ろ過機能のついた画期的なフライヤー(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏フライヤーはどのような課題を抱えているのか
お米が主食である日本や韓国では、炊飯器はなくてはならない家庭必需品である。しかし、北米や欧州などでは、炊飯器よりフライヤーが重宝されている。健康意識が高まり、最近では揚げ物を敬遠する傾向があるものの、依然として揚げ物の人気が廃ることはない。中国料理や東南アジアなどでも揚げ物は庶民の好物の1つである。
フライヤーには、大きく分けて家庭用と業務用がある。また熱源によって、ガス式と電気式がある。フライヤーはざっくりいえば、箱に油を入れて加熱をする装置であるが、繰り返し加熱して使うことになるため、耐用年数は4~5年が一般的であるようだ。過熱防止をする温度センサーを付けるなど、フライヤーも技術進歩はしているものの、根本原理は今でも何も変わっていない。
ところが、フライヤーは揚げ物をする過程で、揚げカスなどの不純物が発生し、作業効率が落ちるだけでなく、油の酸化が進み、食材の色に影響を与えたりする。それで油は汚れてきたら交換することになり、油を余分に使う原因にもなる。揚物をする際のもう1つの問題点は、油を交換したくても、油が冷めないと交換できないので、作業中にはなかなか交換ができないことだ。それに、このような不純物による汚れは、一日の仕事が終わったら掃除もしないといけないので、面倒くさいしやけどのリスクもある。
画期的なフライヤーの誕生
ところが、韓国のC社という中小企業が、今までのフライヤーとまったく違う発想のフライヤーを数年前に開発し、現在、世界から高い評価を受けている。同社のフライヤーにはろ過装置が付いていて、揚げカスなどの不純物がある程度発生すると、20秒くらいボタンを押して待つと、不純物が取り除かれ、油は最初のきれいな状態に戻るという優れものである。
不純物がないなかで揚げ物をすると、作業効率はよくなるし、油も50%くらい節約できるという。さらに油に色の変化なども発生しないので、おいしく見える。韓国でこの製品は新羅ホテル、江原ランドなどが採用しているし、日本にも輸出され、高い評価を得ている。同社のフライヤーは日本の技術指導を受けたことで品質が安定し、世界どこに出しても評価されていると、メーカーの社長は胸を張った。
日本の厨房機器企業などが同社の製品を日本で販売していて、今後販売台数が大きく伸びていくことが予想されている。米国では歴史の長いフライヤーメーカーが20社くらいあるようだが、既存の製品にはない機能がこの製品にはあることで、米国でもお問い合わせが殺到している。
同社では米国市場に進出するため、米国認証の取得を進めているという。同社の社長によると、既存のフライヤーは、箱と加熱装置だけのものであったが、同社のフライヤーは、油をろ過して元にもどす機能があるので、ポンプやパイプなどが追加されている。しかし、フライヤーは大変高温であるため、市販のポンプでは高温に耐えられるものが存在せず、コア部品は自社開発したとのことだ。
開発して10年が経っても、コピー品が中国で出現しないほど、同社の製品は独創的である。フライヤー製品で今後世界一を目指したいと社長は抱負を明かした。ただ、フライヤー市場は統計があまり存在せず、市場規模を正確に把握することは難しいらしい。しかし、同社の社長によると、米国市場だけでも年間200万台の需要があることから、決して小さな市場ではないという。
一見労働集約的に見えるフライヤーだが、技術的には奥が深く、5年以内にまねされる心配もほとんどないとメーカーの社長は強調した。10年以上の歳月をかけた製品が今後市場でどのような評価を受けるのか興味津々である。
(了)
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