著者のことば
福岡大学から退職されたばかりの杦山哲男先生は地質学者であり、石に詳しい。私も同じ大学に勤めていたので、先生がキャンパスで学生に石を拾わせる光景に何度か出会った。あるとき、先生からこんな話を聞いたことがある。
「学生に気に入った石を拾わせて、それについて書かせるんです。どんなかたちで、どんな色で、大きさはどれくらいで、硬さはというふうに…。ところが、これが案外に難しいんですよ。」
それを聞いても石に対して特別な関心は起こらなかったが、後になって寺田寅彦を読み、寅彦が案外に石のことに詳しいことに気づき、石というものがこの地球を構成している大事な要素であることに気づいた。
それから少しして、テレビで地球の歴史に関する番組を見た。地質学というものに興味を持ち始めたきっかけである。そこで地質学の本を読み始めると、毎日ニュースで聞き知る国際社会のこと、戦争のことなどが小さく思えてきた。地球そのものの歴史のほうがよほど重要なのではないか、と思えてきたのである。
本書の前半は、私自身が世界のあちこちで見た石の建造物についてである。後半は石について考察した人々についての、私自身の考察である。私たちの足元にある石を考えることで、人類というものの在り方を見直す機会を生み出せればというのが著者の願いである。
<書籍情報>
書 名:石を巡り、石を考える
出版社 :石風社
発行日 :2023/12/10
単行本 :204ページ
ISBN-10:488344323X
ISBN-13:978-4883443239
税込価格:2200円
出版社ホームページ:https://sekifusha.com/9403
【大嶋 仁】
▼関連記事
『知っておきたい哲学の常識』
関連キーワード
関連記事
2025年5月13日 16:00
2025年5月9日 10:30
2025年5月6日 06:00
2025年5月15日 06:00
2025年5月4日 06:00
2025年5月1日 15:20
2025年4月3日 17:30