【福大朔独裁政権崩壊(11)】注目される今後の人事とやっかいな「負の遺産」(後)
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福大では現在、烏帽子地区において約200億円の予算で「病院新本館」の建設工事が進行中している。そこに隣接させるかたちで、現在病院本館内にある医学部臨床講堂を移設する計画を改め、これを多目的棟とすることが2021年5月に発表され、その予算は30億円になるという。
問題の1つは、朔執行部が22年2月に臨時常勤理事会に提出した基本構想案。そのなかには、教職員への事前の意見聴取もないまま、大手ゼネコンとの「設計・施行一括方式による随意契約とする」旨が記されていた。
30億円もの建設事業を随意契約で行うことがそもそも認められるのか、評議会や大学協議会、常勤理事会などでも疑念、懸念の声が次々あがったという。
何より憂慮されたのが、多くの学生の利便性が低下することが確実であるという点。というのも、多目的棟を建設する医学部・病院エリアは、医学部以外の8学部がある七隈エリアから4車線の道路で隔てられ、相当の距離がある立地だからだ。
福大は授業の間隔が10分しかない。福大キャンパスをご存じの読者はお分かりだろうが、キャンパスは広大であり、学生はもちろん、教職員についても七隈エリアから多目的棟へ10分以内で行き来するのは難しい。
健常者の学生・教職員でも「遅刻が多発するのではないか」と見られているし、身体障害を持つ学生などについてはなおさらだ。シャトルバスを運行する計画もあるようだが、その費用負担がどの程度になるのかは不透明だ。
難しいのが、この多目的棟をもともとの構想であった文系学部棟に変更するにしても、建設会社などへの莫大な違約金が発生するということ。違約金支払いを惜しんで、多目的棟建設を強行すれば、結果的に大多数の学生・教職員からを失望させることになるだろう。
最後に中央区荒戸にある若葉高校について。10年に福大経営下に入ったが、校舎は建設から30年近くが経ち老朽化が目立っており、約30億円をかけて建替えを行うことが決定している。
ただ、建替え場所を現在地で行うのか、あるいは道路を挟んだ南側にあるテニスコートがある場所にするのかなどを含め計画の詳細が定まっておらず、今後、建替えを実施した場合には費用がさらに増大する可能性があると見られている。
朔氏の体制下では既存計画の突然の変更や、医学部関連を中心とするずさんな新計画が浮上。そのたびに追加予算が必要、あるいは新たに発生する恐れに見舞われており、大学経営を危うくする事態となっている。
また、年間20~30億円の赤字を垂れ流してきた医学部を尻目に、それ以外の8学部は授業料収入などにより黒字経営を続けてきた。だから、大学経営を支えてきたという自負が強い。多目的棟の建設などの朔氏による負の遺産は、計画を中止、あるいは変更するにせよ、大学関係者に禍根を残す可能性が高いという点で非常にやっかいなのである。
永田新学長体制には、こうした問題に関する丁寧な説明を行うことのほか、朔氏の台頭により表面化した医学部・他学部間の対立融和、医学部の業績改善を含む健全な大学経営へ向けたぶれない方針、姿勢、つまりは強烈なリーダーシップを示すことが求められそうだ。
【特別取材班】
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