2024年11月22日( 金 )

【BIS論壇No.423】東日本大震災から12年

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
 今回は11月6日の記事を紹介する。

 9月14日の第6回国際伝統・新興医療融合協会国際大会(第2衆議院議員会館)にBIS理事・森岡浩美氏(日中協力中心専務理事、元キヤノン)の紹介で、不動産業に関与しておられるという山口小夜子さんが参加された。

 懇親会の席で、娘さんの星野真弓さんが有名な刺繍家で東日本震災後、鎮魂の刺繍画を石巻市に寄贈。市民のこころの癒しとなっている。さらに仮設住宅などで刺繍教室を通じて、家族を亡くされた方方への心のケアをされているとの話をうかがい、感銘を受けた。

 数日して山口さんからご丁寧なお手紙が届き、チャリティーイベント「関東大震災から100年・東日本大震災から12年『あの日・あの時・今』~それぞれのレジリエンス物語~」を星野真弓さんが中心となり、11月2日、日本橋三越本店・三越劇場で開催されるとのことでお招きをいただいた。

 午後1時より4時半まで木村悠方子さんの詩の朗読、金亜軍氏のすばらしい揚琴演奏、和太鼓、石巻市長の挨拶、『巨大地震から命と安心を守る』など関係者の特別対談、ダカーポのミニコンサートなど充実した催しであった。主催者の星野真弓さんほか関係者のボランテイア精神に強い感銘を受けた。

 東日本大地震から12年を経て、最近は大震災の惨禍は忘れ去られつつある。しかし活火山国の日本にはいつ何時、地震や津波が再発するとも限らない。災害は忘れたころにやってくる。将来、南海大地震の発生も予想されている。地震大国の日本は備えをゆめゆめ怠るべきではない。

復興庁 イメージ    この催しの後援団体に復興庁、東京都中央区、宮城県石巻市の名前が挙がっており、中央区、石巻市よりはそれぞれ代表者の挨拶があった。だが、復興庁の代表の挨拶はなかった。

 かかる民間の催しをまず復興庁が率先して支援すべきではないか。最近の日本は政界、官界、財界、教育界など劣化が進み、90年代1~2位を誇ったGDPもIMF予測によると今年はドイツに抜かれ、4位に脱落。2~3年後にはインドにも抜かれ、5位になるという。

 米国にはFEMA(緊急事態管理庁)があり、災害時に省庁横断的な効果的対応を行っている。それに引き換え、わが日本においては、東日本大震災から12年経ってもいまだに全国的、かつ総合的な対策機関がないことは問題である。福島第一原発のデブリ取り出しも12年経ってもいまだ実現していない。自民党政権、東京電力の対応にはまったく納得できないものを感ずる次第だ。早急なるデブリ取り出しをまず実行に移してもらいたい。


<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)

 鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)

関連記事