2024年12月23日( 月 )

違法薬物と学生競技者(3)日大アメフト部薬物使用の容疑など

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ステージを高める違法薬物

薬物 イメージ    大麻で違法薬物のスリルや快感を覚えた人々は、さらに強い刺激を求めてステージを高めた違法薬物へ手を出す──次のステージとは、コカイン・ヘロインそして覚醒剤だ。

「大麻も常習性が存在しますが、まだ自力で止めることが可能です。しかし人間は弱いので、“もっと快感を味わいたい、心身を解放させたい”などより強い刺激を求めます。大麻を使用していた人々が、覚醒剤へ流れてしまうケースも数多く見てきました」(前出元暴力団関係者)

 覚醒剤──心身をむしばみ末期には廃人同然となり、最悪絶命を引き起こす、恐ろしい違法薬物である。誰もが「絶対に手を出してはならない」と、頭では理解しているのだが……

 2023年8月8日厚生労働省の発表によると

  • 薬物事犯の検挙人員(医薬品医療機器等法違反を除く)は1万2,621人(-1,787人/-12.4%)と前年より減少した。このうち、覚醒剤事犯の検挙人員は6,289人(-1,681人/-21.1%)と7年連続で減少し、4年連続で1万人を下回っている。また、大麻事犯の検挙人員については5,546人(-237人/-4.09%)と前年より減少したが、依然として高い水準である。
     
  • 覚醒剤の押収量は475.3 kg(-523.4kg/-52.4%)と前年より減少した。大麻の押収量のうち、乾燥大麻の押収量は330.7 kg(-46.5kg/-12.3%)と前年より減少した。大麻リキッドに代表される大麻濃縮物の押収量は90.0kgであった。一方、コカインの押収量は42.8kg(+27.7kg/+183.4%)、MDMAなど錠剤型合成麻薬の押収量は 9万5,614錠(+14,991錠/+18.6%)と前年より増加した。
     
  • 薬物密輸入事犯の検挙件数は348件(+62件/+21.7%)、検挙人員は443人(+76人/+20.7%)と前年より検挙件数、人員がともに増加した。 30歳未満の検挙人員は、覚醒剤事犯、大麻事犯ともに前年より減少したが、依然として高い水準にあり、大麻事犯全体に占める30歳未満の検挙人員の割合は69.2%(+1.2P)と過去最高を更新した。(カッコ内は前年との比較)

 上記のように覚醒剤をはじめとした違法薬物の情勢動向は、検挙および押収が減少傾向にある。しかし、今もなお国内での流通および使用は、頻繁に発生している。なかでも覚醒剤は、現在も深刻な状況下にあるという。暴力団の資金源でもあるから……。

「覚醒剤を中心とした違法薬物の国内ルートは、九州地方と関東地方の指定暴力団が、仕入れ元です。とくに覚醒剤は、“瀬取り”などの密輸で、北朝鮮、中国、ロシア、フィリピン、台湾などから“仕入れ”ます。空輸もありますが、税関の厳格化で海に囲まれた日本は、船舶での“瀬取り”が主流です。前記仕入れ先から“同業”へ流れ、半グレ集団など反社会的な組織へ渡ります。これらがバイヤーと呼ばれています。バイヤーは、プッシャーと称される売り子へ卸し、末端のユーザーへ販売します。売り子は、在留外国人はじめホストなど水商売関係、さらには大学生も存在します。バイヤーからの覚醒剤のルートは多様化し、売り子も下請・孫請けがあります。

 価格は前述した九州・関東の仕入れ先が500万円/kg前後で入手し、バイヤーへ100g当たり100万円で卸します。最終的には、6〜8万円/gでユーザーに提供されます。価格は、ルートによって変動しますが、先に述べた価格を前後するかと推測されます。日本国内における覚醒剤入手は個人での調達は不可能で(大麻では可能であるが)、すべて裏社会=暴力団が仕切っています。覚醒剤の取り扱いを厳禁している組織はありますが、有力な収入源であるので、今も昔も暴力団組織が必ず関与しています」(同)

プレッシャーとの戦いと現実逃避の果てに

 覚醒剤は大麻とは異なり、ケミカル系の違法薬物だ。つまり法的そしてモラルに反しているとわかったうえで、人工的に製造されている。

「覚醒剤を筆頭にケミカル系違法薬物に関与している人々は、罪悪感を抱きながら、流通させ使用しています。覚醒剤を使用することで、限定した時間は自分が持つ能力以上の腕前が発揮できる──競技者を例にしましょう。覚醒剤は1〜5mg/回です。致死量は、0.5〜1gです。覚醒剤を使うと、

1、脳の回転が高まる→思考力、判断力が高まる
2、フィジカルの機能が高まる
3、持久力が高まる
4、士気が高揚
5、疲労感が払拭される
6、気分が爽快となる
7、眠気がなくなる

 以上のような“効果”があり(個人差がある)1回使うと、数時間から半日程度効き目があります。しかし、これらの“効果”は、心身を破壊する入り口に過ぎません。1回使うと、精神的依存度そして常習性が高くなるのが覚醒剤です。効き目が切れると、強い虚脱感、疲労感に襲われます。そして使用を繰り返すと中毒になり、幻覚・妄想・幻想・さい疑の症状が発生し、精神障害を引き起こし、錯乱します。加えて身体的機能へ壊滅的ダメージを与え、最悪絶命します」(同)

 と覚醒剤の恐怖について赤裸々に語った(実際に使用したこともあるという)。

(つづく)

【青木義彦】

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