2024年12月23日( 月 )

城ガールが巡る日本の名城~現存最古の国宝天守・犬山城(前)

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 10月3日から5日までの日程で、愛知・岐阜・滋賀の3県にある5城を巡る旅に出た。福岡空港から愛知県・中部国際空港(セントレア)へ飛び、そこから岐阜、滋賀、京都を経由し福岡へ戻るという行程だ。その様子をお城歴3年のひよっこがレポートする。

 午前11時、中部国際空港に到着。今回は旅費を抑えたい人の心強い味方ジェットスター(LCC)を利用した。出航に遅れ・トラブルもなく、初日一番の心配は杞憂に終る。すぐに空港内の駅へ移動し、第一目的地「犬山城」を目指すべく電車に乗り込んだ。

犬山城とは

 国宝・犬山城(別名:白帝城)は、1537(天文6)年に織田信長の叔父・織田信康によって築かれた城で、木曽川南岸の標高80mの城山に立つ平山城()である。
 日本全国に現存する12の天守の1つとして数えられ、その内の国宝に指定されている5城(松本城、犬山城、彦根城、姫路城、松江城)のなかで最も古いとされている。

 1617(元和3)年に尾張藩付家老・成瀬正成が2代目将軍・徳川秀忠より拝領、その後幕末まで成瀬家が城主を務めるが、明治の廃藩置県により愛知県の所有となる。廃城にともない、天守を除いた櫓(やぐら)や門のほとんどが取り壊されてしまう。1891(明治24)年の濃尾地震で天守が半壊する被害を受けるが、その修繕を条件に旧城主である成瀬家へ譲渡、日本で唯一の個人所有と城となった。なお、2004年からは成瀬家が理事を務める公益財団法人犬山城白帝文庫の所有となり、愛知県犬山市が管理を行っている。

まずは城下町

 名鉄・犬山駅に到着、駅構内の観光案内所に向かう。すると入口横の看板「天守入場10分待ち」と書かれていた。私のなかで犬山城は名古屋城の影に隠れひっそりと佇む城、というイメージがあったため、「(入場待ちができるほどの)人気だったのか・・」と、失礼なイメージを心のなかでこっそり詫びる。

 ここで一つ注意点がある。私は降車後すぐ改札口外の観光案内所に向かったが、駅構内のコインロッカーは改札口の中にしかない。荷物がある方は、改札口を出る前にコインロッカー利用をおすすめする。今回は駅員さんに「コインロッカーを利用したいのですが・・」と伝えると、快く改札を通してもらえた。

 案内所でもらった「犬山市観光マップ」を片手に城下町を目指す。犬山駅正面を600mほど進み、「本町」の信号から右に曲がると、一気に雰囲気が変わる。城へと続く、本町通りへ入る。

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 昔ながらの瓦屋根と、温かみのある木造家屋が並び、まさに城下町といった言葉が似合う。通りには土産屋、和菓子屋、呉服屋などの商店が並び、古民家を改装した喫茶、食べ歩きができる団子なども売られている。こちらは早速購入し、味わう。「五平餅」焼かれた味噌が香ばしく、中はもちもち。昼食を取っていない身に染みる。「豆腐田楽」濃厚なタレに豆腐の柔らかさ、青のりがいい仕事をしている。こちらもあっという間に食べきってしまった。思わず店を振り返ると、家族連れとカップルで売り場がにぎわっていた。「もう一本ください!」の言葉は胸にしまった。

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歴史を感じる風景

 この通りでひと際目を引くこの「旧磯部邸」は、幕末に建てられ、江戸期は「柏屋」の屋号で呉服商を営んでいたという。150年が経過していることもあり、柱一本にしても重厚な趣きと迫力が感じられた。奥に進むと土蔵、奥屋敷、展示蔵などがあり、一部ギャラリーとして使用されているという。なかを見て回っていると、次第に薄暗くもひんやりとした室内が心を落ち着かせてくれた。
 内部に明かりが少なかったこともあり、ピントの合っていない写真を量産してしまう。撮影の難しさを痛感した。

 旧磯部邸を後にし、再び城に向かって歩き出す。城だけを見ていると気づけないが実は途中から当時の城の敷地に既に入っていたりする。
 犬山市福祉会館あたりに大手門があり、その内側には太鼓櫓という番所と時を告げるための建物が存在した。城とまちミュージアムまで行くと、そこは三の丸、城の重臣達が住まう屋敷があった場所だ。この城とまちミュージアムには、1840(天保11)年の犬山祭り当日を再現した犬山城・城下町の模型が展示されている。
 ここに限らず、城下町にある歴史資料館には当時の街並みを再現した模型を展示していることが多い。城を楽しみたい、という方は是非資料館にも足を運んでほしい。展示物の撮影は不可だが、模型の撮影は許可されているので、ぜひミニチュア犬山を楽しんでほしい。こう見ると、小さな天守がとてもかわいらしい。

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(つづく)
【城野 円】

平山城(ひらやまじろ)とは、小さな山や丘といった、少し小高い場所に築かれた城のこと。平地の築かれた城は平山城、山(一説には標高100m以上)に築かれた城は山城に分類される。

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