通販会社「大和心」のHPが大炎上~DHC元会長・吉田嘉明氏の軌跡(後)
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「雀百まで踊り忘れず」──雀は死ぬまで飛び跳ねるくせが抜けないように、人は若い時に身につけた性格は、年をとっても変わらないという意味。大手化粧品会社ディ-エイチシー(DHC)創業者で元会長だった吉田嘉明氏(82)が、新たに立ち上げた通販会社「大和心」のホームページ(HP)が大炎上した。DHCの時と同じように差別発言をぶち上げたためだ。
「唐津シーサイドホテル」を和洋菓子の「シャトレーゼHD」に売却
吉田氏は北九州市のFMラジオ局「CROSS FM」に続いて、佐賀県唐津市のリゾートホテル「唐津シーサイドホテル」を売却した。
和洋菓子大手のシャトレーゼホールディングス(HD、山梨県甲府市)は23年12月21日、「唐津シーサイドホテル」を買収したと発表した。報道各社が一斉に報じた。グループで展開するホテルとしては11軒目。買収金額は明らかにしていない。
同ホテルは、日本三大松原の「虹の松原」に隣接し、1936(昭和11)年に外国人観光客を呼び込むための国策ホテルとして設立された。戦後は、米軍に接収されていたが、62年に地元のバス会社昭和自動車(現・昭和グループ)に経営が移った。
2015年にDHCがホテルの経営権を取得。DHC創業者の吉田氏が唐津市出身者だったことから、故郷に錦を飾ったといわれた。DHCグループ入り後は老朽化していた施設のリニューアルを行い、18年に温泉、19年に新東館をオープンするなど、リゾートホテルとしての施設を拡充していた。
22年にDHCはオリックスに買収されたが、リゾートホテル事業は買収対象外だったため、引き続き吉田氏がホテルの代表を務めていた。
吉田氏は反移民の論陣を張るか
舌禍事件が絶えない吉田嘉明氏はどこに向かうのか。占ってみよう。
インターネット時代の到来で、世界的に一大潮流となったのが反移民・反難民の論陣だ。欧州では反移民・反難民の右派政党が大躍進。米大統領選挙は、移民をめぐる問題が争点の1つとなった。
少子高齢化が進む日本は、移民を受け入れなければ、産業が成り立たなくなる。だが反移民を展開する急先鋒が吉田氏。「ヘイトスピーチ」は筋金入りだ。
政界の大きなうねりも吉田氏には追い風だ。作家の百田尚樹氏が代表を務める政治団体「日本保守党」が23年10月17日、設立記者会見を開いた。各社の報道によると、憲法改正などを掲げ、「日本を守るために新たな政治勢力が必要だ」と語ったという。
吉田氏と波長が合う。「日本の伝統を守れ」との大合唱のもと、これから次々と誕生するであろう反移民の右派政党のスポンサーになりそうだ。
HPによると、吉田氏の「大和心」とは「武士道」のことだという。「武士道」といえば、郷里である佐賀県の南部はかつて佐賀藩があり、武士道書『葉隠』の「武士道といふは、死ぬことと見つけたり」という言葉で有名だ。
この言葉は、自己の生命を断つことでなく、己を捨てて義を立てる精神に徹することが本義であるとされている。
「武士道」を精神の糧とする吉田嘉明氏は、大バッシングを浴びようとも「ヘイトスピーチ」の鉾を収めるつもりはなさそうだ。
(了)
【森村 和男】
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