車載電池リサイクル事業に続々参入(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏大きな市場となるリサイクル事業(続)
EVが普及するにつれて、今後廃車予定のEV台数は25年に56万台、30年に411万台、35年に1,784万台、40年に4,277万台になることが予想されている。そうすると、使用済みの車載電池も増加することになる。韓国では3社の世界的な車載電池会社があり、車載電池のリサイクル事業に大きなビジネスチャンスを見出し、活発に動いている。しかし、多くの会社が車載電池のリサイクル事業への参入を表明しているなか、今のところリサイクル用の車載電池の供給はどうしても限られているので、それが事業リスクになるのではないかと警戒する専門家もいる。50年には車載電池のリサイクル事業の市場規模がさらに大きく成長することを予想して、電池会社だけでなく、自動車メーカー、材料メーカーなど多くの企業が参入し始めている。
国内外の動向は
世界的に車載電池のリサイクル事業をリードしているのは中国企業である。電池製造会社であるCATL, BYD などが車載電池の製造だけでなく、リサイクル事業にも積極的に投資している。CATLは21年車載電池のリサイクル事業の工場設立に6兆ウォンくらいを投資したが、今年1月にも約4兆3,000億ウォンほどを追加投資した。同社はすでに世界最大の車載電池のリサイクル事業者となっており、ニッケル、コバルトおよびマンガンを99%以上、リチウムならば90%以上の回収が可能だと説明した。
韓国の電池製造会社であるサムスンSDIは使用済み電池を回収し、リユースできる体系を20年構築した。国内工場で発生する廃棄物をリサイクル専門業者が回収し、工程を経て硫酸ニッケル、硫酸コバルトなどの原料が取り出されている。取り出された原料はパートナ企業に渡され、自社の製造工程に再投入される。また、SKイノベーションは最初開発した水酸化リチウムの抽出技術を活用し、使用済み電池から高純度の鉱物を抽出する事業を推進している。ポスコも合弁会社を通じて正極材に入るリチウム、ニッケル、コバルト、マンガンを抽出し、また正極材の素材として供給する事業をスタートさせた。
スマートフォンなどにも貴重な鉱物が入っていて、それを都市鉱山として活用する話があったが、車載電池でも、暴騰する原料を輸入するよりは、リサイクルで原料が調達できるのであれば、コストも低減できるし、環境にも優しいので良い方法である。車載電池のリサイクル事業はいろいろな意味において今後有望な事業になることが予想されている。コストの問題など、いくつかある課題をクリアし、採算性のある事業に育てていくことができるかどうか、業界ではその推移に注目している。電池製造だけでなく、リサイクルも含めた循環経済が実現される日も遠くない。
(了)
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