【福大朔独裁政権崩壊(9)】「白い巨塔」を地で行った福大医学部(後)
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学長選に敗北したものの、朔学長らはいろいろと策を弄しているようだ。学長選から数日後、前執行部の山口政俊前学長ら数人に、小野寺一浩副学長(法学部)を長とする調査委員会から質問状が送られてきている。朔執行部が前執行部を対象とした調査委員会を設置するのは初めてではない。
2016年4月、博多郵便局跡地に建設された大規模商業施設ビル「KITTE博多」8階に「福岡大学博多駅クリニック」を開設の過程に不正があったのではないか、と調査委員会で追及している。福大は18年4月、福岡市医師会からの要請で、福岡市医師会成人病センターを譲渡され、福大西新病院としたが、その過程でも不正があったのではないかと考え、調査委員会を設置している。
ともに、福岡市の弁護士が長を務めており、刑事事件を目指していたようだが、不発に終わったとみられる。理事会では「福大のガバナンス全体に問題があった」といった判断を下したらしく、関係者に対する懲戒処分も認めなかったと聞く。
今回の調査委員会では、福岡市医師会成人病センター譲渡の際の経営判断は適正だったか、を焦点にしているようだ。前執行部の学長や担当副学長は退職しているが、朔学長は2人に「名誉教授」の称号を授与することも拒否している。
退職する教授が所属する学部の教授会で決定され、それを執行部が承認し、学長の名でその称号を与える仕組みだが、朔学長が頑として認めていない。新しい調査委員会は、質問状の回答の締め切りを10月21日に設定しており、任期中に結論を出し、「名誉教授にしないことの正当性」の根拠にしようとしているのかもしれない。
ちなみに、医師は退職しても医師だが、多くの退職教授にとって、名誉教授の称号はありがたいと聞く。「元教授」の名刺は作成しにくいことはよく分かる。
また、朔学長の意向か、「歴代学長」のコーナーに山口前学長の写真は掲示していないと聞く。山口氏が学長時代、医学部長だった朔氏のパワハラ問題を追及していたこともあって、敵対する者はいつまでも許せないのだろう。
名誉教授の称号は、長年にわたる研究と教育業績に対して与えられることになっているが、永田・新学長が朔学長を名誉教授にするかどうか、も注目されている。学会報告と称したご当地グルメ記やブログ日記のような雑文なども論文として数えていた朔学長には、研究者の良心は感じられない。パワハラも繰り返しており、名誉教授にしない理由はいくつでも思い浮かぶだけに、永田・新学長はどう判断するのだろうか。
今回は人事や名誉教授問題に紙幅を割いたが、福大が抱える問題は山積している。その1つが、病院本館内にある「医学部臨床講堂」の移設に合わせ、全学共用の教室も備えた「多目的棟」を建設する問題だ。移設計画は19年5月に承認されていたが、朔学長が強引に計画変更を決めたといわれる。
福大では講義と講義の間隔は10分しかないため、医学部キャンパスから道路をはさんだ本学の講義室への移動を10分間で行うのは難しく、計画通り進むことで遅刻者が続出すると懸念されているのだ。
思いをめぐらすと、福岡大の課題は尽きないが、取材班は今後も、福岡市、九州を代表する私大の問題について、真摯に向きあっていきたい。
【T・T】
法人名
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