。むしろ事業の拡大によって、ご協力いただいている施工会社や不動産仲介会社の方々にはこれまで以上に力を貸していただきたいと思っている」。

 半導体工場の立地で投資が集まる熊本県には、地の利があるグループ会社の知見を生かしてアパート開発にも力を入れていくという。

 別府会長は創業時から変わらない言葉で締めくくってくれた。「不動産開発は、ゼネコンや専門工事業者、不動産仲介・管理業者、金融機関の方々の協力があって、やっと完成させることができる。こういった裾野が広い事業だからこそ、みんなが儲かる商品をこれからも開発していきたい」。


<COMPANY INFORMATION> 
代 表:別府 大力
所在地:福岡市中央区大名1-7-3
設 立:2012年3月
資本金:300万円
TEL:092-737-6111
URL:http://modern-projet.com

<RECRUIT> 
募集職種:賃貸仲介コンシェルジュ(賃貸営業)
     資産活用コンサルタント(企画営業)
応募資格:専門/大学/大学院 卒業見込みの方
     専門/大学/大学院 卒業の方
     (2021年3月~23年3月卒)
採用実績:2019年度/1人 
採用予定:今年度予定 1~5名
問合せ先:092-737-6111
採用担当:大東(だいとう)、簀戸(すど)、
     進藤(しんどう)


<プロフィール> 
別府 大力
(べっぷ・たいし)
1975年、福岡市出身。大手不動産仲介会社や資産活用コンサル会社を経て、2012年3月に(株)モダンプロジェを設立し、代表取締役に就任した。物腰の柔らかさから周囲の人間を惹きつける魅力をもつ。23年3月には代表取締役会長に就任した。

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