2024年12月22日( 日 )

爆発寸前の韓国の家計負債問題(前)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏

家計負債の深刻な状況

韓国 住宅街 イメージ    韓国の家計負債は2021年に初めて1,800兆ウォンに達したかと思うと、22年には1,850兆ウォンとなり、増加を続けている。23年6月末の家計負債残高は1,862兆8,000億ウォンで、第1四半期の金額に比べて10兆ウォン(0.5%)近く増えている。このような家計負債の急激な増加は、経済危機への導火線になり得ると、経済専門家は警鐘を鳴らし続けている。

 韓国は経済協力開発機構(OECD)加盟国32カ国のなかで、GDP対比の家計負債比率(今年の第1四半期基準)が102.2%と最も高い状況である。05年にGDP対比の家計負債比率は60%台にとどまっていたが、その後、家計負債が増え続けた結果、100%を上回るようになった。

 一方、米国など他の先進国の同比率は70~80%の水準で管理されている。もう1つの指標で韓国の家計負債を見ると、家計負債の深刻な状況が浮き彫りになる。韓国の可処分所得対比の家計負債は、21年末で206.5%となっている。世界金融危機が発生した当時の米国のこの比率は140%であった。

 この数字からも韓国の家計負債の状況がいかに深刻であるかがうかがえる。このほか、金融機関などで債務返済の大きさを示す尺度として使われている債務返済比率(Debt Service Ratio)というのがある。債務者が1年間返済しないといけない負債の元金と利子の合計額を年間所得で割って求める数字である。たとえば、債務者の年間所得が500万円で、DSRが40%なら1年間に返済に使われる合計金額は200万円になる。金融監督機関と金融機関ではこの比率が7割に達すると、最低生計費以外は債務の返済に回さないといけないギリギリの状態で、このような債務者を限界債務者として分類する。

 韓国では現在DSR70%以上の債務者が299万人で、全債務者の15.2%を占めている。実際、銀行のDSRは40%に、ノンバンクは50%に設定されている。

家計負債の詳細

 韓国の家計負債の特徴は、家計負債の4分の3以上が住宅ローンで占められていることだ。家計負債1,862兆ウォンのうち約1,031兆ウォンは住宅ローンである。すなわち、住宅ローンが増え続けた結果、家計負債が増加している状況である。

 今年の第2四半期の住宅ローンの増加額は何と14兆ウォンである。住宅ローンが増えて家計負債が増加しているのだ。それではなぜ住宅ローンが増加し続けているかというと、低金利が続いていたことと、韓国がおかれている特殊な経済状況が影響している。

 新型コロナウイルスの感染拡大で経済が低迷すると、家計では住宅を担保に入れて銀行からお金を借りて急場を凌いでいた。政府も景気が落ち込むことを防止するため、不動産融資を緩和するなど、不動産購入を促進することで景気を維持しようとした。それにより韓国の不動産価格は高騰した。

 その結果、価格がもっと高くなる前に、住宅を購入しようという若者も増え、住宅ローンの需要も増え続けた。ところが、家計負債の合計金額は正確な負債金額を表していないという別の指摘をする専門家もいる。実は韓国の家計負債はもっと深刻な状況であるという。

(つづく)

(後)

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