NHK放送スクランブル化が適正
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NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は、旧ジャニーズ事務所による性犯罪事案問題へのテレビ局の対応について論じた11月13日付の記事を紹介する。
ジャニーズ事務所創業者であるジャニー喜多川氏の長年にわたる大規模性犯罪行為事案が白日の下に晒され、問題の適切な処理が求められている。NHKは旧J社が性犯罪事案問題に適切な対応を取ったことを確認するまでは同事務所との新規の契約を締結しない方針を公表している。
11月13日にそのNHKが年末の紅白歌合戦出演者を発表した。当然のことながら、旧J社所属タレントの出演はゼロになった。旧J社に対するNHKの対応は当然のもの。旧J社は社名を変更したうえで、被害救済・補償に特化した企業に変わる。
これとは別にエージェント機能を担うことを中心に据える芸能事務所企業を新設する方針が示されている。しかし、現時点で被害者の救済ならびに補償が大きく進展しているとの情報は伝えられていない。また、新設されるエージェント機能を基軸にする芸能事務所新企業の詳細も明らかにされていない。
この芸能事務所新企業の社長に旧J社所属タレントである東山紀之氏が就任することが発表されていたが、東山氏が新企業社長就任を辞退したと報じられている。東山氏はジャニー喜多川氏と長年にわたり親密な関係を維持してきた人物。喜多川システムの共犯者であるとの見方も払拭されていなかった。
記者会見でも喜多川氏の所業を「見て見ぬふりをしてきた」と述べている。東山氏の芸能事務所新企業社長就任が適正でないことは明白だ。
NHKはこれまで旧J社と極めて深い関係を有してきた。NHKの紅白歌合戦、大河ドラマへの旧J社タレントの起用は突出していた。この事実に対する反省もあり、新たな契約を締結しない方針が打ち出されたものと考えられる。
ただし、NHKは過去の事実関係に対する検証を行わない方針を示している。この方針は適正でない。第三者委員会を設置して、過去の事実関係を完全に精査する必要がある。公共放送事業者として当然の対応だ。
旧J社と新規の契約を締結しない方針を明示し、それを実行することは評価されるが、だからと言って過去の検証をなしで済ませることは許されない。こうしたNHKの対応と比較して民放各社の対応は驚くばかりのものだ。
各社とも「検証番組」を放送したが、すべてがかたちばかりのもの。「検証」とはほど遠い、お手盛りの杜撰検証に過ぎない。
旧J社との深いつながりを指摘されているテレビ朝日がキー局としては最後に検証番組を放映したが、旧J社との癒着が指摘されてきた番組である「ミュージックステーション」「裸の少年」を取り上げての検証はまったくなかった。
また、テレビ朝日は2026年春の開業を目指して東京・有明に複合施設「東京ドリームパーク」を建設する予定を示しているが、その目玉とされるのが年間280公演を行うとされる「ジャニーズ劇場」である。この問題も検証の対象から外されている。
民放キー局は「検証番組」を放映したという「アリバイ」をつくることしか視野に入れていないのではないか。「検証番組」とはいえぬおざなりの番組を放映して、それで「みそぎ」を済ませる魂胆であるように見える。
その何よりの証左が、これら民放キー局が、今後も旧J社所属タレントとの契約を続ける方針を示していることだ。この点ではNHKの対応が一線を画すものになっている。ジャニー喜多川氏性犯罪事案問題は世界が注目する事案になっている。日本企業の体質が根本から問われる事態になっている。
※続きは11月13日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「旧J社「取引停止が基本」」で。
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