国際伝統・新興医療融合協会、第6回国際大会を開催
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国際伝統・新興医療融合協会の第6回国際大会が14日、東京・第2衆議院会館会議室において開催された(主催:国際伝統・新興医療融合協会、共催:日本ビジネスインテリジェンス協会、後援:人間自然科学研究所、データ・マックス、DEVNET INTERNATIONAL)。国内外からオンラインを含め約100名が参加、6時間に渡り19名が伝統・新興医療に関するテーマを掲げて、研究成果などを発表した。
国際伝統・新興医療融合協会は、伝統と近代の知恵を融合し、健康医療社会を研究する団体として2017年に発足した。衆議院議員の宮路拓馬氏による「近年、新興医療は研究が進み、さまざまな場面で展開されています。とくに、女性の健康は重要なテーマです。会場であるこの永田町も長く男性社会でしたが、時代の変化とともに性別関係なく活躍する機会が増え、それは政界や経済界だけでなく、すべての業界で共通しています。今大会が、世界中の新興医療を学び、活かすための有意義な時間となるように願っています」という挨拶で、第6回大会は幕を開けた。
前半は、国内を中心に7つのテーマについて発表された。近年、伝統・新興医療はさまざまな角度から研究され、成果を出している。医療現場では、東洋医学・西洋医学、国や民族の垣根を越えて、病名にとらわれず、個々の症状や背景にあるライフスタイル全般を診る必要があるという声が増えている。そして、病気になる前の「未病」の時点に意識を向け、発病を抑えてコントロールするという考え方が一般の人にも浸透しつつある。時代の変化にともない、人間を悩ませる病気も変わり、それらを治療するための手法も見直されてきた。医療費高騰、生活習慣病やストレスが引き起こす精神疾患の急増などは、医療だけでは解決できない社会問題であり、早急に取り組むべき課題である。発表では、認知症や生活習慣病、パーキンソン病、アレルギー、不妊治療などに対するアプローチと効果についても、多くの事例が紹介された。
医学博士の溝尾朗氏は「伝統・新興医療の現状」として、老化を抑制するための研究成果を発表。老化や病気の原因とされる酸化・糖化・炎症を抑えるため、高圧水素酸素治療を実施したところ、コロナ後遺症や糖尿病、パーキンソン病などで効果が見られたという。今後のヘルスケアに大きく寄与するとの見方を示した。
星薬科大学客員教授、薬学博士の吉村吉博氏は「日本での漢方医療の現状」のなかで、中医学、日本漢方の歴史とともに、未病に強い漢方薬の使い方について論じた。漢方は病名に合わせて処方する西洋医学とは異なり、症状に合わせて微妙に内容を変えていくものだという。また、医師が漢方薬を処方するにあたっての知識不足と、その原因となる医療教育の問題を指摘した。
順天堂大学教授、医学博士の汪先恩氏は、「中国の伝統医療」と題した発表のなかで、医療費高騰や生活習慣病の増加による医療危機に直面する中国の現状と医療制度、伝統医学について語った。中医学で漢方薬は予防薬としてはもちろん、アレルギーや糖尿病、不妊治療や喘息、がん治療にも使われる。近年では医師のスキルアップのために、国が主導するプロジェクトとして優秀な医師を選出、有給休暇で集中学習する機会を設けているという。
後半は、アメリカ、キューバ、タイ、北マケドニア、ミラノなど国内外から12の発表があった。日本に伝統医療があるように、世界各国に古くから伝わる療法が存在する。その土地特有の環境や暮らす人の体質を踏まえて形成され、伝承されている。一般的な西洋医学と自国の伝統医療を、ケースごとにバランス良く活用しながら、治療が進められているのだ。また、国によって、医療の在り方や医療制度は大きく異なるが、世界の環境問題が背景にあるアレルギーの増加や、ストレス性の疾患など共通点も多い。各国の伝統医療の強みを、自国の風土などに合わせて、活用していくべきだ、などという意見が提示された。
駐日キューバ大使のミゲル・ラミレス氏は「キューバに於ける伝統医療」をテーマに自国の医療について発表した。キューバでは人間の幸福の観点から、医療において挨拶や感謝などの前向きな言葉を、積極的に使うという。1963年以来、165カ国で医療サービスを提供し、世界でのべ20億人がキューバ医師の治療を受けている。国を越えて健康分野に関する進歩を目指し、アイデアを出し合い、知識を深めてきた。今後は、健康観光の目的地としてキューバの可能性を示していきたいという。
バイオリニストの玉藻アンジエ斎藤氏は、イタリア・ジェノバからオンラインで「音楽の脳への影響」を発表した。ヨーロッパでは脳と音楽の関連性に関する研究が日本より進んでおり、パーキンソン病、脳梗塞からの失語症、てんかん発作などに対して、医療的な効果が認められている。病院では、手術後に音楽室に入ると回復が早くなり、刑務所では音楽を流すこことで出所後の再犯率が下がるという。現在、多業種とうまく手を取り合って、経済発展にもつながるプロジェクトが進められており、日本でも展開していきたいと抱負を語った。
タイ・チェンマイ大学教授のDr. P. Kanika氏は「チェンマイ健康医療都市と医療観光」というテーマで発表を行った。チェンマイは、タイ北部に位置する都市で、北方のバラとも称される美しい都市である。自然豊かで観光地としても人気が高い。伝統医療の1つである「チェットヘック」は専用のヘラと小槌を使用して、振動で皮膚を刺激する。筋肉の緊張を緩め、血流を良くするほか、背骨の矯正や、リズムよく行うことで心地よいミュージックセラピーにもなる。これらの伝統医療は、自国民だけでなく他国からの観光者にも癒しを与えるとともに、重要な収入源になっているという。
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