2024年11月21日( 木 )

【由布市問題(11)】議員の懲罰を求める「玉の湯」 陳情書に見る問題の本質(前)

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 (株)玉の湯が、排水問題において住民側に寄り添って活動する髙田龍也・由布市議会議員の懲罰を求める陳情書を由布市議会に提出した。当該陳情書には図らずも、問題の本質が浮き彫りになっている。

 玉の湯が、11月20日付で由布市議会に対して、髙田龍也・由布市議会議員の懲罰を求める陳情書を提出していたことが分かった。髙田議員は玉の湯施設の排水問題において、解決を求める住民側に寄り添った活動をしている。

 陳情の趣旨は、データ・マックス(以下、当社)のYouTubeチャンネルで公開している動画における髙田議員の発言が、由布市議会基本条例(以下、議会条例)に違反し、由布市市議会、議員の品位、秩序を乱すものとして懲罰を求めるというものだ。

 動画とは、「髙田龍也・由布市議会議員、由布院・玉の湯施設の排水問題を語る」である。

 陳情理由2で主張されている、髙田議員の個別発言に関する玉の湯の反論の妥当性については、付託された総務委員会で明らかになるだろう。

 当記事では、陳情理由3で玉の湯が主張していることについて意見を述べたい。ここに玉の湯と由布市をめぐる問題の本質が現れているからだ。

話し合いを拒否する玉の湯のやり口

 陳情理由3で玉の湯は、議会条例の第3条2項、同条3項を引用したうえで、次のように述べる。

 髙田議員の発言は、玉の湯の意見をまったく聞くことなく、反対当事者の意見のみに基づいた発言となっており、「市民の多様な意見等を的確に把握」した意見とはなっておらず、また、本件水路に関する住民の利益・言い分だけの個別の利益のみにとらわれたものとなっています。明らかに、由布市議会基本条例に違反したものとなっています。

 玉の湯の主張の要点は、髙田議員が、「玉の湯の意見をまったく聞くことなく」「住民の利益・言い分だけ」を取り上げているということにある。仮にそうであるとすれば、なぜそのようなことになったのか?

 結論を先に述べれば、排水問題をめぐって玉の湯が住民との話し合いに一切応じようとしないこと、ならびに玉の湯をはじめとした有力企業が、行政や一部議員と結託していることを疑わせる由布市の全体的な状況がある。

 玉の湯は地元の有力企業であり、地元住民とは比べ物にならない大きな力を持つ。このような力の差を背景に、玉の湯は頑なに話し合いを拒否して工事を推し進めてきた。髙田議員は力が弱い住民側に寄り添って、玉の湯と住民側との話し合いによる解決を訴えてきた。玉の湯が問題とするYouTube動画でも、髙田議員は話し合いがないことによってこじれた状況を説明し、改めて話し合いを行うことの必要性を訴えている。

 さて、ここで玉の湯の姿勢で問題とすべき点がある。玉の湯は、髙田議員に対して「玉の湯の意見をまったく聞くことなく」と述べているが、これは玉の湯は当事者である住民とは話し合いに応じる気はないが、髙田議員に対しては話をする気があるということをにおわせていることだ。

 この排水問題が重大なのは、玉の湯と住民間の民事上の問題にとどまらず、行政の問題も絡んでいるということだ。排水問題に先立って、住民が提出しようとした嘆願書が一部の議員によって握り潰されたと思われる事案が発生し、また公平であるべき由布市行政が一方的に玉の湯に加担するかのような姿勢を見せるなど、まるで玉の湯と一部議員、行政が結託しているとも見える状況になっている。つまり、問題をめぐって、議員と行政に対する住民の信頼は失墜しているのである。

 そのような状況のなかで、髙田議員に対しては話をする気があるかのように振る舞う玉の湯に対して、髙田議員が理解を示し住民を差し置いて玉の湯の意見を聴くということはあり得ない。

 髙田議員が一貫して訴えている、「問題の解決は、玉の湯と住民との話し合いにある」ということの重大性がここに現れている。

 玉の湯は、本件で自分の意見を聴かなかった髙田議員の懲罰を求めているが、そこには行政や議員に対して影響力を行使することで問題を自身に有利なかたちで解決しようとする玉の湯のやり口、さらに由布市行政が有力企業との結託に慣れてしまっている状況が見えてくる。玉の湯は地元の有力者として、住民との話し合いを徹底的に拒否することで問題の解決を妨げており、一方の髙田議員は力の弱い住民側に寄り添って活動していることを十分に認識する必要がある。

 よって本件を議会で取り上げるに際しては、玉の湯が指摘する髙田議員の表面的な発言のみを問題とするのではなく、問題の本質を踏まえたうえで、本件請求を審議すべきである。

(つづく)

【特別取材班】

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