2024年11月22日( 金 )

【福大朔独裁政権崩壊(10)】注目される今後の人事とやっかいな「負の遺産」(前)

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 17日の学長選挙において、理学部教授の永田潔文氏が新学長に就任することが事実上決まった。正式就任は信任投票、理事会の手続きを経た12月1日付けだが、嵐のなかの険しい船出になることは必至である。

 まず、注視されるのが10月8日に実施予定の学部長らを決める役職者選挙。朔氏の牙城であった医学部の学部長のほか、教務部長、学生部長らの要職にどのような人物が就任するのかが注目される。

 医学部については長期にわたって朔氏の影響力が強く反映され、附属病院も含めて、その側近が要職の多くを占めている。朔氏が退任しても残存勢力があるため、永田氏と協調し、ともに大学改革を進める人物が、新医学部長に就任するとは限らない。

 教務部長、学生部長らからなる執行部については、朔氏が学長任期中に投票から学長指名に制度変更したことで、退任する朔氏に決定権がある。つまり、新執行部が永田氏とは敵対する人物ばかりで構成される可能性があるのだ。

 なかでも注目されるのは福大病院(1973年開設、福岡市城南区)と筑紫病院(85年開設、筑紫野市)、西新病院(2018年開設、福岡市早良区)の病院長人事で、それも朔氏に任命決定権がある。

 朔氏は学長就任後、福岡大学病院長を総病院長に格上げし、3病院を統括する立場としており、そのポストに三浦伸一郎教授(西新病院長)を就任させる人事案をすでに内定している模様。これを覆すのは非常に困難だ。

 西新病院について福大は7月、「こども病院跡地」(中央区唐人町)への移転を決定した。ただ、周囲の病院と診療サービスが競合することから、土地購入資金を含めた開発コストを回収できるのか、学内において疑問視されている。

 そうしたなかで、永田氏がこの計画に変更を加えず実行するようであれば、今回の学長選挙で永田氏の支持に回った学内関係者から強い反発を受け、大学改革の旗頭としての求心力が大きく低下する恐れがある。

 病院運営や人事の経験、ノウハウがない永田氏。その参謀的存在と見られている林政彦理学部長ら永田氏を支える人たちが、どのような人事を行うか、手腕が問われる状況である。

 また、朔学長の負の置き土産として挙げられるものとして、西新病院の「こども病院跡地」への移転問題に加え、「多目的棟」の建設、さらには附属の「若葉高校」の校舎建替え問題がある。

 多目的棟の計画は、福大病院本館内にある「医学部臨床講堂」の移設に合わせ、医学部・附属病院エリア(烏帽子地区)に、全学共用の教室も備えた建物を建設するというものであるが、この計画の方向性をどうするかが、福大にとっての喫緊の課題になる。

 多目的棟の計画には、その基となる構想があった。地下鉄駅が近くにある正門付近に「文系学部棟」を建設するというもので、これは山口正俊・前学長時代に明らかにされたものである。その中止を朔執行部が20年7月の評議会で唐突に宣言したのだった。

(つづく)

【特別取材班】

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